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AIOライト  作者: 栗木下
9章:双肺都市-後編

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543/621

543:101-8-X6

本日は二話更新になります。

こちらは二話目になります。

【AIOライト 101日目 17:00 (2/6・晴れ) ???】


「さて……」

 俺はレウの黒輪を取り上げると、指輪サイズに変更する。

 すると既にGMの手が入っているのだろう、『AIOライト』のアイテムとしての詳細が表示できるようになっていた。



△△△△△

レウ・フォ・エフィルの黒輪

レア度:EX

種別:その他

耐久度:100/100

特性:ヌル(存在しないはずの物質)


Llew fo efil. この文章の意味が分からない者は所有するべきでない。

密度を操る力は人の身には過ぎたる物であり、必要な時以外に開放されるべきではない。

これは本来ならば在ってはならない物質である。

※デスペナルティの対象にならない

※入手者以外の所持不可能

※特殊インベントリ格納可

※売却、破棄不可能

▽▽▽▽▽



「そうだな。折角だし、順番も入れ替えておくか」

 俺は左手だけ人間の姿にすると、レウの黒輪に他の黒輪、それにトリゴニキ・ピラミーダをそれぞれに相応しい指に填めていく。

 つまり、親指には切っ掛けである時空を司るエファス・フォ・エフィルの黒輪を。

 人差し指には機会を指し示すエクナック・フォ・エフィルの黒輪を。

 中指には俺自身が作り上げたトリゴニキ・ピラミーダを。

 薬指には繋がりを示すレウ・フォ・エフィルの黒輪を。

 小指には公平に扱うべきであると言う想いを込めてリアフ・フォ・エフィルの黒輪を身に着ける。

 並びにも、位置にも意味はあり、こうすることでそれぞれの指輪が持つ力はさらに強まると同時に、この後に俺がしようとしている事にとっても、プラスに働くだろう。


「で、このまま戻るのはアウトだよな。GM」

「アウトなんて次元ではないです」

 そうして指輪の入れ替えを行ったところで俺の背後に鎧を身に着け、槍を手に持ったGMが現れる。

 どうやら、俺の言動次第では……と言う状況であるらしい。


「まったく、無から有を生み出すと言う逸話は色々な世界である話ではありますが、本当の虚無から自分の肉体を作り上げるだなんて、創造神の中でも極一部の存在しか出来ない事ですよ」

 GMは呆れ顔で溜め息を吐きつつ、俺の方に近づいてくる。


「『AIOライト』は人間向けのゲームです。目的の都合上、ある程度までの神性存在までなら許容できますが、今の貴方の規模ではただ居るだけでゲームが破綻してしまいます」

「となれば……こうするしかないな」

 俺は右手の親指を少し噛んで血を出すと、それを地面に垂らす。

 そして、そこに左手から魔力を放ち、周囲の虚無と四元素から一つの存在を作り上げる。


「ああ、はい。それで問題はないです。まったく、それも結構難しい行為なんですよ」

 やがて造り上げられたそれは人の姿を為していき、両の脚でしっかりと大地を踏みしめる。


「「そうか、問題ないなら何よりだ」」

 俺は同じ言葉を違う口から同時に話す。

 そう、俺が作ったのは俺の身体。

 ただし、装備品以外はレウ・フォ・エフィルとの戦闘前の俺を模した肉体であり、『AIOライト』の中でも活動が許されるスペックの肉体でもある。

 現実世界の肉体を端末と称すならば、この肉体は分体とでも呼ぶのが正しいだろうか。


「分かっているとは思いますが、今後貴方の本体がヘスペリデスの外に出るのは控えてください。今の貴方では呼吸一つでも他者の運命を狂わせる……いえ、終わらせるだけの力を持っていますから」

「「だろうな。だからこそ、この肉体だ」」

 なお、当然ながら分体と俺の本体とは五感を共有しており、俺の意思通りに動かす事が出来る。

 今後俺の本体はヘスペリデスの私室で瞑想してばかりになるだろうが、はっきり言って、俺自身の感覚でも今までと全く変わりなく『AIOライト』をプレイする事が出来るだろう。


「と、そうだGM。一つ許可を貰いたい」

「何ですか?」

 俺は分体の口を閉じると、GMに一つ尋ねる。

 それはレウ・フォ・エフィルになる前の存在、名も無きエフィルたちを俺に仕掛けたとあるプレイヤーに対して、今のこの場から反撃をしてもいいかと言う問い。


「ああそれですか。現実含めてダメージを与えない形でなら許可しますよ。とんでも無いものを生み出してくれた責任を少しぐらいは取ってもらわないと。私も今回の事は少々頭に来ていますからね」

「ん、感謝する」

 俺はGMの許可を得て、左手を真っ直ぐ前に向けて、五指を揃えて伸ばす。


「では、少しばかりの天罰を与えよう」

 俺の目は既に奴を捉えている。

 奴の未来視では俺の存在はもはや認識できず、成立しない。


第零(アニパラクシア)元素(・スティヒオ・)砲撃(アコーディオ)

 俺の左手から魔力が放たれる。

 それは俺にしてみれば微々たる力。

 だが、普通の人間が浴びれば自身を構成する全てが虚無へと還り、終焉へと至るに十分な力である。

 そして、俺から放たれた力は時空と次元を超えて目標とする存在に向かって飛んでいき……


 『緋色の狩人(バルバロイ)』のギルマスの目前に穴に見えるような黒さの槍と言う形で突き刺さった。


 もしも直撃していればどうなっていたのかをちゃんと理解もさせるように。


「ほう、良いビビりっぷりなのニャー」

「そうだな。さて、俺はゲームに戻るか、同盟の彩砂を回収しないといけない」

「こっちもGM業務に戻るのニャー、いやー、バグだ不具合だなんだと言ってくるメールでご飯が進むのニャー、ニャーハッハッハ」

 そうして俺の本体はヘスペリデスの自室へ、分体は『AIOライト』内へ、GMも何処かへと移動し、俺とレウの戦いの為に『AIOライト』から分岐したこの空間は消滅した。

10/06誤字訂正

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― 新着の感想 ―
[一言] もうこれ完全にお母様の使徒の上位と同格以上になってないかな?
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