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AIOライト  作者: 栗木下
10章:創門街・タイバン

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549/621

549:103-3

本日は二話更新になります。

こちらは一話目です。

【AIOライト 103日目 10:12 (新月・晴れ) ドウの地・南の砂漠-ヘスペリデス】


「さて、残りの起動文だな」

 さて、グリスィナ・スィンバシの持つ起動文でまだ効果を確認していないのは『ティラノス・ミデン』『エンボリオ・エテル』『グリスィナ・スィンバシ』の三つである。

 この内装備品と同じ名前の起動文である『グリスィナ・スィンバシ』については、現在俺の本体とGMが協議している内容に関わる起動文であるため、今の時点では試す事は出来ず、効果の内容的にも試す必要はない。

 なので、今は気にしなくていいだろう。


「じゃ、『ティラノス・ミデン』」

 俺は五つ目の起動文を発声する。

 すると左手中指の指輪を中心に俺の全身に力が漲り、それに合わせて俺のHPとMPが少しずつ減少し始める。


「すぅ……ふんっ!」

 俺はこの状態で更に特性:バーサークを発動。

 全身に赤黒い魔力を纏う。


「ほぉ……」

 そして特性:バーサークによる赤黒い魔力と『ティラノス・ミデン』によって漲った力が混ざり合い……その力を更に高める。

 『ティラノス・ミデン』の効果は、やはり元になったトリゴニキ・ピラミーダの『ティラノス』の強化版。

 特性:バーサークの大幅強化であるらしい。


「消費は『ティラノス』の時よりも大きいな」

 ただ、効果が高まった分だけ消費していくHPとMPの量も増えており、トリゴニキ・ピラミーダの時は自然回復が止まる程度だったのが、きちんとHPとMPが減るようになっている。

 この分だとシアの補助に『リアフ・ネロ』『レウ・ギィ』、それにギルドサポートによる回復力上昇を加えて、ようやく消費と回復が釣り合うくらいだろうか。


「解除、と」

 まあ、『ティラノス・ミデン』については自分の好きなタイミングで解除できるので、危険域に到達しそうになったら解除すればいいだろう。

 なお、ネクタールについては『レウ・ギィ』の効果が切れると同時に屋敷に帰っている。

 この先は特に危険を伴う起動文はないのだが……どうやら面倒だったようだ。


「さて最後だな。『エンボリオ・エテル』」

 俺は六つ目の起動文を発動する。

 するとHPとMPが最大値の5%ずつ消費されると共に、左手の中指から三角錐の形に橙色の障壁が発生して俺の身体を包み込む。


「効果自体は特性:ワクチンを任意で掛ける効果のようだが……」

 繋がりと今までの経験からして、この障壁がある限り状態異常が防がれるのは何となく分かる。

 そして、『エンボリオ・エテル』の効果によって張られた障壁は、グリスィナ・スィンバシ自体が持っている特性:ワクチンとは別枠であり、状態異常を受けた時にはグリスィナ・スィンバシの特性:ワクチンだけが先に剥がれるようになっているようだ。

 つまり、今の俺は二回まで状態異常を防げるらしい。


「『エンボリオ・エテル』『エンボリオ・エテル』」

 で、最も重要な事として、『エンボリオ・エテル』は三回まで重ね掛けをする事が出来るようで、重ね掛けをする度に橙色の障壁も三角錐から立方体へ、立方体から双尖六角柱……イメージしやすいところでは、水晶の結晶体の形に変化していくようだ。


「これで合計四回か。特性:レイシュアの影響で戦闘中に特性:ワクチンの効果が回復することはまずないし、状態異常対策はこっちがメインになるか」

 四回まで状態異常を問答無用で防げると言うのは、HPとMPの両方を消費することを考えてもなお、相当に強いだろう。

 だが問題が無いわけでもない。


「とは言え、効果時間の関係上、戦闘前に張っておくのは厳しいか」

 『エンボリオ・エテル』の効果時間は3分ほど。

 それが過ぎてしまえば、状態異常を受けていなくても勝手に消えてしまい、双尖六角柱の障壁も立方体になってしまう。

 特性:レイシュアによって『エンボリオ・エテル』の効果時間も延びているはずなのだが……それでも3分しか保たないとなると、戦闘中に逐一張り直すしかないか。

 仮に戦闘前に使うとすれば……敵が出てくるタイミングが分かっているボス戦くらいか。


「まあ、使い勝手はいいな」

 いずれにしても。グリスィナ・スィンバシが保有する起動文の中では最も有用で使い易い起動文と言う事は出来るだろう。

 状態異常対策が必要なのはナイトビュアラクネの件や『緋色の狩人(バルバロイ)』の件でよく分かっている事だしな。


「さて、これで起動文の確認は一通り済んだし……話し合いも終わったか」

 気が付けば俺の本体とGMの話し合いも終わったようだ。

 『グリスィナ・スィンバシ』についての取り扱いも定まったらしい。


「じゃあ、まずはこれだけ試してみるか」

 と言うわけで、俺はグリスィナ・スィンバシのギルドの象徴としての機能の一つ、ギルドサポートを発動させてみる事にする。


「さて……」

 左手に持つはヘスペリデス内で回収した特性:リジェネと特性:アブソーブを持つ回復力溢れる薬草、レア度:3。

 ぶっちゃけヘスペリデス内では幾らでも回収できるアイテムである。

 俺はそれを発動したいと頭で思いつつ……


「ふんっ」

 握り潰し、赤黒い炎で焼く。


「おー、面白いなこれは」

 するとギルドサポートが発動。

 回復力が僅かに上昇すると共に、攻撃に僅かばかりではあるがHP吸収効果が付いたようである。


「うん、これなら明日以降は少し楽になりそうだな」

 特性:オトガ、バーサーク、デコイ辺りがギルドサポートになってしまうと少々使いづらいが、これは色々と面白そうだな、うん。


「さて、屋敷に戻るか」

 そうして確認を終えた俺は屋敷に戻り……『リアフ・ネロ』の件でシアに怒られる事となった。

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