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AIOライト  作者: 栗木下
9章:双肺都市-後編

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496/621

496:94-2

本日は二話更新になります。

こちらは二話目です。

【AIOライト 94日目 07:56 (半月・晴れ) 同盟街・ウハイ】


「さて、着いたな」

「やっぱり人は少ないですし……もう行っちゃいましたね」

「ま、予想通りだな」

 やはりと言うべきか錬金術師(アルケミスト)ギルド・ウハイ支部には殆どプレイヤーが居なかった。

 そして数少ないプレイヤーについても、予め組む相手や目的が決まっていたのだろう。

 直ぐにウハイ支部の外に出ていく。

 まあ、今日この時点でウハイ支部に居るという事は、『菫青石の踏破者』に元々所属しているか、所属する気がないプレイヤーであり、彼らの目的は『同盟の彩砂』のダンジョンへと挑むか、同盟の彩砂そのものの入手が目的。

 ソロで来た俺のようなプレイヤーを入れる隙間などあるはずがない。


「それでマスター。私たちはどうしましょうか?」

「とりあえず今日の所はウハイ内部の探索だな。どういうアイテムが手に入るかの確認をしたい」

「分かりました」

 そんなわけで、俺たちも当初の予定通りウハイの探索を始めることにした。



----------



【AIOライト 94日目 09:12 (半月・晴れ) 同盟街・ウハイ】


「ふんっ!」

「アリィ……」

 ウハイ探索開始から一時間。

 探索は概ね順調に進んでいた。


「周囲に敵影なし。お疲れ様です、マスター」

「おうっ」

 まあ、当然と言えば当然の流れだろう。

 こちらはプレイヤー一人にホムンクルス二人だけではあるが、全員がレア度:4かレア度:PMの装備を身に付けている最前線組。

 対するはLv.30前後の特性:プレンのモンスター。

 相手の性質や数にさえ注意すれば、負ける要素など何処にもないのだから。


「装備の方は大丈夫ですか?」

「今回は吐かせなかったから大丈夫だ」

 そう、相手の性質に注意すれば、だ。

 今戦ったプレンアントだが、Lv.29まではただ群れで行動し、連携行動をとり、時折別の群れを呼び寄せる他は少々防御力が高いだけのモンスターだった。

 だが、どうやらLv.30からは酸のようなものを使うようで、口から吐かれたそれがかかると状態異常:ルストの発症あるいは装備品の耐久度への直接的なダメージがある。

 そのため、一戦目の時には戦闘終了後直ぐにヘスペリデスに移動して、装備の耐久度回復をする事になった。


「それにしてもプレンアントって意外と強いんですね」

「そうだな。案外油断は出来ない。この分だと……プレンゴーレムはともかく、プレングローバグにも妙な能力が生えているかもな」

「油断は全くできない、と言う事ですね」

「そうなるな」

 ウハイにて基本的に遭遇するモンスターは後二種類、プレンゴーレムとプレングローバグだ。

 後者については基本的にはノンアクティブなので、近くで戦闘をしなければ無害だが、プレンゴーレムの攻撃力と防御力には注意するべきかもしれない。


「と、採取ポイントが有るな」

 さて、今日の探索でやるべき事は戦闘だけではない。

 と言うわけで、俺は手近な採取ポイントで採取を行う。

 すると、普通の水晶が手に入ったので、詳細を開いてみる。



△△△△△

普通の水晶

レア度:3

種別:素材

耐久度:100/100

特性:プレン(特別な効果を持たない)


無色透明な石英、クオーツと呼ばれる事もある。

その色合いによって名前が変化する鉱物であり、魔力に対して高い感応性と受容性を有するとされる。

宝石として用いるのが一般的であるが、それ以外の用途も存在する。

▽▽▽▽▽



「水晶……そう言えば、ギニョールが言ってました。水晶に魔力を流し込むと、魔力を蓄えておけるそうです」

「へー」

 手のひら大の大きさの水晶は、持っている俺の掌が見える程度には透明度が高いものだった。

 で、シア……と言うかギニョールによれば水晶には魔力を蓄える性質があるらしい。


「じゃ、ちょっと試してみるか」

「あ、マスター……」

 と言うわけで俺はほんの僅かに……そう、本当に僅かな量、俺の魔力を最大限に分割した量を試しに流し込んでみた。

 そう、本当に僅かな量の筈だった。


「ぶわっ!?」

「きゃあっ!?」

「ーーーーー!?」

 それなのに次の瞬間には俺の手の中で水晶は弾け飛び、赤黒く染まった欠片をバラ撒き、最後には粉になってそのまま消え去ってしまった。


「えーと?」

 俺は思わずシアの方を向く。


「その、これもギニョールが言っていました。水晶に魔力を込め過ぎると爆発するから注意が必要だと」

「……。俺、ほんの僅かにしか流していないつもりだったんだけど」

「……。とりあえずマスターが今後水晶に魔力を込めるのは禁止、という事でいいんじゃないですか?」

「そうだな」

「そうしましょう」

 非常に気まずい空気が流れる。

 だがまさかとしか言いようが無かった。

 俺は俺が扱える最小の量の魔力しか流していない。

 それなのに弾け飛ぶというのは……流石に予想外だった。


「はぁ。ま、俺の魔力を込めた何かが欲しいなら、自家製ミスリルでいいか」

「そうですね。マスターならその方が都合がいいと思います」

 手に入らない物は仕方がない。

 そう判断すると、俺たちはウハイの探索を再開した。

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― 新着の感想 ―
[一言] バケットホイールエクスカベーターでワイングラスに注ごうってのは気狂いの域の修練がいるよねw
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