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AIOライト  作者: 栗木下
10章:創門街・タイバン

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574:109-3-S12

「「ーーーーー!」」

 状態異常:ノイズによって動きが止まった俺に『?デュラハン』が素早く接近し、ランスを振り下ろそうとしてくる。


「ふんっ!」

「「ーーー!?」」

 が、ランスが振り下ろされる前に状態異常:ノイズと状態異常:カースから復帰した俺は炎を纏った斧を正確に振り抜く事によって『?デュラハン』のランスを弾き、体勢を崩す。


「うおらぁっ!」

「ーーー……」

「ーーー!?」

 そして返す一撃を『?デュラハン』の騎士部分に当てる事で吹き飛ばし、再び『?デュラハン』を馬と騎士で分離した状態にする。

 どうして、相手の手数が増えるのも気にせず、半ば無理矢理にでも『?デュラハン』を分離させるのか。

 その理由はきちんとある。


「まずは騎士を落とす!」

「ーーー!」

 だがまずは目の前の状況への対処である。

 落馬した『?デュラハン』がこの狭い場所でランスを使い続けるのは流石に不利であると判断したのだろう。

 ランスを捨てて、金属製の籠手を填めた両腕を胸元にまで上げた構えを取り、こちらに向かってくる。


「ーーー!」

「ふんっ!ぬんっ!とうっ!」

 そして殴り掛かってくる……だけでなく、闇属性の黒い球体を放つ魔法をパンチとパンチの間に撃ちこみ、隙間らしい隙間のない連続攻撃を仕掛けてくる。

 対するこちらは拳と魔法の直撃だけは避け、軽微なダメージは高い回復力での回復に任せて、ひたすらに攻撃を仕掛け続ける。

 そうすることで、『?デュラハン』の騎士部分のHPバーを確実に削り取っていき、残りのHPバーは40%を切る。


「ーーーーー!」

「おっと!」

 勿論、敵は『?デュラハン』の騎士部分だけでなく、馬部分も居る。

 流石にこちらがゼロ距離で戦っている状況でブレスは吐いてこないが、撃つ機会は窺っているし、踏みつけあるいは後ろ蹴りによる攻撃は常々狙ってきていて、今も俺の頭上を強烈な後ろ蹴りが通り抜けている。

 だが、その挙動は分かりやすく、騎士部分と戦いつつであっても対処する事はそう難しくはない。


「ふんっ!っと、まずったか」

「ーーー……」

「ーーー!」

 と、此処で斧による攻撃で騎士部分を吹き飛ばし過ぎてしまい、俺が追撃を加えるよりも一瞬早く『?デュラハン』は再び一体化する。

 そして、その瞬間……


「「ーーーーー!」」

「ぐっ……」

 奇妙な嘶きを上げることによって俺に状態異常:カースと状態異常:ノイズを付与。

 HPバーが一本化すると同時に、騎士が受けていたダメージの一部が馬に移動。

 更に、HPバーが目に見えるスピードで回復し始める。

 そう、これこそが相手の手数が増えてでも『?デュラハン』を分離しておく理由。

 『?デュラハン』の騎士と馬が一体化している場合、回復力上昇のバフがかかっているような速さでHPバーが回復するように、全てのステータスが目に見えて上がるのだ。

 それでも場所と武器の都合で突撃攻撃の威力は著しく落ち、こちらの方が戦闘レベルが上なので、どうにかはなるが……うん、手早く騎士を倒してしまった方が良いだろう。


「「ーーーーー!!」」

「うおっ!『エンボリオ・エテル』!」

 なにせ、今してきて、通路全面を覆うように放たれているように、分離した状態で使っていた攻撃の内、闇属性の魔法と黒い炎のブレスは同時に使う事も出来るのだから。

 だから俺は『エンボリオ・エテル』で状態異常を防いだ上で、敢えて突貫。

 炎のブレスの範囲を素早く抜ける事で被ダメージを抑える。


「『ティラノス・ミデン』」

「っ!?」

「ーーー!?」

 そして斧の一撃で再び騎士部分を吹き飛ばす。

 騎士の残りHPは……70%を超えている。

 本当に面倒な能力である。

 やはり一気に仕留めてしまうべきなのだろう。


「ふんっ!」

「!?」

 何かしようとした騎士に対して俺は『ドーステの魔眼』を発動して動きを止める。

 そうして動きが止まり、隙だらけになった騎士に対して『レウ・ギィ』『エファス・フォティア』『ティラノス・ミデン』と言う三種類のバフが乗った斧を全力で振り下ろす。


「ふんっ!ふんっ!ふんっ!!」

 二度、三度と、倒れた騎士に馬乗りになり、動きを封じた所で、斧を振り下ろす。

 勿論、その間にも馬部分が蹴りによる攻撃を仕掛けてくるが、『レウ・ギィ』で重量が増加している俺を吹き飛ばす事は出来ずに、ダメージを与えるのみであり、ダメージだけであるために俺は馬の攻撃を自然回復で無理やりどうにかしつつ、騎士への攻撃を続ける。


「ふんっ!」

「ーーー!?」

 そして騎士を仕留めると同時に……


「ーーーーー!!」

「ぐっ……」

 馬部分が怒りにまかせるように黒い炎のブレスを吐き出し、俺にダメージを与えると共に、状態異常:イルネスを付与してくる。

 最大HPの減少量は……おおよそ30%程。

 今の俺のHPバーが最大値の20%ほどだから、これならば状態異常:イルネスによって設定された最大HPのラインにまで回復するよりも早く、状態異常:イルネスの方が回復することだろう。

 だが流石にこのHP量は拙いので、出発前に作っておいたリジェネメディパウダーを使用、HPバーを本来の最大値の40%ほどにまでは回復しておく。


「さて、残りはお前だけだな……」

「ーーーーー!」

 さて、デュラハン種であるが、馬と騎士の内、片方が倒れた場合もう片方が強化される事はあるのだろうか?

 答えはノー。

 生半可なヘイトコントロールではターゲットを奪えない程に倒した相手をしつこく追い続けるが、ステータスが強化される事は無い。


「!?」

「ま、お前だけなら大した事は無いがな」

 と言うわけで、適当な蹴りの瞬間を狙って抑え込めば、後は首の向きにだけ注意してタコ殴りにするだけである。

 こうして俺は『?デュラハン』を倒した。


「さて剥ぎ取りは……うん、美味しいな」

 なお、『?デュラハン』を分離させるメリットは戦いやすくなるのもそうだが、剥ぎ取りの際に騎士と馬部分で別々に剥ぎ取りを行えると言うメリットもある。

 一体化している時に倒した方がより良いアイテムを剥ぎ取れるようになると言う噂もあるが……まあ、今の目的は貴重品ではなくダンジョン攻略のための素材だから、数の方が重要である。

 そして剥ぎ取れたのは壊れた装備品(大槍)と『?デュラハン』の蹄鉄だった。

 これならば、俺が必要とする物もきっと作れる事だろう。

10/26誤字訂正

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