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AIOライト  作者: 栗木下
9章:双肺都市-後編

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489/621

489:92-1

本日は二話更新です。

こちらは二話目です。

【AIOライト 92日目 19:57 (1/6・晴れ) 鉱山街・ケイカ-ヘスペリデス】


 翌日。

 俺は午前中は服飾向上委員会で購入した設計図を使用して、ヘスペリデスに存在する諸々の物品の外見を変更。

 今まで以上に和風の屋敷として整った物にした。

 そして午後は鉱山街・ケイカに移動して、北坑道で普通の銀鉱石を集め続けた。

 目的は言うまでも無く自家製ミスリル化によるリジェネミスリルクリスの量産である。


「ま、時間が無いからインゴットにするどころか、ミスリルにするのもメンテナンス終了後だけどな」

 ただまあ、実を言うと普通の銀鉱石の集まりはあまり良くなかった。

 こういう日に限って採取ポイントでは魔銀鉱石が大量に採れてしまったし、交換しようにもメンテナンス直前と言う事で鉱山に居るプレイヤーの数は控えめだった。

 おまけに俺以外にも自家製ミスリルの生成に成功したプレイヤーが出てきた影響なのか、メンテナンス前の暇な一日を利用して、自分も自家製ミスリルを造り出してやろうというプレイヤーが多数発生。

 彼らの影響で交換に応じてくれるプレイヤーの数が多少ではあるが減ってしまった。

 余った普通の魔銀鉱石は……この際、適当なポットか急須あたりの容器にでもしてしまってもいいかもしれない、使わないしな。


「で、メンテナンスと言えばだ」

 さて、現在の状況だが、夕食も食べ終わり、風呂も入って、後はもう適当に時間を過ごした上で寝るだけと言う状況である。

 なので俺も自室に移動して、カプノスを吹かせ、ハルモニアー発動時の姿になっている。


「ヘスペリデスはそのままなんだよな。GM」

「ええ、そのままです」

 で、いつの間にか部屋の中に大量のつまみと酒を持って現れたGMへと視線を向ける。


「以前メッセージでも伝えましたが、ヘスペリデスは『AIOライト』の範疇で見てもレア度:PM。GMである私の管轄外ですから。メンテナンス中でもそのままです」

「『AIOライト』の範疇外で見たら?」

「最低限の手は加えましたけど、どうして貴方の管理する異世界を私が管理しないといけないんですか、という感じだニャー」

「なるほどな」

 GMが徳利から杯へと酒を注ぎ、渡してきたので、俺はそれを飲む。

 飲むが……うん、これ毒入りだな。

 GMが入って来て何かしらした影響で今の俺には契約による制限がかかっておらず、その状態の俺には何の影響もないし、美味いから問題はないが毒入りだな。


「あ、やっぱり(チン)の羽根の毒くらいじゃ効果が無いみたいですね。味とかはどうですか?」

「味は普通の酒より美味いくらいだな。手足の痺れとかは……この姿だと無いな。まあ、ゲームの仕様に縛られている状況だと状態異常:バインドや状態異常:ポイズンが入る感じはあるな」

「ついでにこっちも食べます?とある世界で暴れまわっていたフグ系の魔獣の内臓の干物なんですけど」

「思いっきり毒物だな。食べるが」

 どうやら今回GMが持ち込んだ酒とつまみはほぼ全てが有毒のものであるらしい。

 そして一々感想も求めてくるあたり……もしかしなくてもアップデート前のネタ出しとか調整とかに使われているか?

 まあ、味は悪くないどころか美味いの領域なので、一般的には毒物であり、食べてはいけないものである事は気にしないでおこう。


「それで、話を戻すが。メンテナンス中、ヘスペリデスはそのまま。シアたちもヘスペリデスに滞在したまま、だったな」

「ええ、その通りです」

「俺はどうなる?正直なところ、今の俺はこっちに居るのが本体で、現実世界の肉体は端末と言った方が正しい状態なんだが」

「そこは帰っておきましょうよ。主に家族と私の為に。と言うか、こっちに居てどうするんですか、GMとしてメンテナンス期間中にゲームの仕様を利用した錬金や修練は認めませんよ」

「まあ、そうだよなぁ……」

 どうやら一人だけ現実世界で過ごさないという選択は許されないらしい。

 まあ、GMにしてみれば当然以外の何ものでもない判断なわけだが。


「しかし現実かぁ……今回もトラブルが起こる予感しかしないんだよなぁ……」

「エファス関係という意味でですか?」

「いや、リアルの人間関係と言うか魔法関係で」

 ただまあ、俺が嫌がるのには相応の理由があるわけで……ぶっちゃけて言うとメンテナンスが始まる前である今の時点から、既にそっち関係の繋がりが見えまくっている。


「そういや、垢BAN条件だが、正当な理由なくゲームの中で得た物品や能力を使って、現実の人間や物品に著しい損傷を与える。で、いいんだよな」

「ええ、その通りです。私の守護を利用して、事を起こされても癪ですからね。そう言う訳で、今回のメンテナンスで『緋色の狩人(バルバロイ)』に属するプレイヤーが具体的な行動を起こす可能性はないでしょう。今暴れても何も出来ませんから」

「いや、連中についてはどうでもいい。いざとなればどうとでも出来るしな。問題はお前の守護と垢BANになりかねない諸々の兼ね合いなんだが……」

「私の守護は対象者にとって脅威になるものに限定されますね。あの会社に頼んだ貴方の護衛もエファス関係と言うか外側関係だけです。でないとコストがかさんで仕方がないですから」

「だよなぁ……」

 で、その繋がりへの対処もあって、改めて垢BAN条件と守護の条件をGMに尋ねたのだが……どうやら自分で何とかするしかなさそうである。


「弱い事こそが脅威になるとは皮肉なのニャー」

「はぁ……、ま、どうにかするしかないな」

 そうしてGMに勧められるままに酒とつまみを食べつつ、俺はメンテナンスの開始時刻を迎えた。

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