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AIOライト  作者: 栗木下
10章:創門街・タイバン

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612/621

612:113-2

本日は二話更新です。

こちらは一話目になります。

【AIOライト 113日目 10:52 (2/6・晴れ) 創門街・タイバン-ヘスペリデス】


「さて、耐性下降は治ったし、そろそろ始めるか」

 2時間ほど待ち続けていると、寒さと暑さの耐性下降が解除される。

 うーん、グリスィナ・スィンバシの効果で延長されているとはいえ、俺の回復力で治るまで2時間とは……普通のプレイヤーが沌汁を受けたら丸一日影響を受け続ける可能性もありそうだな。

 まあ、耐性下降についてはこれくらいにしておくとしてだ。

 耐性上昇の方が残っている間にやってしまうとしよう。


「素材はっと……」

 俺はミデンの正面に立つ。

 今回使う素材は三つ。

 『同盟の彩砂-1の洞』で手に入れた『凍結招く精霊の王』の心臓。

 今日出来上がった呪詛招くテキオンの沌汁。

 そして、それを収めていた『呑気な多頭蛇の王』の甕。


「うん、問題ないな」

 繋がりはしっかりと見えている。

 これならば後は俺の技術次第だろう。


「我は錬金術師ゾッタ。終わりの眷属が一柱」

 俺はミデンに三つの素材を投入。

 そしていつものように左腕を突き入れ、魔力を注ぎ込み始める。

 すると普段以上にミデンの中の液体は沸騰。

 気泡が割れる度に周囲に熱気……だけではなく冷気を撒き散らし始める。


「氷炎操る精霊たちが王の赤き石、寒熱混ざり合う混沌、二界の毒を敵にのみもたらす真球の器」

 だが、先に舐めた呪詛招くテキオンの沌汁の耐性上昇効果のおかげでこの程度の気温変化ならば問題はない。

 だから俺は言葉を紡ぎ続ける。


「我が求めるは蝙蝠の灯火と対為すもの。眠りの世界に安らぎを与えるものにして、目覚めの世界に災禍をもたらすもの」

 俺の言葉に合せるようにミデンの中の力が膨れ上がっていく。


「それは二界の毒をもたらす真球を器とし、赤き石と混沌にて内を満たす月である」

 それに伴って、ミデンの中心からは強烈な反発力が生じ、俺の手も液体も素材も外に弾き出そうとする。

 しかしそれを許す気はない。

 だから俺は魔力でミデン全体を包み込み、無理矢理に抑え込み続ける。


「されど自由に舞う事は許されぬ。天地照らす月がかくあるように、汝もまた鎖にて縛られる」

 そしてこの反応はニフテリザの時とは真逆の反応でもあった。

 それはつまり、今俺が作ろうとしているものが狙い通りの品になろうとしている事でもある。


「照らしたまえ二つの世界を。飛びたまえ神酒の内なる宙を。天蓋にある事と引き換えに汝は恵みを得ては返すものとなる」

 ミデンの中の液体が球形を保ったまま、ミデンの外に浮かび上がる。


「認めよ。改めよ。従えよ。静まれ。鎮まれ。調べ調和させ形を成せ。汝こそは我が袂にて静かに佇み、世界を整える小さき月」

 そして俺は沸騰を続ける液体の中にあるそれを左手で掴みとると、ゆっくりと引き出していく。


「さあ、我が前に姿を顕せ。フィズィ」

 ミデンの中から現れたのは手のひら大の、銀色の真球。

 だが、よく見てみればその表面には蛇が這いまわった跡のような模様が刻まれており、冷気と熱気の両方を周囲に撒いている。

 で、小さくではあるが、ピンのような物も付いている。

 どうやら上手くいったらしい。

 と言うわけで、早速詳細を見てみる。



△△△△△

フィズィ

レア度:PM

種別:装飾品-ピアス

耐久度:100/100

特性:カース(傷つけたものを傷つけ返す)

   オトガ(自動的に攻撃を防ぐ)

   レイシュア(行動がとても遅い)

   シンパシィ(仲間をいたわり、傷つけない)

   フリーズ(凍えさせて動きを鈍くする)


それはCommonではなくSoleである。

銀色の真球を持ったピアスであり、真球のサイズは着用者の身体の大きさに合わせてある程度変化する。

所有者の周囲の空間の気温を変化させる能力を有しており、熱波あるいは寒波と呼ばれるようなものを放つ事も出来る。

能力の発動には所有者のMPを消費するので、注意が必要。

▽▽▽▽▽



「ネクタール」

「ーーー?」

「ワクチンハルキゲニアクローピアスを外して、これを付けてくれ」

「ーーー」

 うん、詳細の内容についても問題なさそうである。

 と言うわけで、俺はネクタールを呼び出すと、フィズィを装備させる。

 ちなみにフィズィと言う名前だが、意味としてはギリシャ語で蛇である。

 空を自由に舞うニフテリザ(蝙蝠)の対としては丁度いいのではないかと思う。


【ゾッタの錬金レベルが42に上昇した。錬金ステータスの中から上げたい項目を一つ選んでください】

「と、レベルも上がったか」

 と、此処で錬金レベルが上がる。

 なので俺はステータス画面を操作、火属性を1上昇させて、12にする。



△△△△△

ゾッタ レベル40/42


戦闘ステータス

肉体-生命力25・攻撃力10・防御力10・持久力9+4・瞬発力10・体幹力10

精神-魔法力10・撃魔力10・抗魔力7・回復力40+20+10+4・感知力10・精神力11


錬金ステータス

属性-火属性12・水属性10・風属性10・地属性10・光属性7・闇属性10

分類-武器類20・防具類15・装飾品15・助道具20・撃道具15・素材類20

▽▽▽▽▽



「さて、フィズィの効果だが……」

 で、フィズィの効果だが……うん、現状だと分からないな。

 ヘスペリデスの中はその名に相応しく適温状態が保たれていて、使う必要が無いし。


「冷風」

「ーーーーー」

 と言うわけで少し自発的に使ってみる。


「温風」

「ーーーーー」

 使ってみるが……


「全力で撃つのは……止めておくか。拠点内で凍死あるいは焼死は流石に駄目だろう」

 うん、特に問題は感じないな。

 とりあえず気温をプラスマイナス10度くらい変化させる程度なら、消費も気にしなくて良さそうだ。


「さて、それじゃあ、今日はもうやるべきことはやったし、久しぶりにゆっくりと休むか」

「ーーーーー」

 そんなわけで俺はフィズィの効果で周囲の気温を昼寝をするのにちょうどいい温度にすると、中庭の適当な樹にネクタールのハンモックを設置。

 そこで昼食まで寝ることにした。

11/25誤字訂正

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