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AIOライト  作者: 栗木下
9章:双肺都市-後編

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507/621

507:98-2-D1

本日は二話更新です。

こちらは二話目です。

「スコッ!」

「ふんっ!」

「『癒しをもたらせ』」

 ナイトビュスコーピオンの右の鋏の一撃と俺の短剣による防御がぶつかり合う。

 その衝撃は重く、防御したにも関わらず俺のHPは5%削られている。

 だが、この一撃はただの牽制でしかなかった。


「ピオッ!」

「っつ!?」

「『大地の恩寵をその身に』」

 ナイトビュスコーピオンの口から紫色の液体に包まれた針のような物体が射出され、俺の身体に突き刺さると同時に僅かなダメージと共に橙色の障壁が現れて割れる。


「ピイィィオン!」

「くっ!?」

「『力を和らげよ』」

 続けてナイトビュスコーピオンの尾が振り下ろされ、俺は咄嗟に身を捩る事でこれを回避。

 しかし、僅かに掠っていたようで、俺のHPが減ると同時に状態異常:ポイズンと状態異常:パライズが表示される。


「スウゥゥコオオォォ……」

 こちらが状態異常:パライズにかかったことを確認したのか、ナイトビュスコーピオンが左手の鋏を大きく振り上げる。

 間違いなく本命の一撃である。


「ぬおらぁ!」

「『アブソーブ』!」

「ーーーーー!」

「ビゴッ!?」

 が、こちらは回復力特化。

 状態異常:パライズは即座に解除され、ナイトビュスコーピオンの顔面に俺の斧とネクタールの槍が、尾の中間辺りにはシアの『アブソーブ』が命中。

 状態異常:ルストを与えつつ、ナイトビュスコーピオンにたたらを踏ませ、追撃を防ぐと同時に後退させる。


「スコピオオオォ……」

「やれやれ、想像以上に危ないな……」

「全くですね……」

「ーーーーー……」

 幾らかの距離が出来た所で、ナイトビュスコーピオンの様子を見つつ、俺たちは態勢を整える。

 幸いにして状態異常:ポイズンも俺のHPを5%ほど削ったところで治っているし、補助魔法もかかっているから、こちらの状態は悪くない。

 が、相手のHPはまだ90%以上ある上に、状態異常:ルストしか入っていない。

 次はこっちに状態異常:パライズが入っても隙など見せてくれないだろうし……ああうん、総合的に見たら案外ヤバいかもしれないな。

 流石はレア度:4だ。

 一気に難易度が高くなった。


「他の敵が来ても面倒だ。なるべく早めに片付けるぞ」

「はい、マスター」

 俺はシアと一度頷き合うと、ナイトビュスコーピオンに向かって駆け出し始める。


「スコピオオォォ……」

 対するナイトビュスコーピオンは尾と鋏を軽く上げて、迎撃の体勢を見せている。

 そして俺がナイトビュスコーピオンの間合いに入った瞬間。


「スコ……」

「むんっ!」

「『カース』!」

 ナイトビュスコーピオンは鋏を振り下ろそうとし、俺は『ドーステの魔眼』を撃ちこみ、シアは『カース』をかけてナイトビュスコーピオンを状態異常:カースにする。


「ッピオッ!」

「ぐっ!?」

 だが流石は格上と言うべきか、ナイトビュスコーピオンは俺の『ドーステの魔眼』を受けてもコンマ1秒と止まらずに攻撃を仕掛けてくる。

 そして、俺にダメージを与え、状態異常:カースの効果によって反射ダメージを受けるが、そうして受けたダメージは極々僅かな物だった。


「だが、この距離ならば!『ティラノス』!」

「ズゴッ!?」

 しかし、コンマ一秒の影響で俺はナイトビュスコーピオンの予想よりも少しだけ内側に居た。

 だから俺は一瞬だけトリゴニキ・ピラミーダの『ティラノス』を発動させつつ、魔力を注ぎ込んだ斧をナイトビュスコーピオンの顔面に叩きつける。


「ズゴ……ピギョッ!?」

「ーーーーー!」

 更に口から毒針を放とうとしたナイトビュスコーピオンの口内に向けてネクタールが槍を突き出して追撃。

 ダメージと共に状態異常:イルネスを与える。


「スコピ……ッツ!?」

「『アルケミッククリエイト』、草木よ!蔓となりて彼の者を束縛せよ!アイビーバインド!」

 続けてシアの『アルケミッククリエイト』が発動。

 反撃を行おうとしたナイトビュスコーピオンの鋏と尾に蔓を絡み付かせ、ほんの僅かな間ではあるが、その動きを停止させる。


「すぅ……ふんっ!」

「ピギョウッ!?」

 そして、その僅かな時間を使って俺とネクタールは全力の一撃を再びナイトビュスコーピオンの顔面に向かって叩き込み、たたらを踏ませ、後退させる。


「ス……スコピオ……」

「なんつー堅さだ……」

 だが、ここまでやってもなおナイトビュスコーピオンのHPは最大値の60%程残っていた。

 正直に言って呆れたくなるような堅さである。

 状態異常の方はポイズンも入り、状態異常:ルスト、状態異常:イルネスとの相乗効果も発揮していると思うのだが……それでもナイトビュスコーピオンのHPバーの減りは遅い。

 状態異常:ペインが入る気配もない。

 ああうん、本当に強いな。

 そして厄介な事にだ。


「マスター、援軍が来てしまったようです」

「みたいだな。しかも未知のが来てる」

「「……」」

 生垣の向こう、ナイトビュスコーピオンの背後から二体の人影が現れている。

 彼らは麦藁帽子を被っていて、衣装は全体的に質素だ。

 名称はナイトビュファーマー、レベルは35と37。

 そして武器は……


「「ーーーーー」」

「まあ、庭園と言う環境に合わせてなんだろうな……」

「いずれにしてもこれは拙いですね」

 ナイトビュスコーピオンの両手に付いているものよりもさらに一回り大きい、人の上半身ほどの大きさがある巨大な金属製のハサミ。


「「ーーーーー!」」

「スコピオオォォ!!」

「来るぞっ!」

「はい、マスター!」

「ーーーーー!」

 そしてナイトビュスコーピオンとナイトビュファーマーたちは同時に俺たちに向かって駆け出してきた。

09/03誤字訂正

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