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AIOライト  作者: 栗木下
10章:創門街・タイバン

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559/621

559:107-1

本日は二回更新です。

こちらは二話目です。

【AIOライト 107日目 06:43 (4/6・雨) 創門街・タイバン-ヘスペリデス】


「もぐもぐ、今日もシアのパイは美味しいな」

「ありがとうございます。マスター」

 翌朝。

 いつも通りにヘスペリデスで目を覚ました俺はシアが作ってくれた朝食を摂る。


「それでマスター、今日はどうしましょうか?」

「どうするもこうするも……まあ、今日はとりあえず手持ちの素材で、シアとネクタールが居なくなる穴をどう埋めるかを考えることになるな」

「あ、お茶を頼むのニャ」

「どうぞー。まあ、そうならざるを得ないですよね」

 今日の予定は考えるまでもない。

 『黒錠の迷宮-初級』攻略のための準備だ。


「エヴァンゲーリオ含め、ヘスペリデスで採れる各所薬草を加工すれば、私が居なくなる分はどうにかなりますよね」

「支援の効果量だけを見てもだいぶ格落ちするけどな。まあ、何とかはなる……と思う」

 『黒錠の迷宮』ではホムンクルスを連れて行けず、召喚する事も出来ない。

 PTメンバーと一緒に入る事も出来ない。

 つまり攻略にあたっては、プレイヤー一人でダンジョン攻略に必要な事を一通りこなさなければいけないと言う事になる。

 だからこそレア度はレア度:3と控えめになっているのだろうが……レベルによるゴリ押しをするなら、俺でももう少し戦闘レベルを上げる必要があるだろうな。

 具体的には戦闘レベル40か39は欲しい。

 だがそれでもシアが居なくなる分については、戦力面だけを見るならどうにか出来なくはない。


「問題はネクタールが居なくなる点だな」

「単独行動以外は何でも出来ますもんね。ネクタールって」

「ーーー……」

「ふぅ。いやー、相変わらずここの飯は上手いのニャ」

 問題はネクタールだ。

 ネクタールは俺のアクセサリとして一枠を埋めているが、ホムンクルスには違いないため、『黒錠の迷宮』に連れていくことは出来ない。

 そしてネクタールが普段やっている事と言えば……雨具として雨の防御、敵避け、ヘイトコントロール、攻撃の支援、一部特殊な移動の補助、携帯工房(ヘスペリデス)の入り口、『楽園(ピソ)の裏側(ヘスペリデス)』等々。

 うん、とてもではないけど、この穴を完全に埋めることなど出来ないな。

 精々、雨具としての機能と敵除けのための隠蔽機能、この二つを別のアクセサリで再現するのが限度だろう。


「と、そう言えば一つ気になったんだが、俺が『黒錠の迷宮』に入っている間、シアとネクタールはどうなるんだ?GM」

 と、此処で俺は気になった事が有ったので、何時の間にやら入り込み、朝食を食べていたGMに質問をする。


「んにゃ?ああ、質問ですか。その件に関係して、幾つかの伝達事項がありますので……まあ、詳しくはメッセージの方を見てください」

「メッセージの方を?」

「「……」」

 すると、一件のメッセージがGMから届く。

 目の前に居るのなら、直接説明すればいいのにと思うが……たぶん、面倒くさかったんだろうな。


「い、何時の間に来てたんですか!?」

「割と最初の方から居たのニャー」

「ーーー!?ーーーーー!?」

「ニャハハハ、このくらいの気配の隠蔽ぐらい出来ないとGMなんてやっていられないのニャー。あ、本気を出せばもっと隠れられるのニャ」

 と言うわけで、GMの存在に気づいていなかったシアとネクタールが驚いているのを横目にしつつ、俺はメッセージを読んでいく。

 で、その内容をまとめるのであれば……


・プレイヤーの錬金Lv.35以上かつレア度:PMのホムンクルスに限って、条件付きの単独行動を可能とするスイッチを搭載した

・単独行動と判定される条件はマスターであるプレイヤーから1キロメートル以上離れる事

・単独行動中はマスターが死に戻りしても、死に戻りに巻き込まれない

・マスターが召喚行動を行うと単独行動が解除され、マスターの近くに召喚される


 となる。


「と言うかシア?おみゃー、私に茶を渡していたじゃにゃいか」

「あっ!?」

「いやー、当然だけどまだまだ甘いのニャー」

 で、レア度:PMのホムンクルスごとに個別の条件もあるようだが……シアは何故か本人の同意のみだった、一体どういう事だろうな?

 対するネクタールは、誰かがネクタールを装備してくれる事が条件になっているようで、その際には俺の装備からもきちんと外れるらしい。

 まあ、シアにネクタールを装備してもらうのが妥当か。


「どうしてこんな機能を追加したんだ?」

「簡単に言ってしまえば、ホムンクルスに任せて怠けているプレイヤー対策の一環ですね。以前から自分はヒタイに籠って、ホムンクルスだけを外に出して日々の糧を得ると言う残念なプレイヤーが居たのです」

「それは確かに残念だなぁ……」

「と言うわけで、貴方と言うタイバンへの到着者が現れて、『黒錠の迷宮』に潜っている間はホムンクルスをどうするのかと言う問題が発生した事の解決も兼ねて、オンメンテで対応しました」

「なるほどな」

 うん、俺を含めて大半のプレイヤーは困らない変更内容だし、何も問題はないな。

 そもそも俺はもう単独行動のスイッチを入れられるようになったわけだし、メリットしかないな。


「ちなみに一部プレイヤーのレア度:PMのホムンクルスはこのスイッチ無しでも単独行動が可能となっています」

「元からそういう風に作ったホムンクルスだから、だな」

「ええ、そう言う事です。楽をするプレイヤーは締め上げますが、苦労しているプレイヤーにはその苦労に見合った報いが与えられないといけませんからね」

「道理だな」

 そんなわけで、『黒錠の迷宮-初級』攻略にあたっての懸念事項の一つは解消された。

 後は……まあ、錬金でどうにかするしかないな。

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