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AIOライト  作者: 栗木下
8章:双肺都市-前編

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454/621

454:83-6-S6

『かつてこの地で人々は万物を壊しては造り出していた』


『還元の輪を止めず回し続けたが故に彼らは滅びた』


『彼らは知らなかった。自分たちが操る術の深奥を。決して疎かにしてはいけない物を』


『彼らは気付かなかった。腸から紅き流れに乗って押し寄せ汚染する悪意の流れを』


『彼らは理解できなかった。自分たちの身にどうしてこのような事が起きてしまったのかを』


『そう、彼らは自分たちだけは輪の外に居ると思って回し続けたが故に傲慢に至ってしまった』


『そして滅びの後に世界は選んだ。都市一つより生まれし獣を地の底にて眠らせる事を。思索無き者の手が及ばぬ場所にて還元の力を眠らせる事を』


『今、汝は二つ目の眼を開いた。その意味をよく考えるといい』



■■■■■



【AIOライト 83日目 14:15 (4/6・晴れ) WB2・『巨大な草原の墓場』】


「……」

 ボス戦後のメッセージには最後の部分に新しいメッセージが加わっていた。

 それも恐らくは既に別の塔をクリアしている俺、シュヴァリエ、グランギニョルの三人と、俺たちの保有するホムンクルスにだけ聞こえるような形でだ。


「はー、無事にクリア、ですね」

「ふっ、中々の強敵ではあったが、我が黒炎の敵ではなかったな」

「……」

 それにしても二つ目の塔をクリアした意味、か。

 まあ、意味なら幾らでも考えつくな。

 考え付いた意味が正しいかどうかは、この後のイベントエリアで入手できる情報の内容次第だが。


【固定ダンジョン還元の白枝-2の塔をクリアしました】

【イベントエリアに移動するための扉が設置されます。好きなタイミングで退出ください】

「で、ゾッタ兄。動けそう?」

「あー、動けるには動けるが……戦闘は無理だな」

「そ、じゃあ。ゾッタ兄が十分に動けるようになるまで、ここで休憩と行きましょうか。下手な場所で休むよりも、此処の方が安全だしね」

 俺たちはイベントエリアに移動するための扉の前まで移動すると、グランギニョルの言葉に従ってその場に腰を下ろし、休憩を始める。

 で、俺としては回復に専念して、少しでも早く元通りに動けるようになりたかったのだが……


「で、休憩ついでに質問何だけど、さっきのは何だったのかしら?ゾッタ兄」

「そうですねマスター。アレについては私も含めて、皆さんに説明するべきだと思います」

「お、おう」

 どうやら休憩に専念する前に話さなければいけない事があるらしい。


「あー、アレはだな……これとヘスペリデスの黒葉を組み合わせた技でな。ハルモニアーって名前を俺は付けている。簡単に言ってしまえば戦闘特化の姿に自分を錬金する技だな」

 俺はカプノスをインベントリから取り出すと、その詳細をシアたちに見せる。


「何時の間にこんな物を……」

「ゾッタ兄以外が持てない上にデスペナの対象外って、相当の危険物だって暗に言っているような物じゃないの……これ」

「煙管かぁ……なんか、師匠が持っているとえらくハマる感じがあるね」

 シアたちの表情は……色々と言いたそうにはしているが、どうにか抑えている感じか。

 それでも口から色々と漏れ出てしまっているが。


「で、途中で強化するのに使ったのがこっちだな」

 俺は続けてトリゴニキ・ピラミーダの詳細を見せる。


「あ、はい」

「……」

「アカンコレ」

 トリゴニキ・ピラミーダについては……絶句と言うのが一番近いか。

 ただまあ、そうやって驚いているところ悪いのだが……。


「まあ、ハルモニアーもトリゴニキ・ピラミーダもまだ未完成だけどな」

「「「……」」」

 どちらもまだ未完成品であり、発展形がまだまだ眠っているものである。

 まあ、今の俺の戦闘レベルと錬金レベルを考えたならば、当然の話なのだが。


「今、ゾッタ兄が上位種扱いされている事に対してGMに心の底からグッジョブと言いたくなっているわ……」

「のじゃロリちゃんの師匠に対する神様扱いって凄く妥当だったんだねー……」

「どうか、今回の戦いが動画館に流れていませんように……」

「ふ、ふふ……相手は人外相手は人外相手はジンガイ……」

「ボソッ……(逆にキルヒュマが通用するかが気になって来るな)」

 と、ここでグランギニョルたちは揃って頭を抱えた後に、それぞれがどこか遠くを見るような目で呟き始める。

 レティクルさん以外は聞き取れたが……まあ、放っておけばその内戻って来るか。


「それでマスター。反動の方はどうなんですか?気持ちが悪かったりとかは?」

「そう言うのはない。と言うか、精神的にはいたって健康的だな。だが、肉体の方がシステム的に縛られていて、動かしたくても動かせないようになってる」

「なるほど」

「まあ、この点についても今後の改善点だな。使った後の反動がこれじゃあ、迂闊に使えない」

「それは……そうですね。はい」

 ハルモニアーとトリゴニキ・ピラミーダの『ティラノス』の反動については、今後どうにかして対策を見つけるとしよう。

 今のままでは、プレイヤーが俺しか居ない時に使うとただの自殺行為にしかならない。


「と、そろそろ回復してきたな。これぐらいなら一応戦闘も出来そうだ」

「ああ、そう。回復してきたの。それじゃあイベントエリアに行きましょうか……」

 と、ここでようやく俺の身体が問題なく動かせるようになる。

 そうして俺たちは扉に触れると、イベントエリアに移動した。

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