表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AIOライト  作者: 栗木下
8章:双肺都市-前編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

447/621

447:82-9

【AIOライト 82日目 12:36 (半月・晴れ) 還元街・サハイ-ヘスペリデス】


「さて……と」

 昼食後。

 俺は明日の予定についてはシアとグランギニョルたちに一任、ネクタールをネクタールの部屋に置いてくると、ヘスペリデスの中心である神殿に移動した。

 目的は言うまでもない。


「材料は揃っているな」

 俺はミデンの前に四つのアイテム……バーサークオーヴリング、『非存在性・』狂戦士のヘスペリデスの朝露、ワクチンスィンクの欠片、ブラッドキメラの尾を置く。

 当然ながら繋がりははっきりと目に見えている。

 HPバー、MPバー、俺自身の状態も問題はなし。

 その他外的要因も整っている。

 で、特別な手法の類は……今回は必要なさそうだな。


「よし、始めるか」

 準備は整った。

 そう判断した俺は四つのアイテムをミデンの中へと投入。

 その後直ぐに左手を入れ、神殿内部とミデンの中に向けて大量の魔力を放出。

 両者に十分な量の魔力で満たす。


「我が名は錬金術師ゾッタ」

 そうしていつも通りに言葉を紡ぎ始める。


「狂気高める指輪よ。汝が位階をまた一つ高める時が来た」

 イメージするのは三角錐、バーサークオーヴリングを頂点とし、その下に他の三つのアイテムが来る形。


「汝を押し上げるはこの世にあってこの世になき矛盾と境界の雫、災い為すものを断固たる信念を以って打ち払わんとするこの世ならざるものの欠片、血を流さぬために血を流して己を高める幻想の蛇」

 そんな俺のイメージを表すように、ミデンの中の液体が俺の左手に合わせて浮かび上がり、俺の左手を包み込む形で三角錐を形成している。


「汝ら為すは三次示す四点。汝ら結ぶは矛盾を矛盾がままに受け入れ、幻想と現実の境界を踏み越え、静かに猛り、蓄える焔の如き赤であり、それは命の象徴たる紅である」

 三角錐がゆっくりと回転を始める。


「鍵となるは我が意、我が血。流れ出る紅き輝きこそが眠れる猛りを熾し、強き強き輝きを創る」

 回転は徐々に早くなっていく。

 それと同時に周辺の空間と俺から吸い上げる魔力の量も増加していく。


「蛇よ輪を為せ。己を食む狂気と共に。想念よ螺旋となれ。敵と相打つ狂気と共に。雫よ駆け巡れ。壁の先に向かう為に」

 だからこそ落ち着いて、冷静に言葉を紡ぎ続ける。

 このような時だからこそ間違えてはいけないのだから。


「指輪よ。我が意を為すがために在る指輪よ。我が手の内にて輝き続ける指輪よ。さあ、来たるべき時が来た」

 三角錐の回転は横回転から乱回転へと移行し、もはや傍目には紅い球体にしか見えないような状態と化している。


「認めよ。改めよ。従えよ。静まれ。鎮まれ。調べ調和させ形を成せ。汝こそは我が血我が魔を喰らいて目覚め、我が身を高める代償の指輪」

 魔力も、血も、周囲の空間ごと吸われ続けている。

 だが焦ってはいけない。

 ここで焦っては全てが水泡に帰すのだから。


「さあ、我が前に姿を顕せ」

 だから落ち着いて俺は見出したその名を告げる。


「トリゴニキ・ピラミーダ」

 名を告げると同時に宙に浮かんでいた液体が周囲に強烈な蒸気と魔力を放ちながら爆散する。

 そして、蒸気の向こうから現れたのは、既に俺の左手人差し指に填まっている一つの指輪。

 それは血のように紅い宝石と蛇を模した輪を持ち、輪に刻まれた蛇の鱗の模様の隙間を紅い液体が脈打ちながら巡る指輪であり、俺の力を大きく高める指輪でもある。

 が、しかしだ。


「……。未完成、か」

 出来上がった指輪……トリゴニキ・ピラミーダはどうやら未完成品であるようだ。

 勿論、現状でも使い物にはなる。

 だが、間違いなくこの先がある、俺にはその繋がりが見えていた。



△△△△△

トリゴニキ・ピラミーダ

レア度:PM

種別:装飾品-指輪

耐久度:100/100

特性:バーサーク(猛り狂う者に祝福を)

   ワクチン(状態異常に対する守りを得る)

   ブラッド(流血を対価に力を得る)

   『ヌル(存在しないはずの物質)』


それはCommonではなくSoleである。

人ならざる者が作り上げたこの世ならざる指輪。

静かなる狂気に侵されたこの指輪は常人が着用していい物ではなく、資格無き者が手にすれば二度と在るべき地に戻る事は叶わないだろう。

特性:バーサーク強化+1

以下の起動文を発声することで、HPとMPの消費と引き換えに特殊効果を発動する。

『ティラノス』『エンボリオ』

▽▽▽▽▽



「ふむ……暴君とワクチン……ね。まあ、前者は特性:バーサーク強化で、後者は特性:ワクチンのインターバル短縮と言う所か」

 まあ、この先に至るためにはまだまだ素材が足りない。

 今はこれで納得して、身に着けておくべきだろう。


【ゾッタの錬金レベルが37に上昇した。錬金ステータスの中から上げたい項目を一つ選んでください】

「と、レベルアップか」

 と、ここで錬金レベルが上昇したので、装備を整えると同時に素材類の方を1上げておく。



△△△△△

ゾッタ レベル32/37


戦闘ステータス

肉体-生命力20・攻撃力10・防御力10+3・持久力9・瞬発力10・体幹力10

精神-魔法力10・撃魔力10・抗魔力7+6・回復力37+12・感知力10・精神力11


錬金ステータス

属性-火属性10・水属性10・風属性10・地属性10・光属性7・闇属性10

分類-武器類20・防具類15・装飾品15・助道具20・撃道具15・素材類17

▽▽▽▽▽


△△△△△

ゾッタ レベル32/37

攻撃力665:325/350

防御力355:0/0/85/90/90/90


右手:バーサークアームアクス(命中補正+1・特性バーサーク・アブソーブ)

左手:ガードミスリルエッジ(パリィ成功率+1・ヘイト集中+2・無属性魔法攻撃・特性ガード・リジェネ)

頭:バーンオーガの仮面(ヘイト集中+1・特性バーサーク・バーン)

胴:バーサークミスリルシャツ(抗魔力+2・特性バーサーク・リジェネ)

腕:バーサークミスリルアーム(抗魔力+2・特性バーサーク・リジェネ)

脚:バーサークミスリルズボン(抗魔力+2・特性バーサーク・リジェネ)

装飾品1:トリゴニキ・ピラミーダ(特性:バーサーク強化+1・『ティラノス』『エンボリオ』・特性:バーサーク・ワクチン・ブラッド・『ヌル』)

装飾品2:ネクタール(ホムンクルス)

▽▽▽▽▽



「さて、これで今日やるべき事は終わったか。となれば……ま、適当に寝るか、ヘスペリデス各所の確認でもするか、アイテムでも作って過ごすか、という所だな」

 そうしてレベルアップの処理が終わった俺は、神殿を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ