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AIOライト  作者: 栗木下
10章:創門街・タイバン

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617:114-1

【AIOライト 114日目 08:00 (1/6・雨) 創門街・タイバン】


「さて、『黒錠の迷宮-初級』の攻略。上手くいくことを祈っているぞ」

「そうね。やれるだけやって見せるわ」

「こっちを攻略したらリベンジするからね!師匠!!」

「では、行ってきますね」

「皆さん、頑張ってくださいね」

 翌朝。

 俺とシアの前で何十人と言うプレイヤーが『黒錠の迷宮-初級』に入っていく。

 勿論、ホムンクルスを連れずに単独でだ。

 なお、一部では魔力が見えなければ進入できないのではないかと懸念されていたが、場所さえ分かっていれば魔力が見えなくても進入自体は問題無いようだった。

 ここら辺は……ゲームの都合だろうな、たぶん。


「ゾッタ、お前はこの後どうするつもりだ?」

「この後か?そうだな……東に向かってビを探すつもりではある。船の情報は欲しいからな」

「そうか、気を付けて行けよ」

「ああ、ローエンも気を付けてな」

「言われなくても」

 そうして最後に残ったローエンも俺の行先を訊いた後、『黒錠の迷宮-初級』に入った。

 さて、一体何人が一発でクリアできるだろうな?


「では、マスター」

「ああ、そうだな」

 と言うわけで……


「他プレイヤーの様子を動画館で見つつ、東に向かうぞ。シア」

「あ、やっぱりそうしますよねー」

 俺は動画館の『黒錠の迷宮』攻略ライブ特設ページを複数タブで展開。

 とりあえずグランギニョル、シュヴァリエ、ロラ助、ローエンと言った俺たちとある程度親しいプレイヤーたちの様子を見ることにする。

 そしてエヴァンゲーリオ・ハルモニアーを脚を対象に発動。

 ネクタールを座席状に変形させ、そこにシアを載せると俺は錬金術師(アルケミスト)ギルド・タイバン支部を後にした。



----------



【AIOライト 114日目 10:22 (1/6・雨) ドウの地・東の湿地】


「皆さん凄いですね」

「だな。グランギニョルなんてホムンクルスなしでどうすると思っていたが、想像以上だ」

 俺はシアを乗せた状態で東の湿地を移動し続ける。

 東の湿地は大量の白磁の門に、沼地と人工物が入り乱れるマップであるが、この状態の俺にとっては少々移動しづらいだけのマップでしかない。

 雨が降っている影響にしても、少々水の流れが激しくなり、水量が増えている程度であり、問題はない。

 モンスターにしても、ネクタールの隠蔽を見破れるようなモンスターなど東の湿地にはまず居ないため、邪魔をされる事は無い。

 それよりも気にするべきは、だ。


「ギニョール、普通に魔法と鎌だけで敵をなぎ倒していますね」

「シュヴァリエはヒットアンドアウェイだな。範囲攻撃まで難なく躱してる」

 やはり『黒錠の迷宮-初級』のライブ映像だろう。


「ロラ助は……相変わらず綺麗な戦い方をするな。これは良い手本だ」

「本当ですよねぇ。どうすればこんなに綺麗な戦いが出来るんでしょうか」

 攻略開始から2時間と少し。

 運が悪かったプレイヤーが何人か既に死に戻りしているが、最前線組の中でも中核とされるようなプレイヤーたちは順調に攻略を続けている。


「それにしても本当に色んな自動生成ダンジョンがあるんですね」

「そうだな。見ているだけでも特性:ファイア、特性:クリティカ、特性:アムネジア、特性:デュエルと何でもありで、構造にしても同様だ」

 例えばグランギニョル。

 普段は複数のホムンクルスを自分の手足として操るグランギニョルであるが、今回は武器である大きな鎌と各装備品に付けられた起動文を利用する形で戦っている……ように見える。

 だが実際には自分自身の身体を人形として操る事によって、ステータス以上の力を発揮出来るように立ち回っているようだ。

 今も複数のガードケンタウロスを一人で斬り伏せている。


「水晶構造は……皆さん苦戦していますね」

「うんまあ、アレはなぁ……リアル魔力がちょっと漏れただけで爆発するのはキツイ」

 例えばシュヴァリエ。

 こちらは自らの瞬発力を最大限に利用して、ヒットアンドアウェイ戦法……つまりは一方的にレイピアで刺し続けると言う戦術を取っている。

 そのスピードの凄まじさはワイドエレメンタルと言う範囲攻撃を得意とするモンスターの攻撃すらも回避して、一方的に斬り伏せてみせている。


「でもマスター程の大爆発は起きないんですね」

「それは……まあ、そうだろうな。俺とローエンたちとじゃ出力と言うか、色々と違うからな……」

 例えばロラ助。

 うん、普通に強いし、滑らかだ。

 特性も分からないドラフライ種もアーム種もスカラベ種も同時に相手にしているのに、刀と札を活用して、大したダメージを受けずに捌き、返り討ちにしている。

 進行度で言えば……無駄のなさもあって、一番早いかもしれないな。


「出力……ですか」

「……」

 例えばローエン。

 片手剣に盾と言うスタイルで堅実に戦っており、今も特性:キルピーシか特性:キルヒュマ持ちのパンプキンを相手にリアル魔力を流し込んだ剣で切りつけ、倒している。

 ロラ助などのソロを基本としたプレイヤーに比べて動きが少々ぎこちないのは、『菫青石の踏破者』のギルマスとして、集団戦闘をする事の方が多かった弊害だろうが……それでも十分に戦えているし、外部の何処からか力のようなものを得ている感じもある。

 どうやら、ローエンも何かしらの力に目覚めてはいるらしいな。


「さて、恐らくビに着くのは夕方ころになるだろう。戦闘はせずに駆け抜けるぞ」

「あ、はい。マスター」

 他のプレイヤーもそれぞれの戦い方を見出し、奮闘している。

 この分で行けば、俺の知り合い以外でも突破できるプレイヤーはそれなりに居るかもしれない。

 俺はそんな事を考えつつ、ひたすらに東へと向かった。

 そして夕方ごろ、俺の視界にそれが入ってきた。

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