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AIOライト  作者: 栗木下
10章:創門街・タイバン

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576:109-5-S14

本日は二話更新です。

こちらは一話目です。

「状態異常付きの魔眼か」

 ダメージを受けた俺は破壊したばかりの壁を通って銀色プリンの視線を切る。

 ただの魔眼ならば、これで一先ずは安心の筈である。


「ガアアァァ……」

 そんな俺の予測は正しいのだろう。

 銀色プリンが次の攻撃を仕掛けてくる気配はない。

 だが、ゆっくりとこちらに向かって移動をしてきている気配はある。

 それとどうしてか大型の生物が歩くような足音も……ああいや、順当に考えれば、あの銀色プリンの下に足があるんだろうな。

 どうしてか足三本分の音しかしていないが。


「……。早打ちを挑んでみるか」

 何にせよ倒す以外の選択肢はない。

 俺は両目に魔力を集め始める。


「すぅ……はぁ……すぅ……」

 俺は壊した壁から飛び出す。


「ふんっ!」

「ガンジャ!」

 俺は銀色プリンに向けて『ドーステの魔眼』を放つ。

 銀色プリンも六個の眼から俺に向けて魔力を放とうとする。


「ガナッ!?」

 一瞬早く『ドーステの魔眼』が銀色プリンに突き刺さり……六個ある目のうち一つだけがその動きを止める。

 そして残った五つの眼から放たれた魔力は俺に到達し……


「ぐっ!?」

 状態異常:ポイズン、状態異常:バーン、状態異常:カース、状態異常:ディレイ、状態異常:サイレンだけを与えてくる。


「まずっ……」

「ガンジャアアァァ!」

 俺は視線を切るべく、再び壊した壁の向こう側に向かって飛ぶ。

 だがそれと同時に銀色プリンの口が動く。

 銀色プリンの身体が伸び、口の回りだけが触手のようになって伸びてくる。


「うおっ!」

「ガンジャガ!ガンガァアン!!」

 銀色プリンが伸ばしてきた口は俺が居る方の通路に辿り着くと、そのサイズを一気に大きくして、幅1メートル半近くにした上で、当たるを幸いにと言った様子で、何度も何度も大きな金属音と共に鋭い牙を噛み合わせてくる。

 そのため、状態異常:ディレイがかかって動きが遅くなっている俺は地面を出来る限り早く転がって、その範囲外に逃げるしか出来なかった。


「なんてモンスターだ」

 この時点で俺は銀色プリンが地球に原典を持たないGMオリジナルのモンスターだと判断した。

 諸々の要素が、あまりにも異質過ぎる。

 と言うか、銀色の体表はともかく、六つの眼が独立して動き、口が自由自在に伸び、プリン状の身体の下に三本の足が隠れているモンスターがマトモな生物とは思えない。


「とりあえず能力としては……」

 まあ、原典についてはこれくらいにしておくとして、今考えるべきは目の前の銀色プリンのモンスターとしての能力とその倒し方。

 能力については……まず真っ先に厄介なのが複数の眼から同時に放たれる状態異常とダメージか。

 六つの眼が独立して動いているために『ドーステの魔眼』では眼一つしか止まらず、眼を一つ止めても防げるのはダメージか5種類の状態異常の中から一つだけ。

 ダメージはそこまでではないが、状態異常は……ダメージを与えてくる状態異常:ポイズンと状態異常:バーン、攻撃をすると与えたダメージの一部が返ってくる状態異常:カース、全ての動きが遅くなる状態異常:ディレイ、起動文が使えなくなる状態異常:サイレン、どれも厄介だな。

 幸いにして効果時間は大したことが無いようで、既に全て治っているが。


「『エンボリオ・エテル』」

 他の攻撃は自由に伸び、広がる口による噛み付き、それと銀色プリンの体表の下に隠れているであろう足による踏み付けか。

 どちらもあの巨体を考えれば、威力は相当の物だろうな。


「ガンジャアァァ……」

 銀色プリンがこちらの様子を窺っている感じはあるが、その巨体故に俺が壁に開けた穴程度では通れないらしい。

 つまり、先手は必ず取れる。


「……。行くかっ!」

 俺は再び飛び出す。

 そして素早く左手の人差し指を銀色プリンに向ける。


「『エクナック・アネモス』!」

「ガジャッ!?」

 俺の左手から放たれた風の弾丸が銀色プリンの眼の一つを貫く。

 そして体表付近で爆発し、銀色の体表……より正確に捉えるならばキノコの傘のようになっている部分の下に隠れていた白色で獣のような三本の脚を俺に見せながら、たたらを踏み、後退する。


「ふんっ!」

「ガンジャ!?」

 その間に俺は接近。

 消えかけの炎を纏った斧で銀色プリンに切りつける。

 そうすることで、ダメージを受けた銀色プリンは再びたたらを踏んで後退する。

 どうやら銀色プリンにはダメージに弱い性質があるらしい。


「これなら……げっ」

 だが、HPバーはまるで減っていなかった。

 二回の攻撃合せても90%以上残っていた。

 おまけに六つの眼は俺の方を向いていた。


「ガンジャアアァァ!」

「うおっ!」

 俺は再び跳躍。

 三度、壁の向こうに逃げる。

 そして、俺が逃げた直後に魔力を撃ちこまれた床が爆発する。


「ああなるほど……本体の動きは鈍重気味だが、反応速度は相当の物で、体力はあり余っていると言う感じか。回復力は……おっと、回復力は高くないらしいな」

 さて、これまでの打ち合いで銀色プリンのステータスも少し見えてきた。

 簡単に言ってしまえば生命力特化だ。

 だが、自然回復速度はそこまでではないので、時間をかければ倒す事は出来そうだ。


「なら、これが適切か。『リアフ・ネロ』」

 そして、討伐までの時間を早めるにはこれが適切な一手だろう。

 俺はそう判断すると『リアフ・ネロ』を発動。

 俺の周囲を赤黒い霧と雨の領域に変えた。

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