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本日は二話更新です。
こちらは二話目です。
【AIOライト 94日目 12:47 (半月・晴れ) 同盟街・ウハイ】
「ゴレムゥ……」
「よし、倒したな」
昼食を挟んでもウハイの探索は続く。
今は丁度プレンゴーレムを撃破した所である。
「こうして相手をしていると、数が多いプレンアントよりも数が少ないプレンゴーレムの方が対処は簡単かもしれませんね」
「んー、そうかもな」
【ゾッタの戦闘レベルが34に上昇した。戦闘ステータスの中から上げたい項目を一つ選んでください】
と、ここで随分と久しぶりに戦闘レベルが上昇する。
上げるステータスに迷いはないが、本当に久しぶりの事である。
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ゾッタ レベル34/38
戦闘ステータス
肉体-生命力20・攻撃力10・防御力10・持久力9・瞬発力10・体幹力10
精神-魔法力10・撃魔力10・抗魔力7・回復力39+20+10・感知力10・精神力11
錬金ステータス
属性-火属性10・水属性10・風属性10・地属性10・光属性7・闇属性10
分類-武器類20・防具類15・装飾品15・助道具20・撃道具15・素材類18
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「何だか随分と久しぶりな気がしますね」
「まあ、ここ最近苦戦らしい苦戦もしていなければ、同格相手に戦ったという記憶もないからなぁ。それを考えると妥当なんじゃないか?」
俺は回復力を1上げて39にしつつ、ここ最近の戦闘を思い出してみる。
が、死に戻りさせられた『秘匿する竜の王』、経験値になっているか怪しいPKプレイヤーたちとの戦闘を除くと、本当にここ最近は格下相手としか戦っていなかった事に気づく。
大抵のRPGがそうであるように、『AIOライト』でもレベルが上がれば上がるほど次のレベルアップに必要な経験値の量が増えると思っていいだろう。
そして特性やレベル差による補正が存在している事も分かっている。
そうして考えていくと……もしかしたら今後のレベル上げにはレア度:4の自動生成ダンジョンで戦う事が必須になるかもしれないな、うん。
「あ、マスター、あそこに横穴がありますよ」
「お、本当だな」
さて、そんな事を考えつつ、俺とシアはウハイの端の方……より正確に言えば、北側の岩壁の前にまでやってくる。
そこに在ったのはウハイの南側に在るものによく似た洞窟である。
「これって、ウハイの北側に繋がっている。と言う事でいいんですよね」
「順当に考えればそういうことになるな」
洞窟からは冷たい風が吹き込んでおり、何処かに繋がっている事は間違いなさそうだった。
問題は何処に繋がっているかだが……。
ウハイの北側、ケイカの東側、サハイの南側にそびえる山脈の麓、場合によっては山脈のど真ん中に通じている可能性もあるだろう。
つまり途中で引き返さざるを得ない可能性は高い。
だが、それを考えてもなお気になる洞窟でもある。
「地形ダメージの類を受けない範囲で行ってみるか」
「分かりましたマスター」
と言うわけで、俺たちは洞窟の中に入っていった。
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【AIOライト 94日目 14:02 (半月・晴れ) 囲いの山脈】
「名前が変わったな」
「あ、本当ですね」
歩き続けること約一時間。
メニュー画面に表示される名称が同盟街・ウハイから囲いの山脈に変化する。
「でも、洞窟は終わりませんね」
「そうだな。何処かに繋がっている事は間違いないんだが……直ぐに外に出られる感じはないな」
そして、それに合わせるように周囲の壁面からは水晶の煌めきが減っていき、代わりであると言わんばかりに冷たさが増していく。
「と、分かれ道か」
「東寄りと西寄り、と言う感じですね」
順当に考えれば、今俺たちが居るここはあの雪山が連なっているエリアの地下である。
なので、何処かで地上に上がる事になった場合には、寒さ対策が必須になる事だろう。
で、分かれ道については……
「折角だし東寄り……右の通路に行くか」
「理由は?」
「地上に上がれた時、例の火山から遠い方が少しは安心できるし、たぶん寒いところは苦手だろうからな」
「あ、なるほど」
とりあえず右を選ぶ。
理由はこう言ったが、まあ、ほぼ勘みたいなものである。
あのプレンアキアプテラなら多少の寒さや距離など有って無いようなものだろうしな。
「ん?」
で、更に歩くこと暫く、だいぶ肌寒くなってきた頃。
俺たちの前に一体のモンスターが現れる。
「鏡……ですよね」
「そうだな」
「「みら~ん」」
名前はプレンミラーLv.29とLv.31。
見た目としては人の顔程の大きさを持つ鏡が宙に浮いている、という表現になるか。
縁に付けられた装飾の類の多さから見て、高級品そうな雰囲気はある。
なお、マーカーはアクティブのそれである。
「「みら~ん!」」
「うおっ!?」
「キャッ!?」
二体のプレンミラーが向かい合うと、その鏡面から光を放ち、目眩ましを行ってくる。
だが、ダメージも無ければ、状態異常の表示も無かった。
プレンミラーたちがこちらに攻撃を仕掛けてくる気配もない。
問題は……
「うげっ……」
「え?」
「「「みら~ん」」」
光が止んだ時、二体しか居なかったはずのプレンミラーが三体に増えているという点だった。
「ミラーン!」
「増殖モンスターか!?」
そして増殖したプレンミラーが俺に向かって突進してくる形で、戦闘は始まった。




