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AIOライト  作者: 栗木下
10章:創門街・タイバン

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600:111-6-A4

「『撃魔力溢れる孔雀の王』の亡骸……うん、問題ないね」

 シアは『撃魔力溢れる孔雀の王』の亡骸を手に入れると、詳細を確認する。



△△△△△

『撃魔力溢れる孔雀の王』の亡骸

レア度:2

種別:素材

耐久度:100/100

特性:ジェネレ(撃魔力を強化する)


『撃魔力溢れる孔雀の王』の肉体そのもの。

尾羽、嘴、骨、肉……所有者が正しく解体するならば、ピーコック種から得られるあらゆる素材が得られるだろう。

亡骸の全てを得られるのは、一人で討ち果たしたが故にである。

▽▽▽▽▽



「それじゃあ、帰ろうか。ネクタール」

「ーーー」

 そうしてシアたちは『撃魔力溢れる火山の塔』を後にすると、その足でヒタイにあるとある建物へと向かった。



----------



【AIOライト 111日目 13:15 (4/6・晴れ) 始まりの街・ヒタイ】


「何と言うか、こういうのを持って来るとシアちゃんがゾッタ君のホムンクルスってのを思い出すなぁ……」

「は、はあ……?」

 シアが訪れた先、それはヒタイに置かれている『服飾向上委員会』の本部だった。

 現在の『服飾向上委員会』は『AIOライト』に存在している生産系ギルド及び生産中心のプレイヤーの総元締めのような立場となっており、それに伴って『服飾向上委員会』の建物も大きくなると同時に建物の数自体も増え、今ではハナサキ、ケイカに支部を、ウハイとサハイに簡易の出張所まで持つようになっている。

 また、構成員の数も『菫青石の踏破者』に次ぐ人数となっていて、必然的にギルマスであるボンピュクスも多忙ではあったが、そこはシア……と言うよりはゾッタのネームバリューによるものだろう、何事もなくボンピュクスの所まで通される事となった。


「えーと、それで頼みたい事ってのはこの『撃魔力溢れる孔雀の王』の亡骸の解体でいいんやね」

「はい、私では解体が出来ないので、お願いします」

「ん、任せとき。ウチには解体専門のプレイヤーも居るからな。剥ぎ取れるだけ剥ぎ取るで」

 さて、シアの目的であるが、それは『撃魔力溢れる孔雀の王』の亡骸の解体である。

 シアにとって『撃魔力溢れる孔雀の王』の素材の中で必要な物は極僅かであり、その極僅かであれば自分で適当に切り取ってしまっても良かったのだが、そこは性格なのだろう、少しでも多くの使える部位を手にしたいと考えて、シアは『服飾向上委員会』を頼る事にしたのだった。


「えーと、これで全部やね」

「随分と沢山剥ぎ取れましたね……」

「まあ、最近は解体専用の道具も作ったし、あの頃と比べればウチ等の腕も上がっとるからね。これぐらいは当然や」

 そうして『撃魔力溢れる孔雀の王』の亡骸の解体は行われ……大量の素材が手に入った。



△△△△△

『撃魔力溢れる孔雀の王』の尾羽×5

『撃魔力溢れる孔雀の王』の肉×10

『撃魔力溢れる孔雀の王』の血×5

『撃魔力溢れる孔雀の王』の骨×10

『撃魔力溢れる孔雀の王』の嘴×1

『撃魔力溢れる孔雀の王』の翼×2

『撃魔力溢れる孔雀の王』の足×2

『撃魔力溢れる孔雀の王』の目×2

『撃魔力溢れる孔雀の王』の心臓×1

▽▽▽▽▽



「で、えーと。シアちゃん?ほんまにそんな物でええの?」

「はい、私の目的はこれを手に入れる事でしたから」

 そして、この中からシアは極僅かな量のアイテム……具体的に言えば尾羽1本、肉4つ、心臓と言う名の紅い宝石だけを貰っていった。

 なお、シアにとってどうしても必要だったのは尾羽だけであり、後の肉と心臓については、肉は夕食用に、心臓はせめてこれだけは貰って行ってと言う形でどうにかボンピュクスが押し付けた形である。


「正直、ウチ等の取り分が多過ぎて困るんやけどなぁ……」

「それだったら、次に私たちが訪れた時にサービスをお願いします。それなら問題はないですよね?」

「いやそれでも……ああうんまあ、そうしておこうか。これ、ウチ等の側が折れるしかなさそうやし」

 これは余談であるが、この日『服飾向上委員会』が手に入れた『撃魔力溢れる孔雀の王』素材を用いた防具類は撃魔力を上昇させる効果がある事もあって、どちらかと言えば後衛の起動文による戦闘を行うプレイヤーたちの底上げに大きく貢献することとなった。

 そして、これらの素材の出元がシアの厚意によるものだと言うのは『服飾向上委員会』に所属するプレイヤーによって静かに広められ、シアの人気を更に高めることとなった。


「と、そう言えばゾッタ君は『黒錠の迷宮-初級』を終わらせたんやね。ケイカで見かけたって話を聞いたで」

「え?そうなんですか?」

 解体終了後。

 通りまで送ってもらうまでの間にシアとボンピュクスはちょっとした会話をした。


「ん?シアちゃんの所にはまだ戻ってへんの?」

「はい、今日はまだ顔を合わせてないです」

「んー、そうなると変な話やね。ウチの子の話やと、今朝早くにはケイカに居たって話やから、昨日の内には『黒錠の迷宮-初級』を終わらせていたんじゃないかって、掲示板では話題になっているんやけど……」

「そうですね……マスターがケイカを訪れるならその目的はたぶん銀鉱石ですけど……」

「でも、シアちゃんとネクタール君を置いていく理由にはならへんよねぇ」

「はい、そう思います。マスターが帰ってきたらちょっと聞いてみますね。たぶんマスターの事なんで、いつものように繋がりが~と言うだけだと思いますけど」

「せやね。どうして連れて行かなかったのかと言う理由は聞いておいた方が良いと思うよ。不安の種を残しておくと碌な事にならんし」

「はい」

 それはゾッタが何故かヒタイではなくケイカに移動し、しかもそこで何かをしていたと言う話だった。

 実際の所は霧の中でプレンゴーレムと素手で殴り合うと言う、それだけ聞いたら正気を疑うような行為をゾッタはしていたのだが、その情報はまだボンピュクスの元には届いていない。


「それじゃあ、私は失礼しますね」

「またのお越しを待っとるでー」

 そうしてボンピュクスと別れたシアは錬金術師(アルケミスト)ギルド『巌の開拓者(ノーム)』ヒタイ本部に戻り、レンタル部屋の中でネクタールを使ってヘスペリデスへと移動した。

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