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AIOライト  作者: 栗木下
10章:創門街・タイバン

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550/621

550:104-1

本日は二話更新です。

こちらは二話目です。

【AIOライト 104日目 10:27 (1/6・晴れ) ドウの地・南の砂漠】


「よっと」

 翌日。

 ヘスペリデスを出発した俺たちは一昨日と同じくエヴァンゲーリオ・ハルモニアーとネクタールの合わせ技によって極めてスムーズに砂漠を進んでいた。

 だがそれは同時に移動に伴う変化が乏しい事も示しているわけだが……どうやら今日は特に何の発見も無いと言う事にはならなさそうである。


「何だか空気が……」

「そうだな、変わってきた」

 移動開始からおおよそ三時間ほど。

 砂が完全に消え、ちょっとした山並に巨大な岩が立ち並ぶ岩場の丘を抜けている俺たちは空気が僅かに湿り気を帯び始めているのを感じ取る。

 それから空気の変化に合わせるように疎らに存在していた緑は明確な草木に変わっていき、その密度も僅かながらに増していく。


「マスター、これって……」

「ー、ーーー……」

「ふぅ、ようやくか」

 やがて俺たちは岩の丘を越え、周囲を一望できる場所に出る。

 そして、眼下に広がった光景にシアは大きく息を飲み、ネクタールも色彩を微妙に驚いた感じに変化させ、俺は多少大きめに息を吐いた。


「南の砂漠突破だ」

 俺たちの眼下に広がる光景。

 それは何処までも続くように見える森林であり、木々の間に薄くではあるが霧が立ち込めている鬱蒼とした森だった。



----------



【AIOライト 104日目 10:35 (1/6・霧) ドウの地・南東の森】


「凄い森ですね……」

「所謂、熱帯雨林と言う奴だな」

 さて、何時までも丘の上に居ても仕方がない。

 と言うわけで、俺たちは慎重に岩の丘を下り、ドウの地・南東の森に進入した。


「熱帯雨林……ですか?」

「ああそうだ」

 ドウの地・南東の森は天候表示にもそう表示されているように、霧が立ち込めている森であり、非常に視界が悪い。

 生命力に溢れた木々が高い密度で伸び、地面や樹の幹にはびっしりと苔が生え揃い、それらの間からは正体不明のツル性植物やシダ植物が顔を覗かせている。

 そのため、視界と移動ルートの問題から、エヴァンゲーリオ・ハルモニアーによる高速移動は無理と言う他なかった。


「森と一口に言っても色々とあってな。北西の森が寒冷地の森なら、こっちは熱帯の森をモチーフにしている。だからまあ……気温も湿度もかなり高いし、霧も出る。たぶん、雨が降る時には相当激しく降るだろうな」

「なるほど」

 また、熱帯雨林モチーフであるためなのだろう。

 気温も南の砂漠程ではないが高く、湿度も霧が出ているだけあって相当である。

 どちらも特に対策が必要になるレベルではないが……不快である事には変わりないな。


「さて、問題はどのあたりから北上するかだな……」

「あ、北上するんですね」

「まあな」

 まあ、いずれにしてもこの森を隅々まで探索するのは今ではない。

 今はまず、新たな街を発見し、そこで錬金術師(アルケミスト)ギルドを見つけて、直ぐに戻って来れるようにするのが先である。

 そして、街を探すのであれば……船が手に入るらしいビを目指すならば恐らく北東方向に向かうのが正解で、ケイカと囲いの山脈を挟んで対の位置になるような場所に都市があるとするならば、ここから真北に向かうのが正解だろう。

 で、此処まで話したところ、シアからこんな質問が飛んできた。


「そう言えば、西側のウハイとサハイみたいな都市は無いんですか?」

 まあ、当然の疑問ではある。


「ああそれな。俺の目で探した限りでは見当たらなかった。仮にあるとしても、砂漠の中じゃなくてこの熱帯雨林に埋もれる形になっていると思うぞ」

「つまり、何処を目指すにしてもまずは北上、と言う話になるんですね」

「そういう事だな」

 が、そんなものが在れば、何かしらの特殊な方法で隠されていない限りは俺の目に入ってくるはずである。

 そしてあったとしても、この南東の森の入り口に当たる岩の丘の北側から漂って来ていた剣呑な雰囲気と急峻な地形を考えると……まあ、向かわないのが適切だろう。

 恐らくだが、南西の草原と同じで囲いの山脈の方から何かしらのワンダリングモンスターが強襲を仕掛けてくるに違いない。


「と言うわけで、気を付けて向かうぞ」

「はい、マスター」

 そんなわけで、俺たちは時々方角を確認しつつ、北北東の方角に向かって移動を始める。


「と、来たか」

 そうして歩くこと数分。

 俺たちの視界にモンスターの姿が入ってくる。


「カメレ?カメレ」

 現れたモンスターの一体はプレンカメレオンLv.32。

 見た目は時折二足歩行を織り交ぜてくる巨大なカメレオンと言う所か。

 地味にこれまでの外のモンスターよりもレベルが高くなっているのは、俺たちがそれだけの移動をしたからだろう。

 で、他のモンスターは……


「「~~~~~」」

 まず、プレンクラゲLv.30が二体漂っている。


「「モスンモスモス」」

 そしてプレンモスLv.34も二体周囲を窺っている。


「ドラッフウウゥゥ……」

 で、最後にプレンドラフライLv.32と言う名前の、人間並みの大きさを持つ巨大蜻蛉が、巧みにホバリングして空中での位置を保ちつつ、俺たちの事を思いっきり睨み付けていた。


「レベルについてはともかく、地味に多いですね」

「だな」

 レベルについてはレア度:3の自動生成ダンジョンで見かける程度なので問題はない。

 数も……まあ、6体なら何とかなる。


「さて、バレているようだし、挑むか」

「ですね」

「ドラフラアアァァ!!」

 そして、プレンドラフライが俺たちに向かって突撃してくる事で他のモンスターたちもこちらの存在に気づき、戦闘が始まった。

10/21誤字訂正

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