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AIOライト  作者: 栗木下
9章:双肺都市-後編

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485:91-4-S3

【AIOライト 91日目 12:52 (新月・曇り) RS1・『秘匿する砂漠の墓場』-ヘスペリデス】


 『同盟の彩砂』第3階層は『秘匿する砂漠の墓場』と言う名称だった。

 で、時間も丁度良かったという事で、まずはヘスペリデスにて昼食を取りつつ、作戦会議をする運びとなった。


「さて、まずは確認事項からだが、ここ第3階層にはボスが居て、ボスを倒さない限りは取り巻きは何体でも湧き続ける。これはいいな」

 本日の昼食は各自が持ち寄ったものに、ヘスペリデス産の低レア度の青果を使ったサラダとジュースを合わせた物である。

 うん、シアのハードシープパイの噛み応えのある味わいも素晴らしいが、サラダとジュースも悪くはない。

 これは後でミニラドンに特別報酬の類でも出してあげないといけないかもな。


「そしてだ。取り巻きについてはマップ名称と共に事前に調べられるが、ボスの名称については事前情報では探れない。相手の特性が特性:ハイドであり、発見難易度が上昇する事も含めて考えると、今までの階層とは別格に厳しい戦いになるとは予め言わせてもらう」

「「「……」」」

 さて、ローエンの話に耳を傾けよう。

 確かに特性:ハイド持ちのボスを探し出して倒す、と言うのは厄介と言うか難しいだろうな。

 取り巻きの処理に2PTぐらいは当たる事になるだろうし、俺とソフィアのPTは遊撃として他PTの援護に向かわないといけない。

 となると……基本的にはローエンたちのPTがボスと戦う事になりそうか。

 まあ、ローエンたちなら大丈夫だろう、油断大敵ではあるが。


「では、取り巻きの情報についてだ」

 ローエンが全員に見えるようにしたウィンドウを表示する。

 そこには4種類のモンスターの名前が挙げられている。


「ハイドパペット。物質系の人形型モンスターだな。持っている武器次第ではあるが、弓や杖といった遠距離型が多いと厄介ではある。優先して潰すべきモンスターだな」

 パペット種……特性:ハイドとの組み合わせについても遠距離型の方が厄介か?いや、短剣のような至近距離型も特性:ハイドのおかげで接近が楽になるから、厄介ではあるな。


「ハイドゴブリン。亜人系のモンスターだな。こちらも遠距離型は厄介だが……ハイドパペットよりは戦いやすいか」

 ゴブリン種……パペット種よりも群れ一つ当たりの個体数は多いか。

 まあ、ローエンの言うとおり、ハイドゴブリンとハイドパペットならハイドパペットの方が脅威か。


「ハイドオクトパス。水棲系の蛸型モンスターだな。自前の隠蔽能力もあるし、こちらからの発見はほぼ不可能と見ていい。状態異常:ブラインも使ってくるから、取り巻きではコイツが一番厄介だろう」

 オクトパス種……しかも特性:ハイド……ああうん、以前にやり合った覚えがあるな。

 二月以上前の話で、あの時はがむしゃらとしか言いようのない戦い方をしていた。

 あの頃から俺も強くなったが、相手のレベルも上がっている。

 油断は全くできないな。


「最後にハイドカクタス。植物系のサボテン型モンスターだ。全身が鋭い棘に包まれていて、向こうからの近接攻撃には追加ダメージが、こちらからの近接攻撃には反射ダメージが発生する」

 カクタス種……俺にとっては初見だな。

 この感じだと、近接攻撃限定で常時状態異常:カースをこちらにかけているようなものか。


「以上4種類が今回の取り巻きだ。特性:ハイドと合わせて不意討ちが頻発することを考えると、全員出来る限りHPを高く保つように心がけて欲しい」

 ローエンの言葉に全てのプレイヤーが頷く。

 実際、今回の取り巻きへの最も単純かつ有効な対策は一撃で倒されないだけのHPを持ち続ける事だ。

 特性:ハイドが相手にある以上最初の一撃を防ぐことは難しいが、逆に言ってしまえばその最初の一撃さえ大過なく凌ぐ事が出来れば、特性:ハイドのデメリット効果によって僅かではあるがステータスが落ちているモンスターを倒す事はこの面子ならそこまで難しくはないだろう。


「で、これらに合わせて注意して欲しいのがマップが『砂漠の墓場』である事だな」

 モンスターについては以上。

 次はマップについての注意事項である。


「こちらで入口から外の状況を少しだけ確認してみたが、『砂漠の墓場』と言う名前通り、何処までも砂の海が広がっていて、時折石碑や教会の残骸が転がっている感じだった。ちなみに最初の部屋の外装は教会だったぞ」

 ああ、『還元の白枝』と違って、ボス部屋に突入と同時に戦闘と言うわけではないから、入り口で最低限の情報を集めておくことは出来るのか。

 これは嬉しい話だな。


「で、これはつまり、モンスター側は特性:ハイドによって隠れられるが、障害物が無いためにこちらは姿を隠す事が出来ない、と言う事だ。必然的に開幕は大量のモンスターが殺到してくるだろう」

「「「……」」」

 ただ、『砂漠の墓場』と言うマップは……かなり厄介そうだな。

 幸いにして気候によるダメージの類は無さそうだが、それでも隠れる場所、落ち着ける場所が無いというのは厄介だ。


「では、各員戦闘準備に入ってくれ。戦闘開始は一時間後だ」

 そうして俺たちは手持ちのアイテムで戦闘を有利に進められるようにならないかを考えたり、具体的にどういう状況でどう動くかを話し合う事となった。

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