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AIOライト  作者: 栗木下
9章:双肺都市-後編

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475/621

475:89-2

【AIOライト 89日目 19:42 (2/6・晴れ) ドウの地・南西の草原-ヘスペリデス】


「さて、明日の為にも作らないと」

 夜。

 俺はミデンの前に立っていた。

 目的は言うまでも無く、還元炉を利用した錬金。

 今日の移動によってネクタールの装備を作るためのレア度:3の素材が120個集まったからである。


「まずは……」

 と言うわけで、俺はまず『回復力溢れる多頭蛇の王』の牙を3つ作成する。



△△△△△

『回復力溢れる多頭蛇の王』の牙

レア度:4

種別:素材

耐久度:100/100

特性:リジェネ(回復力を強化する)

   インクリス(他の特性を強化する)


『回復力溢れる多頭蛇の王』の牙。

『回復力溢れる多頭蛇の王』の口内に生える無数の牙の一本。

生前の毒腺がそのまま残っているため、取扱いに細心の注意を払う必要がある。

ヒュドラはドラゴンの一種でもあるため、そのポテンシャルは他の生物種とは比べ物にならないが、それは同時に、それだけ扱うのが難しいと言う事でもある。

通常個体であるリジェネヒュドラのものよりも質が良い。

▽▽▽▽▽



「細心の注意……ね。確かにそうみたいだな」

 俺はインベントリから『回復力溢れる多頭蛇の王』の牙を一本取り出すと、手に持ってみる。

 そう、ただ持っただけだった。


「これは間違ってもオークションに出したりは出来ないな」

 にも関わらず俺のステータス画面には状態異常:ポイズンと状態異常:ペインが表示され、目に見えるスピードでHPバーが低下し、両手の掌には焼け付くような痛みが襲い掛かってくる。

 レア度:PMのアイテムを作る時の痛みに比べれば大したことはないが、俺は即座にインベントリに『回復力溢れる多頭蛇の王』の牙を戻すと、回復に集中、受けたダメージと状態異常を治す事に務める事にする。

 それと同時に、今後の金策でヒュドラ素材を売りに出す際には間違っても牙は出さないようにすることを心の中で決めておく。

 流石に持っただけで状態異常になる素材を誰かに渡すのは危険すぎる。


「ま、それはそれとして始めますか」

 やがてHPバーと状態異常の回復が完了した所で、俺はネクタールから預かった三本の槍の状態を確認。

 問題が無い事を確かめた上で、ミデンのメニュー画面から錬金を始める。


『hYdrAn0 docuha mAnymanYno AU no inocH1w0 U8atTa』

『hyDraw0 sEalsita AU m0 laStha cOnopoi5on2 TaoleTa』

『Yue2 5o2oathucaInihA ki3otuKeyo gOdsulaMo deAd naNodakaLa』

相変わらず難易度は高い。

 だが、それだけに出来上がるアイテムにも期待が持てるという物である。

 そうして出来上がったのがこれである。



△△△△△

『回復力溢れる多頭蛇の王』の牙槍

レア度:4

種別:武器-槍

攻撃力:480

耐久度:100/100

特性:リジェネ(回復力を強化する)

   インクリス(他の特性を強化する)


『回復力溢れる多頭蛇の王』を刃とした魔法銀製の槍。

『回復力溢れる多頭蛇の王』の牙が持つ強力な毒をそのまま攻撃に転用したこの武器は、取扱いに細心の注意を必要とする。

槍としては軽いため、叩くよりも斬る、突くという運用に適している。

状態異常:ポイズン、イルネス、ルスト、ペイン

撃魔力+2

▽▽▽▽▽



「いい感じだ」

 俺は出来上がった槍を何度か素振りしてみる。

 牙を刃にした影響か、槍の穂が微妙に曲がっているのが気になるところではあるが、このくらいであるならば斬る時に有利に働き、突く時にも邪魔にはならないだろう。


「さて、それじゃあこれはネクタールに後で渡しておくとして……」

 さて、これで明日の為に必要な最低限の準備は出来たと言える。

 何が待ち構えているのかは分からないが、レア度:4のボスヒュドラの素材で強化した武器なのだ。

 これで駄目ならば、それはもう現状では戦ってはいけない相手……ワンダリングモンスターとの戦闘と言う事になるだろう。


「……」

 だからこそ、そうでない場合について、俺は考えておかなければいけない。


「掲示板の注意喚起スレには……特に情報はないか」

 俺はまずドウの地掲示板の注意喚起スレを確認。

 ウハイ手前について何も情報が無い事を確かめる。

 そしてそのままマップ探索スレや雑談スレを覗いていき、そちらにもウハイ関係について特におかしな情報が無い事を確かめる。


「しかし……な」

 普通に考えればこの時点でウハイの手前には何も無いと判断していいだろう。

 だが、俺の感覚は確かにウハイの手前に対して一筋縄ではいかない嫌な気配を感じている。

 そして、この手の感覚……特に嫌な気配、上手くいかない気配と言う物についてはだいたい信用していいと思っている。


「何かしらの戦闘が起こるとして、後取れる対策は……現状だと回復用のアイテムを作っておくぐらいか」

 しかし、嫌な気配の正体が掴めない。

 何と言うか、誰かの大きな悪意と明確に繋がっていると言う感じはしないのだ。

 GMとの契約を破ってしまえば、因果から何が起きるのかも、何が原因なのかも直ぐに調べる事は出来るが……それはただのチート行為、ルール違反、思いはしてもやってはいけない行為である。


「さて、これでどうにかなると良いんだがな……」

 俺はそう呟くと、還元炉の機能も活用して、作れるだけの回復アイテムを作ると共に、メッセージ機能を使って何人かのプレイヤーにメッセージを送っておく。

 そして、明日を迎えることにした。

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― 新着の感想 ―
>レア度:PMのアイテムを作る時の痛みに比べれば大したことはない そりゃあPM錬金は(リアル)魔力によって(現実の)身体にダメージフィードバックされてるんだもの …って例の繋がりが見えたのってリアル…
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