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AIOライト  作者: 栗木下
9章:双肺都市-後編

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515/621

515:99-4

本日は二話更新になります。

こちらは一話目です。

【AIOライト 99日目 16:57 (4/6・晴れ) 同盟街・ウハイ-ヘスペリデス】


「長旅ご苦労様。グランギニョル」

「こちらこそヘスペリデスに招いてくれてありがとう。ゾッタ兄」

 そろそろ夕食の準備でも始めようかという時間。

 俺はヘスペリデスの中に30人を超えるプレイヤーを招き入れた。

 言うまでも無くグランギニョルたちを含む、ウハイを目指してきたプレイヤーたちである。


「シア」

「はい、今日の夕食は腕によりをかけて、作らせてもらいますね!」

「あ、シア。それじゃあこのお肉使って、僕たちが今日の道中で回収したものだから」

「ありがとうございます。シュヴァリエ」

 と言うわけで、シュヴァリエから肉を受け取ったシアにはラードーンたちと一緒に夕食を作りに行ってもらう。

 また、ロラ助や†黒炎導師†さん、それから俺が名前を知らない多数のプレイヤーたちには浴場に入る許可を与えて、夕食が出来るまでの間、ゆったりと疲れを癒してもらう事にする。


「さてと、だ。色々と突っ込みたい所があるから、まずはそこからでいいか?」

「ええ、別に構わないわよ」

 で、俺は残ったメンバーと話をする事にする。


「まず一つ、どうしてボンピュクスさんとリュドミラがここに?」

 俺がまず視線を向けるのは服飾向上委員会の実質的ギルマスであるボンピュクスさんと俺を神様扱いすることを公言して(はばか)らないリュドミラの二人である。


「ウチは単純に服飾向上委員会のギルマスに正式になるために『同盟の彩砂』の攻略が必要になるから来ただけやね。ソフィアは服飾向上委員会随一の武闘派やけど、本人的にはギルマスとかやりたくないらしいし。あ、ソフィアは明日の朝になったらこっちに来るそうやよ。向こうは向こうで今日サハイに着いたらしいから」

「なるほど」

 ボンピュクスさんが居る理由は分かった。

 どうやらプレイヤーが設立したギルドでギルマスになる、あるいはギルマスとしての権利を譲渡するためには、『同盟の彩砂』の攻略が必須であるらしい。

 ボンピュクスさんの一人称が変わっている件や、ソフィアが明日にはこちらに来ると言う話は……スルーしておこう。

 ローエンたちがサハイに辿り着いたと言う話は気になるが、それが賢明だ。


「で、リュドミラは?」

「そんなもの、ゾッタ様に会いたかったからに決まっているのじゃ。そして妾はゾッタ様を神とする宗教ギルドを必ず作り上げるのじゃ!」

「作るのは個人の自由だが、俺が加わる事はないからな。そのギルド」

「そんなのは百も承知なのじゃ!」

 リュドミラは……まあ、ある意味分かりやすい理由だったか。

 宗教ギルドと言う響きにはそこはかとない不安を覚えるが、俺にはどうしようもないな、これは。

 とりあえず何かしらの問題をそのギルドが起こした時には、GMに全面協力の方針で行くとしよう。


「ゾッタ兄、他に質問は?」

「そうだな……後は道中に何があった?」

 さて、見慣れない二人が居る理由は分かった。

 となれば後尋ねるべきはただの移動だけで生じるとは思えない程に疲れたプレイヤーたちの様子についてだろう。


「「「……」」」

「言いづらいなら、別に言わなくてもいいぞ。だいたいの察しは付くからな」

 俺の言葉に、この場に残っているプレイヤーの内グランギニョル以外……シュヴァリエ、トロヘル、ブルカノさん、ボンピュクスさん、リュドミラ、ジャックさんの五人が顔を見合わせる。


「あー、簡単に言ってしまうとだ。道中で二回ほど『緋色の狩人(バルバロイ)』に襲われた」

「ああ、出発して一日ほど経った頃と、今日の午前中に一度だ。おかげで、当初は50人近くいたプレイヤーが30人ちょっとまで減らされてしまった」

 意を決した様子でトロヘルとジャックさんの二人が何があったのかを簡単に語ってくれる。

 それによればウハイまでの旅路で『緋色の狩人』の奇襲が二回あった。

 内通者も利用した不意討ちは厄介としか言いようが無いものであり、結果として十人ほどのプレイヤーが死に戻りする事になったらしい。


「でまあ、それだけなら予め想定していた事ではあったんだが……」

 トロヘルの視線がグランギニョルに向く。


「「「……」」」

 他の面々の視線もグランギニョルに向く。


「何かしら?」

 そして、それらの畏怖と言う感情と繋がった視線を受けたグランギニョルは微かに笑う。

 どす黒い感じの気配を漂わせつつ。


「ああなるほど。メニューの所属ギルドの欄の表示でも強要したんだな。で、断ったらPKタグが付く事も覚悟して殺したと」

「ええそうよ。待ち伏せへの警戒はリュドミラが自前の魔法とやらで何とかしてくれていたけど、ゾッタ兄じゃあるまいし、内通者への対処法なんてそれしか無かったもの」

「そうだな。グランギニョルの能力と実力ならそれで正解だと思うぞ」

 俺はグランギニョルの言葉に同意を返しておく。

 実際、俺のような特殊な眼でもなければ、誰が『緋色の狩人』に属しているかなど分かるはずがないのだ。

 そう考えたら、グランギニョルの対応は正しい。

 それと、現時点でグランギニョルにPKタグが付いていない辺り、恐らくは一回目の襲撃時点でこの対処法はやったのだろう。

 うん、悪い芽は早めに摘むべきと相場が決まって言るし、実に正しい対処法だな。


「ボソッ……(あの時のグランギニョルは凄かったよねぇ……本当に女王様って感じだった)」

「ボソッ……(ゾッタ様の従兄弟と言うのも納得の強さと恐ろしさだったのじゃ)」

「ボソッ……(正しく処刑だったしなぁ……)」

「ボソッ……(そのおかげでウチらは無事にウハイに辿り着けたんやし、それでいいとしておこ)」

「ボソッ……(そうだね。それで正解だとアタシも思うよ)」

 なお、他五人の言葉については聞こえていないふりをしておく。

 畏怖と言う感情がグランギニョルに向けられるのは、俺にとって都合が良い事だからな。


「ま、そんなわけで結構面倒事が多い道中だったの」

「大変だったんだなぁ……ま、明日の朝までゆっくりと休んでくれ」

「ええ、そうさせてもらうわ」

 そうして、この日はウハイ到達を記念した宴会となったが、明日以降が本番と言う事もあって、全員早目に就寝したのだった。

 その影でグランギニョルに対する畏怖の影響があったのかについては……気にしないでおく事としよう。

09/10誤字訂正

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[気になる点] >  俺の言葉に、この場に残っているプレイヤーの内グランギニョル以外……シュヴァリエ、トロヘル、ブルカノさん、ボンピュクスさん、リュドミラ、ジャックさんの五人が顔を見合わせる。 人数が…
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