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本日は二話更新です。
こちらは一話目になります。
「ドラアァァ……ッツ!?」
「『エクナック・アネモス』」
「モスッ!?」
戦闘開始と同時にプレンドラフライに向けて俺は『エクナック・アネモス』を発動。
俺の指先から放たれた風の弾丸はプレンドラフライの翼を撃ち抜いて怯ませると同時に、その背後に居たプレンモスの片方も撃ち抜き、双方にダメージを与える。
そして、着弾後に発生した風によってその怯みをさらに大きくさせる。
「『癒しをもたらせ』『大地の恩寵をその身に』」
「「ーーーーー……」」
シアの支援が行われる中、プレンクラゲたちはゆっくりと森の中を移動し始める。
どうやら回り込んで攻撃を仕掛けてくるつもりであるらしい。
だが、対応している余裕はない。
「カメレッ……ッ!?」
「『ドーステの魔眼』」
遠くに居たプレンカメレオンが二本の脚で立ち上がると、こちらに向けて舌を伸ばそうとしてくる。
なので俺は『ドーステの魔眼』で阻止しようとし、実際にプレンカメレオンの動きが止まる。
「オンッ!」
「ちっ」
だが、その瞬間に怯ませたプレンカメレオンのすぐ横にもう一体のプレンカメレオンが現れて舌を伸ばし、俺の左腕に絡ませてくる。
どうやらカメレオンと言う生物のイメージ通りに、透明化能力を有していたらしい。
「カ……」
そして、舌を思いっきり引く事で舌を絡ませた相手を自分の近くに引き寄せる能力も持っているようだった。
しかし、それを黙って受ける気はない。
「『レウ・ギィ』」
「メレオッ!?」
俺は『レウ・ギィ』を発動して自分を重くする。
すると圧倒的な重量差が俺とプレンカメレオンの間で生じた為だろう、俺ではなくプレンカメレオンの身体が宙に浮き、俺に向かって飛んでくる。
「「モスー!!」」
「『アルケミッククリエイト』大地よ、一時の間壁となれ、アースウォール」
そんな中、プレンモスたちが水球を放ってくる。
だが、シアの『アルケミッククリエイト』によって出来上がった土の壁によってプレンモスたちの水球は完全に防がれ、無効化される。
「『ティラノス・ミデン』」
宙を舞うプレンカメレオンは隙だらけの姿を晒していた。
他のモンスターによる救援もない。
つまり、絶好のチャンスである。
なので俺は特性:バーサークを全開にすると同時に『ティラノス・ミデン』を発動して、特性:バーサークを強化。
更に魔力を可能な限り斧の刃へと集めていく。
「カ、カ、カ……」
「ふんぬっ!!」
そして飛んで来たプレンカメレオンの頭を全力で撃ち抜く。
するとそれだけで爆発でも起きたような音と共に大量の赤い燐光が生じ、プレンカメレオンのHPバーが底を突く。
どうやら隠密能力持ちなだけあって、素のステータスそのものは低目であるらしい。
「ドラフラアアァァ!」
「「ーーーーー」」
と、ここで俺を上と左右から挟み込むようにプレンドラフライと二体のプレンクラゲが突っ込んでくる。
また、『ドーステの魔眼』で怯んでいたプレンカメレオンはその姿を周囲に溶け込ませ、プレンモスたちもゆっくりと俺の方に近づいてきている。
「マスター!」
「問題はない」
『レウ・ギィ』の効果があっても別に問題なく動き回る事は出来る。
が、折角ネクタールのヘイトコントロールによって敵の方からこちらに寄って来てくれているのだ。
ならば、それを生かした方が都合が良いだろう。
「ぬおらあぁ!」
「ーーーーー!」
「ドラッ!?」
「「くぁwせd!?」」
と言うわけで俺はプレンドラフライの噛み付きによる攻撃をわざと受けて動きを止めた上で、ネクタールの槍、俺の短剣と斧で反撃を加えていく。
そして、電撃を放とうとしたプレンクラゲに対してはリジェネミスリルクリスを投擲することで動きを止める。
「すぅ……ふんっ!」
「ドラフッ……」
と、ここで何度目かの攻撃を受けたプレンドラフライが落ちる。
まあ、逃げたくてもネクタールに進路を阻まれて、槍で叩き落され続けていたし、その場で滞空し続けるプレンドラフライの攻撃では俺のHPの自然回復を上回れないのだから、当然の結果か。
「続けていく……ぞっ!」
「カメギャ!?」
で、斧を振り上げるついでに背後から俺に襲い掛かろうとしていたプレンカメレオンの喉を短剣で切り裂く。
なお、位置については俺に対してヘイトと言う名の繋がりを向けている時点で、丸見えも同然である。
「「モスーン!!」」
「それは効きません。『アルケミッククリエイト』大地よ、一時の間壁となれ、アースウォール」
「「モスー!!」」
これで残りはプレンクラゲ二体にプレンモス二体。
だがプレンモスについてはシアの『アルケミッククリエイト』で水球攻撃が封じられており、直接攻撃をしようにも本体の動きが遅いので、どうしようもなくなっており、ほぼ詰みの状態である。
「くぁwせdrf!!」
「tgyふじこl!!」
「『バーサーク・ミデン』解除。『エンボリオ・エテル』」
つまり後厄介なのはプレンクラゲのみと言う事になる。
そしてプレンクラゲの特性上、『ティラノス・ミデン』を切って、特性:ワクチンは重ねておいた方が良い。
なので俺は『エンボリオ・エテル』を発動した上でプレンクラゲの片方に向かって駆け寄っていく。
「ふんっ!?」
「mじゅmんhyrty!?」
そうしてプレンクラゲの片方に向けて今の俺の体重を乗せた一撃を当てる。
するとそれだけでプレンクラゲのHPバーは半分を切る。
「ーーーーー!!」
「ははっ!」
勿論、プレンクラゲも黙ってやられるような事は無く、反撃の電撃を放ってくる。
だが、そのダメージは大した事は無く、状態異常も無効化される。
そして、このダメージを受けた事で俺は気づく。
普段よりもシアの『大地の恩寵をその身に』による効果が大きくなっていて、HPとMPの回復スピードが速まっている事に。
そう、『レウ・ギィ』によって重量が増加した分だけ地面と近しくなったと言う判定がされ、効果が高まっていたのだった。
「コイツは都合がいい。『エンボリオ・エテル』!」
「h、hytxsぉmmsq!」
こうなればもはや負ける要素は無かった。
俺は『エンボリオ・エテル』を適宜継ぎ足しつつプレンクラゲを倒すと、シアにいいようにあしらわれ続けていたプレンモスたちも倒して、戦闘に勝利したのだった。
10/08誤字訂正




