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AIOライト  作者: 栗木下
10章:創門街・タイバン

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568/621

568:108-7-S7

本日は二話更新です。

こちらは二話目になります。

【AIOライト 108日目 14:27 (5/6・晴れ) BL1・『沈黙招く水晶の庭園』】


「……」

 本音を言えば、『沈黙招く水晶の庭園』は早々に抜けてしまいたかった。

 なにせ何時ダンジョンの耐久度が底を突いて、俺ごと崩壊するか分かったものではないし、そうでなくとも周囲の物が全て水晶で出来ているために魔力を思う存分に振るう事が出来ない環境である。

 長時間滞在したいと思える場所ではない。


「はぁ……またお前らか」

 だが、早々と抜けたくても抜けられなかった。

 『沈黙招く水晶の庭園』が想像以上に広く、階段が見つからなかったというのもあるが、それ以上に出現するモンスターが戦闘を長引かせる者ばかりだったからだ。


「イブウゥゥ……」

 防御力は低くても、高いHPを持ち、強力な攻撃を持つ為に慎重な立ち回りをせざるを得ないサイレンイーター。


「ビイィィトオォォ……」

 とにかく堅く、攻撃力も馬鹿には出来ないサイレンビートル。


「「ブブブブブ」」

 嫌になるほど素早くて攻撃がなかなか当てられない上に、通常攻撃に状態異常:サイレンを伴うためにこちらの特性:ワクチンと『エンボリオ・エテル』による状態異常防御が剥されるサイレンロットイト。

 そして……


「キュコーン」

 撒いてくるのは状態異常:サイレンと言うよりも状態異常:スリープだが、反撃として状態異常を与える花粉をバラ撒くサイレンバルブ。

 そう、この四種類が今回の『沈黙招く水晶の庭園』で出現するモンスターだった。


「しかし四体同時は……拙いな!」

「「ブブン!」」

 サイレンロットイトが凄まじいスピードで俺に切りかかり、橙色の障壁が砕け散る。


「「ブンブブン」」

「……!」

 そして、橙色の障壁が砕け散るエフェクトが終わるのに合わせた追撃によって状態異常:サイレンが俺にかかり、起動文の発声が封じられる。

 想像通りではあるが、やはり張り直しは間に合わないか。


「ビトオオォォ!」

「イバガアアァァ!」

「……」

 と、ここでサイレンビートルとサイレンイーターが突っ込んでくる。

 なので俺は大きく跳躍しつつ、サイレンビートルよりも動きが少し早いサイレンイーターに『ドーステの魔眼』を放つ事で動きを鈍らせて回避を間に合わせる。

 で、着地と同時にサイレンバルブの方を向く。


「キュコーン!」

 サイレンバルブは蔓のような腕を大きく振りかぶりながら、俺に向かって飛んできていた。

 サイレンバルブ1体だけならば、これを受け止めて、状態異常:スリープを受けるのを前提に普通に反撃をすればいい。

 だが今は他にもモンスターが……それも攻撃力に優れた個体が居る。

 この状況で状態異常:スリープにかかるのは致命的だ。


「……」

「キュコ!?」

 なので俺はサイレンバルブの攻撃を正面から受け止めると、反撃として斧の腹でサイレンバルブの身体を横から撃ち抜き、吹き飛ばす。

 次の攻撃をしようと大きく口を開けていたサイレンイーターが居る方へと。


「イバガッ!?」

 サイレンイーターの口の中にサイレンバルブが入る。

 すると次の瞬間。


「キュコン!?キュココン!?キュコーン!!」

「イブッ!?イバガッ!?イバガアァァ!?」

「……」

 サイレンイーターの胃液でダメージを受けたサイレンバルブがサイレンイーターの口内で暴れ出す。

 それもただ暴れるだけではない。

 暴れるサイレンバルブが撒いてしまう状態異常:スリープによってサイレンイーターはサイレンバルブの事を吐き出したくても吐き出せず、サイレンイーターが吐き出してくれないためにサイレンバルブは暴れることになると言う悪循環を伴ってだ。


「ブブン!」

「ブブブーン!」

「ビトルウゥゥ!」

「……」

 だが何時までもこのループが維持されるわけではない。

 状態異常:スリープの耐性をサイレンイーターが得るか、サイレンバルブのHPバーが尽きてしまえば、それでループは終わりである。

 だからその間に俺は他のモンスターを倒さなければならない。


「……」

「ブゴッ!?」

「ビゴッ!?」

 故に俺は『ドーステの魔眼』とリジェネミスリルクリスを駆使してサイレンロットイトを攻撃。

 一匹ずつ確実に仕留めていくことで、手早く落としていく。


「ビトルウウゥゥ……ウッ!?」

「イバガアァッ!?」

 で、折角なのでサイレンビートルの突進を避ける時も方向を調整して、もがいているサイレンイーターにぶつからせる。


「キュコオオォォ……」

「イバガアァァッ……」

「ビ、ビトオオォォ」

「……」

 そうしてサイレンロットイトたちを片付けた俺だが……その頃にはどちらも瀕死近くではあったが、サイレンバルブはサイレンイーターの口内から脱出していた。

 だがまあ、問題はないだろう。


「おっ、治ったな。『エンボリオ・エテル』」

 サイレンロットイトが居なければ状態異常:サイレンを維持することは出来ないのだから。

 と言うわけでまずは『エンボリオ・エテル』によって状態異常防御を張っておく。


「で、『エファス・フォティア』から……行くぞっ!」

「キュコーン!」

「イバガアアァァ!」

「ビ、ビトオオォォ!」

 その後は単純だった。

 なにせ逐一『エンボリオ・エテル』を張り直して状態異常を防ぎつつ、『エファス・フォティア』によって炎を纏った斧で一匹ずつ片付けるだけなのだから。

 サイレンイーターとサイレンバルブのHPバーが減っていた事もあり、俺はあっさりと勝利を収めたのだった。

 ただ……やはり時間がかかるな。

 シアとネクタールが居ない影響はやはり大きいようだ。

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