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AIOライト  作者: 栗木下
9章:双肺都市-後編

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531/621

531:100-15-S14

本日は二話更新になります。

こちらは一話目です。

「サラマァ!」

「開演よ!我が団員(ラプゥペェ)たちよ!」

「ヴィオ!バル!」

「潰して差し上げます!」

 グランギニョルがアブサディットたちを召喚し、シュヴァリエが武器形態となったヴィオとバルを握って、ソフィアがネリーと並んで、それぞれに『凍結招く精霊の王』に向かって駆けて行く。

 対する『凍結招く精霊の王』は左手に棒状に固めた炎を握り、勢いよく振り回そうとする。

 その攻撃はグランギニョルたちに当たっても甚大な被害をもたらし、グランギニョルたちが避けてダンジョンを構成する水晶に触れても致命的な被害をもたらすだろう。


「させるかっ!」

「『癒しをもたらせ』『大地の恩寵をその身に』!」

「ブリサ!ヴィエント!ゾッタさんに支援を!」

「ゾッタ君、支援するで!」

「威力を削ぐのじゃ!」

 だから俺もシアたちの支援を受けつつ前に出る。

 そして、俺のステータスが各種バフによって上昇し、『凍結招く精霊の王』のステータスが各種デバフによって下がったところで俺はネクタールと共に武器を構える。


「ンダァ!」

「ぬんっ!」

 『凍結招く精霊の王』の炎と俺の防御がぶつかり合う。

 状態異常:バーンと状態異常:フリーズが何度も表示されては消え、熱気と寒気と言う相反する感覚を覚えつつ俺のHPバーは削れていく。

 流石は炎の精霊と言うべきか、特性:フリーズと言うべきか、どうやら単純に攻撃の近くに居るだけでも、ダメージを受ける仕様になっているらしい。


「せいっ!」

「『アムサイス・ディム』!」

「はああっ!」

「サラマダ!?」

 だが、俺のHPバーが80%程になったところでシュヴァリエたちの攻撃が『凍結招く精霊の王』に殺到。

 『凍結招く精霊の王』のHPバーを10%ほど削ると同時に、『凍結招く精霊の王』を怯ませることで攻撃を途切れさせる。


「マスター!大丈夫ですか!?」

「問題なしだ!」

 攻撃が途切れると同時に俺のHPが回復を始めていく。

 しかし、『凍結招く精霊の王』の復帰もまた早かった。


「サラマンダアアァァ!」

「抑えます!」

「アブサディット!ブラフ!サングラント!!」

「ネリー!」

 『凍結招く精霊の王』が怒り狂った様子で四方八方に向けて炎を放つ。

 その大半は前線に居るグランギニョルたちによって防がれ、俺の方に来たものもロラ助が切り裂く事で防ぐ。

 だが一部はダンジョンの壁に触れ……水晶の壁に二つ目の大きなヒビが刻まれ、他にも細かいヒビが複数生じる。


「くっ、本格的に拙いわよこれ!ヒビが増えてる!」

「急ぐよ!紫電(ヴィオレ)一閃(エクレール)!」

「ザァ……!?」

 シュヴァリエの紫電を纏った攻撃によってHPバーを5%ほど削るダメージを受けた『凍結招く精霊の王』の動きが強制的に止まる。

 しかし、シュヴァリエの攻撃に反応するように水晶の天井にも大きなヒビが刻まれる。

 これは……拙いな、もうこちらの攻撃の余波にも碌に耐えられないか。


「サラマン……」

「ちょっ!?ここでバラ撒かれたらアカンで!?」

「ま、待って!?これ以上の威力なんて出したらそれこそ崩れるよ!?」

 先程と同じく行動不能から素早く復帰した『凍結招く精霊の王』の右手に炎が集まり、複数の火球を形成する。

 もしもあの攻撃がダンジョンに当たれば、確実にこのダンジョンは崩落するだろう。

 だが、これ以上の火力をこちらが出す事も出来ない。

 シュヴァリエの言うとおり、余波でダンジョンが崩落してしまう。

 となれば手段は一つ。


「ネクタール!」

 俺はネクタールを大きく展開しつつ『凍結招く精霊の王』の右手側に移動する。


「『守護を与えん』!」

「包み込め!」

「ーーーーー!」

「ダアアァァァ……!?」

 そして『凍結招く精霊の王』の放った火球をネクタールで包み込み……通常の倍以上のダメージ、いや、残りHPが10%を切るようなダメージと引き換えに、ダンジョンへのダメージを与えさせず、攻撃を飲み込む。


「ぐっ……今だ!」

「言われなくても!」

「ザラマッ!?」

 直後、俺、ネクタール、シア以外のメンバーが魔力を伴わない、あるいは極微量しか持たない攻撃が『凍結招く精霊の王』に向かって次々に、途切れなく叩き込んでいく。


「すぅ……はぁ……」

「回復アイテムを使います!」

 そうしてグランギニョルたちが攻めている間、俺はHPバーの回復に専念し、次に備える。

 そう、これ以上ダンジョンへダメージを与えるわけにいかないと言うのであれば、逆に話は簡単なのだ。

 誰かがダンジョンに与えられるダメージを肩代わりすればいい。

 ただそれだけの話であり、ネクタールが居る俺にはそれが可能だった。


「ゾッタ様!スクラドから回復アイテムを受け取るのじゃ!」

「ウチのも使っといて!」

「助かります!」

「ありがとうございます!」

 そして、そんな事が出来るのが俺だけだと分かっているから、リュドミラとボンピュクスさんの二人はホムンクルスが持っていた回復アイテムを俺に使い、俺のHPバーの回復をさらに高めていく。

 シアもMPを回復するアイテムを使って、次に備える。


「集中しろ……」

 こうして俺たちが回復をしている間にも『凍結招く精霊の王』のHPバーは削れていく。

 細々とした攻撃はロラ助たちが身を呈して防いでくれているから問題はなかった。


「サラマ……」

 だが、『凍結招く精霊の王』の残りHPが50%を切る直前。

 俺は崩落の未来に繋がるのを感じ取り、即座にそれを阻止するべく動く。


「させる気はない!!『ティラノス』!!」

「『守護を与えん』!!」

「ーーーーー!!」

 『凍結招く精霊の王』のHPバーが50%に到達した瞬間。

 俺はグランギニョルたちの攻撃を無理やり遮って、『凍結招く精霊の王』の周囲、全方向をネクタールで包み込む。


「ダアアアアァァァ!!」

 直後、ネクタールで作られた球体の中で『凍結招く精霊の王』が自身を中心とするように爆発。

 周囲一帯に熱波と爆風を放とうとした。


「ぐっ……」

 シアの張った水色の障壁は砕け散り、無理矢理に『凍結招く精霊の王』を抑え込んでいる俺のHPバーは瞬く間に減っていく。


「行け!」

「グッジョブよ!ゾッタ兄!!」

「サラマダッ!?」

 だが、俺は極僅かな量のHPを残して耐えきることに成功。

 そして俺がネクタールが引き戻すのと同時にグランギニョルたちが再び攻撃を開始する。


「はぁはぁ……回復……急ぐぞ!」

「はいマスター!」

 まずは一度、致命的な一撃を耐えきった。

 だが、崩落の未来に繋がる可能性がまだ見えている以上、何時次が来るかは分からない。

 だから俺はその場で片膝を着くと、HPバーの回復に再び専念し始めることにした。

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