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AIOライト  作者: 栗木下
9章:双肺都市-後編

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469:86-4

本日は二話更新です。

こちらは二話目です。

【AIOライト 86日目 10:12 (5/6・晴れ) 始まりの街・ヒタイ】


「なるほど。つまりウハイを目指す時には、倒せる範囲で敵を倒し、採取を行いつつ進むんですね」

「ああ、そうすれば還元炉の機能でボスヒュドラの素材を生成して、装備を整えつつ先に進めると思う」

 装備の更新を終えた俺は、ある場所に向けてヒタイの街中を歩いていた。

 最近はあまりヒタイと言うか人目がある場所で活動していなかったためなのか、周囲に居るプレイヤーからは珍しいものを見たというような表情を向けられているが……まあ、気にすることではないな。


「それ、間に合うんですか?」

「向かうべき場所が分かっている上に、単独行軍だからな。避けるべき敵さえ避けられているのなら、四日、遅くとも五日もあればケイカからウハイには着けるそうだ」

「なら、大丈夫そうですね」

 なお、時間がもったいないので、こうして移動をしている間に今後の予定については話しておく。

 なにせこの後の用事を済ませたら、直ぐにでもケイカに飛び、ウハイに向けて移動を開始するのだから。

 ちなみに、還元の白枝と言うか、還元炉についての情報については、通常の還元炉については既に掲示板に情報を上げてある。

 特殊還元については……まあ、暫くは秘匿させてもらおう。

 迂闊に話すと、身動きが取れなくなりかねないしな。


「さて、着いたな」

「ですね」

 そうして俺たちが着いたのは、携帯工房も利用する事により立派な建物で行われるようになったオークション会場だった。



----------



【AIOライト 86日目 10:24 (5/6・晴れ) 始まりの街・ヒタイ】


「いらっしゃいませ。本日は参加でしょうか、出品でしょうか」

 オークションホールの中は多くのプレイヤーで非常に賑わっていた。

 聞くところによれば、メインの建物が一つあり、そこにレア度:2のホムンクルスの核を利用した携帯工房を複数接続。

 実際にオークションを行う会場、各種交渉をする場所、休憩所等々、用途別に部屋が用意されているそうだ。

 で、今は出品交渉を行うための部屋で、交渉に入るところである。


「出品でお願いします」

「かしこまりました。アイテムをご提示ください」

「『回復力溢れる多頭蛇の王』の骨と『秘匿する多頭蛇の王』の骨です」

「は?」

 俺が二つのアイテムの詳細を見せた瞬間、交渉役の女性プレイヤーは間抜けな声を上げつつ、大きな口を開けた状態で停止する。


「しょ、少々お待ちください!お客様!ただいま責任者の方を呼んで来ますので、そのままでお願いいたします!!」

「は、はあ……」

「まあ、こうなりますよねぇ」

 そして、思考停止状態から復帰すると同時に、非常に慌てた様子で何処かへと消え去ってしまう。

 で、数分後に、スーツ姿の男性、よく見れば以前にオークションの司会を務めていた男性プレイヤーが現れる。


「やはり貴方でしたか。ゾッタ様」

「えーと?」

「ああ、すみません。当オークションの責任者をさせてもらっていますサザンと申します。こうして名乗るのは初めてですね」

「まあ、そうですね」

 サザンさんはそう言うと、先程の女性プレイヤーの非礼を詫びてから、席に着き、交渉に入ってくれる。


「ヒュドラ種のボス個体素材……それも有用特性付きで、レア度も高め、質も悪くない、と」

「まあ、還元炉を利用して作ったものなので、目には見えない部分で何かしらの悪影響が出ている可能性は否定できませんけどね」

「少なくとも私が見た限りではそのような異常や欠陥の類は見えないので、その点は大丈夫かと」

 どうやらサザンさんは既に俺の還元炉の書き込みについては見てくれているらしく、インベントリから取り出した二つのアイテムを手に取ると、興味深そうに、けれど決してなにも見逃すつもりはないという目で観察をする。


「オークション出品に伴うルールはご存じで?」

「落札額の一部がオークション側に、それから最近は出品が増えたのと、遠出をするプレイヤーが増えたとかで、出品から実際に競りにかけられるまで2日でしたっけ」

「その通りです。それで問題が無ければ、こちらにサインを」

 俺はきちんと内容を確認した上で、サインをする。

 なお、こう言った契約書の類もレア度:PMではあるらしいが、作るのにさほど手間暇はかからないらしい。


「お金の受け取りは、メンテナンス後でもいいですかね」

「問題ありません。ただ、忘れずに、かつ出来るだけ早めに取りに来てくださいね。その……前線組の出品者の方には、時折出品された事を忘れてしまわれる方もいらっしゃるようなので」

「気を付けます」

 そう言うサザンさんの顔には悲しみと言うか非常に困った感じの感情が込められている。

 どうやら、結構な数のプレイヤーが代金の受け取りを忘れていて、そのお金の扱いに困っているようだ。

 ただまあ、確かに不要なアイテムを出品して、一週間ぐらいドウの地での遠征や自動生成ダンジョンの攻略をしていたら……忘れてもおかしくはないかもしれない。


「と、一応聞いておきたいんですけど、どれぐらいの値段が付きますかね?」

「申し訳ありませんが、私には見当も付きません。なにせ物が物ですから。ただ、当オークションの最高落札額を更新する可能性は非常に高いでしょう」

「そうですか。期待させていただきますね」

「ええ、是非期待してください」

 こうして無事に出品を終えると、俺たちはドウの地、鉱山街・ケイカへと飛んだ。

08/05誤字訂正

08/06誤字訂正

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