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AIOライト  作者: 栗木下
8章:双肺都市-前編
459/621

459:85-1

本日は二話更新です。

こちらは一話目です。

【AIOライト 85日目 07:12 (満月・晴れ) ドウの地・北西の森】


「さて、今日は還元の白枝探しね」

 翌朝。

 俺たちは揃ってヘスペリデスの外に出た。


「師匠、一つ確認なんだけど、確かに還元の白枝はこの場に在るんだよね」

「ああそうだな。還元の白枝はこの辺り一帯にある」

 今日の目的は言うまでもなくそれぞれ自身の為の還元の白枝の採取である。


「それじゃあギニョール」

「そうね。きょうは単独行動と行きましょうか」

 どうやら今日のシュヴァリエとグランギニョルはそれぞれ単独で行動するつもりであるらしい。

 シュヴァリエは特に変わりないが、グランギニョルは所有している全てのホムンクルス……アブサディット、ブラフ、サングラント、アクター、アクトゥリース、それに10体居るソテニアの計15体を召喚すると、自身はアブサディットに担がせる。


「モンスターの方は大丈夫か?今日は満月だぞ」

「心配しなくても大丈夫だよ。3体くらいまでなら僕一人でも対応できるし」

「それに見た限り、この辺りのモンスターは周りの森と比べて、ワンランク落ちている感じがあるのよね。ワンダリングモンスターでなければ問題はないわ」

「そうか、ならいい」

 そうしてグランギニョルとシュヴァリエはそれぞれに行動を開始した。


「じゃ、俺たちも行くか。シア、ネクタール」

「はい、マスター」

「ーーーーー」

 そして俺たちもまた行動を開始した。



----------



【AIOライト 85日目 09:27 (満月・晴れ) ドウの地・北西の森】


「ふんっ!」

「ゲコー……」

 探索開始から約二時間。

 倒せる敵は倒しつつ、俺たちは探索を続けていた。

 で、今は三体のプレントードに遭遇したわけだが……


「なんだか、普段のより弱く感じましたね」

「グランギニョルの言っていた通り、此処の敵はワンランク落ちているのかもな。レベルには出てこないようなマスクデータの部分で」

「なるほど」

 まあ、弱かった。

 恐らくだが戦闘時間は5分を切っているし、手傷らしい手傷も負っていない。


【ゾッタの戦闘レベルが33に上昇した。戦闘ステータスの中から上げたい項目を一つ選んでください】

「おっとレベルアップか」

 が、それでもここ最近の積み重ねがあるためだろう。

 戦闘レベルが上がったというインフォが流れる。

 そして俺は、いつものように回復力を上昇させる。



△△△△△

ゾッタ レベル33/37


戦闘ステータス

肉体-生命力20・攻撃力10・防御力10+3・持久力9・瞬発力10・体幹力10

精神-魔法力10・撃魔力10・抗魔力7+6・回復力38+12・感知力10・精神力11


錬金ステータス

属性-火属性10・水属性10・風属性10・地属性10・光属性7・闇属性10

分類-武器類20・防具類15・装飾品15・助道具20・撃道具15・素材類17

▽▽▽▽▽



「それにしても還元の白枝は見つかりませんね」

「そうだな。まあ、俺が求めているのは少々特殊な代物だから、そう簡単に見つかるとは思っていないけどな」

 ステータスの操作を終えた俺は探索を再開する。

 と言っても、周囲に注意を払いつつ、森の中心部に向かって歩くという実にシンプルな探索だが。


「あれ?」

「ん?どうした?」

 そうして探索をしていると、シアが奇妙な声を上げる。

 なので俺はその場に立ち止まり、シアの方を向く。


「えーと……」

 表情からして、どうやらシアは何かを見つけたらしい。

 だが、それを口に出すべきかどうか、そもそもとして口に出してもいいものなのかと言う所で悩んでいるようだった。


「シアの好きにすればいい。俺は待つぞ」

「……」

 周囲に敵影はない。

 だから俺はシアが答えを出すまで待つ事にする。


「マスター、一ヶ所だけ採取させて下さい」

「分かった」

 意を決した様子でシアはそう言うと、俺の許可が下りると同時に近くの木に近づいていく。

 そして、木の採取ポイントに手を当てると、何かしらのアイテムを得る。

 いや、この場で採取ポイントから得るアイテムなど決まっているか。


「ありがとうございます。マスター。それでその……」

「どう使うのかまで含めて好きにすればいいさ。その為にシアは手に入れたんだろ」

「ありがとうございます。マスター」

 シアは自分と相性のいい還元の白枝を手に入れた。

 それは間違いない。

 システム上、ホムンクルスであるシアが還元の白枝を手にする事に対してGMが何かしらの文句を挟んでくる可能性はあるが……まあ、その時は俺が矢面に立つだけだな。


「それでマスターの還元の白枝はどうなんですか?」

「そうだな……」

 シアが還元の白枝を手に入れた所で、俺は改めて周囲を見渡す。

 すると、一本の枝が俺の目に留まった。


「これがいいか」

「え?マスターそれって……」

 シアは大層驚いた様子を見せている。

 が、どうやら、これが俺の望む還元の白枝……より正確に言えば還元の白枝の素材であるらしい。


「枯れてます……よね」

 俺が選んだ還元の白枝は、枯れて、木から落ちてしまい、モンスターと動植物に荒されて土に還ろうとしている途中にある枝……いや、枝状の物体だった。


「ああそうだな。枯れていて、生命の名残はもう殆どない。だが、だからこそ何だろうな」

「だからこそ……ですか」

 俺はアイテムの詳細を見てみる。



△△△△△

還元の白枝

レア度:4

種別:素材

耐久度:26/100

特性:プレン(特別な効果を持たない)


還元の白枝と呼ばれる白色の物体。

数多の知識を収集し、内包しているとされる神秘の枝。

正しい手順で用いることで、携帯錬金炉に還元炉としての機能を追加する事が出来る。

▽▽▽▽▽



「まあ、説明詳細を見る限りでは問題は無さそうだから大丈夫だ」

「ならいいんですけど……」

 耐久度が若干低くはなっているが、これならば問題はないだろう。


「さて、それじゃあ早いところサハイに……」

 これで後はサハイに戻るだけ。

 そう思った俺が踵を返そうとした瞬間だった。


「っつ!?」

「マスター!?」

 地面が揺れる。

 それも立っていられない程の規模で。

 次の瞬間。


「ワアアアアアアアアアムウウウウウウウウウウウゥゥゥ!!」

「「!?」」

 俺たちのすぐ近くの地面からプレンワームが勢いよく飛び出してくる。

 そして、プレンワームが飛び出した事によって生じた爆風のような風によって、俺の身体もシアの身体も浮き上がり、吹き飛ばされる。


「なっ……」

 そうして俺が吹き飛ばされる先には……


【ゾッタはアルカナボス VIII正義 『百罰下す正義の刃』のモノリスに触れた】

【全プレイヤー中初めて VIII正義 のモノリス触れましたので、強制的にイベントを進行します】

 あろうことか、木々に埋め込まれる形で巨大な黒い板(モノリス)が在った。

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