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AIOライト  作者: 栗木下
8章:双肺都市-前編
449/621

449:83-1-S1

【AIOライト 83日目 08:17 (4/6・晴れ) 還元街・サハイ】


「さーて、攻略の時間だな」

「バーベキュー……風呂……寝床……」

「絶対何時か一人一部屋のマイホームを作ってやる……」

「これが失楽園と言う物なのか……」

 翌朝。

 予想通りのすったもんだを多少挟みながらも、俺たちは活動を始めることになった。

 とりあえずヘスペリデス程のは無理でも、素材さえ揃えば風呂付一戸建てくらいはシステムを利用するだけで作れるはずなのだから、彼らには各自で頑張ってもらうとしよう。


「予定通りでいいんだよな」

「ええ、それで構わないわ」

「ふっ、腕が鳴るな」

「皆さんすみません。攻略済みなのに協力して貰って」

「感謝する」

「そこは持ちつ持たれつって事でいいんじゃない。僕たちが困った時は助けてよ」

「そうですね。その時はお願いします」

 さて、本日は『還元の白枝-2の塔』の攻略である。

 そのため、俺たちは最低限のアイテム以外はヘスペリデスの中に残すと、道中で出会った敵を残らず狩りつつ、塔へと向かう。

 そして、塔の根本に着くと中には入らず、外でモンスターを狩るか採取ポイントで採取するかして、インベントリの中をレア度:3のアイテムで埋め尽くしていく。


「しかしまあ、あのGMにしては大きな抜け道よね」

「意図して作られた抜け道っぽいけどね」

 そう、昨晩話した予め必要な量のアイテムを持ってダンジョンに入り、一気に駆け上がる方法。

 アレを使うのである。


「さて、これで十分か」

「そうね。全員アイテムの量は大丈夫みたいだわ」

 そうして二時間ほどかけて必要なアイテムを回収した俺たちは『還元の白枝-2の塔』に侵入した。



----------



【AIOライト 83日目 11:37 (4/6・晴れ) WB2・『???』】


「さて、次は第六階層か」

 当然だが移動はスムーズに進んだ。

 巣マップでない限り敵は出現しないし、フロアの探索も必要ないのだから、スムーズに事が進む以外に有り得ないのだが。


「さて、このまま巣マップに当たらないといいのだけれど……」

 次は第六階層。

 丁度後半戦に突入した所だ。

 で、グランギニョルの言うとおり、出来れば巣マップには当たりたくない所ではあるが……。


「「「シュインシュイン」」」

「「「ブクブクブク……」」」

「「……」」

「駄目みたいね」

 どうやらそうはいかないらしい。


「ネクタール!」

「ーーーーー!」

 第六階層に移動し、敵が見えた瞬間。

 ネクタールのヘイトコントロールが始まり、全ての敵の注目が俺へと集まる。

 そして、それと同時に俺は敵の種類と数、それから地形を確認。

 敵は……アーム種とクラブ種がそれぞれ10以上、数グループに分かれて存在。

 加えて半透明の強い魔力を放っている人型生物が2で、色はそれぞれ水色と黄色、恐らくだが前者は水属性で、後者は風属性だ。

 地形は所々にそこが透けて見えるような透明度の水の流れがある点からして清流の。

 此処まではほぼ確定事項である。


「まずは数を減らすぞ!」

「『癒しをもたらせ』『大地の恩寵をその身に』!」

「言われなくても!」

「開演よ!」

「はいっ!」

「我が力、見せつけてくれよう!」

「……」

 俺は手近な場所に居たクラブ種に向かって駆け出す。

 それと同時にシュヴァリエとロラ助の二人がアーム種の集団に向かってそれぞれ突撃。

 その後を追うようにグランギニョルのホムンクルスたちが移動を始め、シア、レティクルさん、†黒炎導師†さんもそれぞれの役目を果たすように行動を開始する。


「ふんっ!」

「ガニッ!?」

 俺の斧による攻撃が?クラブの一体に当たる。

 与えたダメージは最大HPの10%ちょっと、手応えに通常種との違いは感じられない。

 つまりこの階層の特性は防御系ではなく攻撃あるいは状態異常関係と見るのが適切だろう。


「ガニィ!」

「ブクアッ!」

「……」

 他の?クラブが攻撃を仕掛けてくる。

 が、鋏による攻撃も、泡による攻撃も特に大きなダメージを受けるようなことはない。

 トリゴニキ・ピラミーダの特性:ワクチンに反応している様子が見られない点からして、状態異常関係でもなさそうだ。

 当然ながら、挙動の早い遅いやサイズの違いも見られない。


「敵特性はキルヒュマ、キルピーシ以外の特効系で進めて!正体が掴めないわ!」

 全体に指示を出しているグランギニョルの声が響く。

 そしてグランギニョルの意見には俺も同意だった。

 この状況で有り得て、かつ警戒するべき特性は他にはないからだ。


「ーーーーー」

 と、ここで初見である半透明の人型生物の内、黄色の方がグランギニョルたちを攻撃の射程圏内に収めたのだろう、両腕を頭上に向かって掲げると、魔力を集中させ、黄色い風の塊のような物を生成して見せる。


「っと、させるかよ」

「!?」

 なので俺は『ドーステの魔眼』を発動。

 魔力を叩きつけることによって人型生物の集中を乱すと同時に、風の塊を暴発させて攻撃を阻止する。


「好機!我が力を見よ!『焼き払え(ダークネス)漆黒の炎(フレイム)』!」

「ーーー!?」

 そこへ更に†黒炎導師†さんの魔法攻撃が炸裂。

 杖から放たれた黒い炎によって、人型生物のHPが一気に30%ほど減る。

 そして、更にはグランギニョル、シア、レティクルさんたちの攻撃も殺到し、一気に人型生物のHPを削り取っていく。

 これならば……うん。


「ネクタール。とにかくヘイトを集めておけ」

「ーーー!」

「「「ガニー!」」」

 とにかく俺はヘイトを集め、必要な時だけ『ドーステの魔眼』で援護すれば、それで問題は無さそうだった。


「よし、これで終わったわね」

 で、そんな俺の予想通り、最大火力を誇っていたのであろう人型生物が、前衛に行動を阻害されて碌に行動することも出来ない間に、†黒炎導師†さんの特性:シンパシィを利用したFFが発生しない範囲攻撃を中心とした遠距離攻撃で倒されると、後は殆ど作業と化すのであった。

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