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AIOライト  作者: 栗木下
10章:創門街・タイバン

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582/621

582:109-11-S20

【AIOライト 109日目 18:22 (満月・晴れ) BL1・『石化招く凍土の農場』】


「ようやくか」

 日も暮れた頃。

 俺はようやく次の階層に繋がる階段を見つけ出した。

 まさか、周囲の岩と同化するような形で石化していると思っていなかったため、想像以上に時間がかかってしまった。


「次の階層への移動は……」

 さて、突入前にゲーム側から提示された情報通りならば、『黒錠の迷宮-初級』の階層は5.

 つまり、次の階層で最後である。

 そして、最後の階層であると言う事は、何かしらの形でボス戦が控えていると考えるのが正しいだろう。

 だが既に日も暮れていて、これから準備を整えてボス戦を行うとなったら、日付を跨ぎかねない。

 此処は素直にボスの攻略は明日に回すべきだろう。


「少なくとも、状態異常:ペトロへの対応に追われるこっちよりかは休息に適していそうだな」

 そしてボスの攻略を明日に回すのであれば、今晩の宿を何処かで確保するべきなのだが……まあ、俺の目で見た限りでは次の階層に移動してもいきなりボス戦になるような事は無いようであるし、それならば移動して問題はないだろう。

 少なくとも『石化招く凍土の農場』と言う心身両面に対して多大な疲弊と危険を与えてくる階層で休むよりは遥かにマシなはずだ。


「よし、行くか」

 そうして俺は階段を上り、第五階層に移動した。



----------



【AIOライト 109日目 18:22 (満月・晴れ) BL1・『???』】


「……。こういうパターンか」

 『黒錠の迷宮-初級』第五階層。

 そこは円筒形のコンソールと黒色の鎖と錠でがんじがらめになった白磁の扉以外は全てが白一色と言う世界だった。

 床も、壁も、天井も感じ取れない。

 風も無ければ、光源も見当たらず、熱を放つものも吸うものも無い。

 普通の人間ならば早々に脱出しなければ精神に支障をきたすであろう無機質な異常空間だった。


「まあ、俺には何の問題もないか」

 所詮は普通の人間ならば、だが。

 うん、俺には大して意味はない。

 ボス戦が始まっていないから白一色に見えるだけのようだしな。


「さーて、夕飯だな」

 と言うわけで俺はその場で胡坐をかくと、携帯錬金炉を取り出す。

 なお、視聴者に対する配慮なのか、あるいはネタバレ防止措置なのかは分からないが、第五階層移動と同時に生中継は途切れたようだった。

 俺に向けられる視線と言う繋がりが完全に途絶えた事からして間違いない。


「んー……試してみるか」

『4suY0ne- aL1wHit3 goT0kide DoniCanall na2te 0mOtt3naKattaKe-DO』

「む、やっぱり多少難易度が高めか?」

 今晩の夕食は?

 第四階層で腐るほど手に入れたペトロスィンクの欠片を使った料理である。

 具体的には二つのペトロスィンクの欠片を錬金して一つにまとめて球状にし、それを強火で芯までしっかり焼くと言うイメージでの調理である。

 そう、例えペトロスィンクの欠片がよく分からない物質で出来ていようとも、焼けば大抵のものは食えるのだ!


「お、でも上手くはいったな」

 そうして出来上がったのがこれである。



△△△△△

ペトロスィンクブレッド

レア度:3

種別:道具-食料

耐久度:100/100

特性:ペトロ(石へと変化させる)


ペトロスィンクの欠片を調理して作られたパン状の物体。

食べると満腹度が回復するが、ほぼ全ての人間はこれが食べ物であるとは認識できないだろう。

▽▽▽▽▽



「ふむ、良い匂いがするな」

 見た目はスィンク種よろしく、輪郭部分だけがぼんやりと見えているフランスパンである。

 香りはとても良い。

 ペトロスィンクの想念が炙られて、適度なレベルで分解されているために、食欲をそそる香りを生み出しているようだ。


「堅いが……美味いな」

 見た目がフランスパンなだけあって、食感は若干硬めであるが、普通のパンの味だけではなく、様々な情報が俺の味覚と嗅覚を刺激してくるためにとても美味く感じる。

 そして、それ以上にダイレクトに力が漲ってくる感じがある。


「ふむ、エヴァンゲーリオ・ハルモニアーのおかげなんだろうが、これは想像以上だな」

 もしかしなくてもこれほど美味く感じるのは、今の俺の内臓の機能が人間の仕様ではなく、本来の俺の仕様になっているおかげだろう。

 でなければ、ペトロスィンクブレッドに含まれている想念を分解して自らの栄養に変える事も出来ないのだし、これほどまでに美味く感じるとは思えない。


「この分なら、明日の朝食もこれでいいかもな」

 俺は軽く口から赤黒い炎を噴き出しつつ、明日の朝食も決定する。

 どの道、エヴァンゲーリオ・ハルモニアーは汎用性とヘスペリデス・ハルモニアーの使用を考えたら戦闘前に内臓を変化させておくことで一択であるし、ペトロスィンクブレッドを食べれば状態異常:ペトロに対する耐性も付く。

 うん、やはりこれで正解だろうな。


【ゾッタの錬金レベルが41に上昇した。錬金ステータスの中から上げたい項目を一つ選んでください】

「おっと、レベルアップか」

 と、此処で久しぶりに錬金レベルが上昇する。


「錬金ステータスか……少しだけ火属性も上げていくか」

 なので俺は分類ジャンルのステータスが丁度切り良くなっていると言う事もあり、火属性を上昇させることにする。

 と言うのも、俺の考えが正しいならば火属性を上げれば『エファス・フォティア』が、風属性を上げれば『エクナック・アネモス』が、水属性を上げれば『リアフ・ネロ』が、地属性を上げれば『レウ・ギィ』が強化されるはずだからである。

 で、その四つの中で特に強化の恩恵が大きそうな物と言うと……まあ、『エファス・フォティア』か『エクナック・アネモス』だろう。

 この二つは強化されても使い勝手に影響は出ず、純粋に効果だけが高まるはずだからな。



△△△△△

ゾッタ レベル39/41


戦闘ステータス

肉体-生命力24・攻撃力10・防御力10・持久力9+4・瞬発力10・体幹力10

精神-魔法力10・撃魔力10・抗魔力7・回復力40+20+10+4・感知力10・精神力11


錬金ステータス

属性-火属性11・水属性10・風属性10・地属性10・光属性7・闇属性10

分類-武器類20・防具類15・装飾品15・助道具20・撃道具15・素材類20

▽▽▽▽▽



「これで、よし、と。じゃ、寝るか」

 そうしてレベルアップの処理を含めて各種後始末を終えると、俺は明日に備えて早く寝る事にし、その場で眠り始めた。

11/01誤字訂正

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