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AIOライト  作者: 栗木下
10章:創門街・タイバン

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585/621

585:110-2-S22

本日は二話更新です。

こちらは一話目になります。

【AIOライト 110日目 08:15 (5/6・晴れ) BL1・『狂戦士の火山の城』】


「さて、どうしたものだろうな」

 走ること暫く。

 『狂戦士の多頭蛇の王』を振り切った俺は、入口が二方向にある部屋を見つけると、そこで『狂戦士の多頭蛇の王』の対策を考えることにした。


「まず、本来の仕様について考えるか……」

 ここは『黒錠の迷宮-初級』。

 ボスは『黒錠の門衛』だった。

 『黒錠の門衛』の扉が開かれるのと同時にマップが展開された事と、『狂戦士の多頭蛇の王』を召喚する際にHPを消費していた事を合せて考えると、本来はモンスターを次から次へと召喚しつつ逃げまわるか立ち向かってくる『黒錠の門衛』を倒す、と言う流れだったのではないかと思う。

 それならば、複数の部屋が存在するちゃんとしたマップが展開されるのにも納得がいくし、ここまでに他のモンスターに一切遭遇しなかった事も当然と言えるだろう。


「だが、本来の仕様通りにはいかなかった」

 だが、今回は本来の仕様……いや、より正確に言えば、『黒錠の門衛』が思うような展開にはならなかった。

 『狂戦士の多頭蛇の王』と言う巨大にして強大過ぎるモンスターを生み出してしまったが為に。

 召喚された『狂戦士の多頭蛇の王』は召喚されると同時に暴れ出し、『黒錠の門衛』を葬り去った。

 それは俺も確認している。

 だが、ボスを倒したと言う通知やダンジョンをクリアしたと言うインフォは流れていない。

 つまり、ボスとして倒すべき対象が『黒錠の門衛』から『狂戦士の多頭蛇の王』に切り替わったと考えるべきだろう。


「……。特に注意や警告が入らなかった辺り、GM的には仕様通りに動いているのか?んー、そう考える方が適切だろうな。『AIOライト』の運営については公平で公正なのは間違いないわけだし」

 では、何故に『狂戦士の多頭蛇の王』は生み出されたのか。

 『AIOライト』がシステム通りに正常に動いているのは間違いないとして、『AIOライト』が正常に動いている以上は出現するマップとモンスターの種類は完全ランダムあるいは何かしらの規則性に基づいていると考えるべきだろう。

 そして、今回の場合は……モンスターについては恐らく後者、何かしらの規則性があるはずだ。

 でなければ、こんな異常事態になると思えないし、わざわざ最初に円筒形のコンソールで魔力を吸い取るような事もないだろう。

 それに、『狂戦士の多頭蛇の王』と言うモンスター自体に心当たりが無いわけでもない。


「装備品の素材、これが一番可能性としては高そうか」

 俺はメニュー画面から自分の装備画面を呼び出して見てみる。



△△△△△

ゾッタ レベル39/41

攻撃力955:475/480

防御力480:0/0/120/120/120/120


右手:『狂戦士の多頭蛇の王』の骨斧(状態異常:ポイズン・回復力+2・特性バーサーク・インクリス)

左手:『狂戦士の多頭蛇の王』の骨小剣(状態異常:ポイズン・イルネス・ペイン・ルスト・回復力+1・特性バーサーク・リジェネ)

頭:『狂戦士の多頭蛇の王』の仮面(被ダメージ時:状態異常:ポイズン付与・回復力+1・ヘイト集中+1・特性バーサーク・リジェネ)

胴:『狂戦士の多頭蛇の王』の軽鎧(被ダメージ時:状態異常:ポイズン付与・回復力+2・特性バーサーク・リジェネ)

腕:『狂戦士の多頭蛇の王』の籠手(被ダメージ時:状態異常:ポイズン付与・回復力+2・特性バーサーク・リジェネ)

脚:『狂戦士の多頭蛇の王』の脛当(被ダメージ時:状態異常:ポイズン付与・回復力+2・特性バーサーク・リジェネ)

装飾品1:グリスィナ・スィンバシ(ギルド『藤の契約グリスィナ』の象徴・『ティラノス・ミデン』『エンボリオ・エテル』『エファス・フォティア』『エクナック・アネモス』『リアフ・ネロ』『レウ・ギィ』『グリスィナ・スィンバシ』・特性:バーサーク・ワクチン・ブラッド・リジェネ・レイシュア・ナイトビュ・エンデュ・『ヌル』)

装飾品2:ハイドカメレオンマント(特性:ハイド・インクリス・『ヌル』)

▽▽▽▽▽



「……。うんまあ、やっぱりこれが原因っぽいよなぁ」

 俺の装備品は……見事に『狂戦士の多頭蛇の王』素材ばかりである。

 と言うか、アクセサリ二つ以外は全て『狂戦士の多頭蛇の王』の名を冠している。

 仮に『黒錠の門衛』がプレイヤーの装備品の素材になったモンスターを召喚すると言う仕様であるならば、『狂戦士の多頭蛇の王』が呼び出されないと言う選択肢はないだろう。


「そう言えば戦闘前に色々と言っていたな……」

 なお、この論理を補強する材料としては、『黒錠の門衛』が戦闘前に言っていた台詞が挙げられる。

 俺の記憶が間違っていなければ、『汝が纏いし血を元として……』とか、最後の方で言っていたはずだ。


「何と言うか……ここに来て、俺の還元炉の欠点と言うか、楽をしたツケと言うか、そういうのが回ってきた気がするな……」

 まあ、いずれにしても出現してしまった以上は倒す以外の選択肢は存在しない。

 倒さなければ、『黒錠の迷宮-初級』は攻略できず、いずれは死に戻りするだけである。


「とりあえずは慎重に立ち回って情報を集めるしかないか。『リアフ・ネロ』」

 そして、この場で分かる情報はここまでである。

 だから俺は立ち上がると、『リアフ・ネロ』を発動。

 周囲に赤黒い霧と雨を発生させ、通路に出た。

 少しずつこちらに近寄ってきている『狂戦士の多頭蛇の王』を迎え撃つべく。

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