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「「「はあああああぁぁぁぁぁぁ!!?」」」
ヘスペリデス中に他のプレイヤーたちの叫び声が響き渡る。
「おい待て、ゾッタ。特性:キルエルダが反応って、それは本当に言っているのか」
「ちょ、GMから人間扱いされて無いって事じゃねえか」
「いやいやいやいやいや、幾ら『狂い斧』さんだからってそれはおかしいでしょう。それは」
「うわー、どうしよう。シュヴァリエ、私一瞬だけど、今更?とか思っちゃったわ……」
「種族追加か……中々に興味深いが……」
「よりにもよって上位存在って……神とか悪魔の類って事じゃねえか……」
「どうなってんだよGM!ジイイイィィィエエムウウウゥゥゥ!!」
「特性:エンデッドとかはあるけどさぁ……だからと言ってさぁ……」
「いや大丈夫じゃない?ギニョール。僕も同じような事思っちゃったし」
「えええぇぇぇ……何がどうなれば種族追加なんて起きるんですか……」
「種族追加……メリットがあるのかだけは気になるところだけど……」
その後の反応は……まあ、プレイヤーごとに様々だな。
とりあえず落ち着くまで待つしかないだろう。
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【AIOライト 82日目 10:47 (半月・晴れ) 還元街・サハイ-ヘスペリデス】
「……。つまりこういう事だな」
で、おおよそ十分後。
プレイヤーたちは落ち着き、トロヘルによって俺への事情聴取も行われた。
「特性:キルエルダが反応したのは事実。だが何時何処で何故種族追加がされたのかは分からない。また、体調やステータス面にも変化は見られない。GMからの説明も無し、と」
「そう言う事だな。だからまあ、ぶっちゃけて言えば現状だと特性:キルエルダ持ちの敵に弱くなったデメリットしか感じないな」
「まあ、現時点だとそうなるだろうな」
そうして事情聴取の結果をトロヘルは分かりやすくまとめてくれたのだが…ざわつきが収まる様子は見られない。
んー、システムで反応する以上は隠していてもいずれバレる事と考えて話したんだが、失敗だったか?
「とりあえず、この件についてはゲーム中での行動によってプレイヤーの種族が追加される事がある。程度に留めておくぞ。流石に不確定事項が多過ぎる」
微妙に頭を抱えているトロヘルの言葉にほぼ全てのプレイヤーが頷いて見せる。
「で、ダンジョン内で分かった事は他に何か有るか?ああ、ボス戦後についてはまだいいぞ」
「他と言われてもな……」
他にと言われても……第九階層の巣マップと、第十階層のボスについてくらいか。
尤も、前者については地形、特性、敵の特徴等々を生かし切った結果として切り抜けられたという話であるし、後者については動画館に既に動画が上がっているので今更だろう。
なお、その動画を大きめのスクリーンを展開して全員で見た際には……
「ボスを一撃でのすなよ……」
「戦術的にも戦略的にも正しいんだが……」
「もう笑いしか出ねぇ」
と言うのがだいたいの反応だった。
うーん、正直なところ、三人に分散している分だけ、一体当たりの戦闘能力は落ちているだろうし、それを考えたら耐久力関係が劣っている奴なら一撃で倒せてもおかしくはないと思うんだがなぁ。
「それで?こっちの情報はだいたい出し終ったわけだけど、トロヘルたちの方は何か情報はあるの?」
「勿論ある。と言っても還元の白枝関係の情報に比べると見劣りするけどな」
と、そんな事を俺が考えていたらグランギニョルとトロヘルが話を進めていた。
どうやらトロヘルたちの方からも幾つか報告があるらしい。
で、その報告をまとめるならばだ。
・北西の森の海岸線にて、水平線の辺りにトウの地とは違う新たな大地が発見された
・北西の森の中で黒い石版……つまりはアルカナボスが発見されたが、詳細は未確認
・北西の森のワンダリングモンスターとしてプレンウェアウルフLv.50を確認。なお、出会ったPTはほぼ壊滅
・北の雪原および、サハイ南の山脈だが、ある程度進むと対寒気用の装備が必須になる
との事だった。
うん、この中で特に重要なのは最後だな。
寒さ対策が必須という情報なしに進んでいたら、詰みかねないところだった。
「後は……そうだな。掲示板の方には同盟の彩砂……自分のギルドを作れるアイテムについての話題も出てきている」
「同盟街・ウハイ。サハイと対を為す南の方の街の話ね」
「ああそうだ。向こうはどうにもアライアンス必須のダンジョンみたいでな。中々に苦戦している様子だ」
「ふうん。で、ウハイの先もサハイの先と対を為しそうな感じなの?」
「流石に察しが良いな。向こうは砂漠だそうだぞ。ああそれと、番茶さんはウハイの方に向かったそうだ。ギルド設立の方が優先度が高そうだ、って事でな」
「なるほどね」
で、同盟街・ウハイ、恐らくはローエン辺りが中心になっているであろう南の方は相応の苦戦を強いられているらしい。
しかしアライアンス必須とは……本当に厄介だな。
「さて、これで肝心の情報以外は出揃ったな」
「そうね。出揃ったと思うわ」
「ん?ああ、そうだな。そう思う」
と、此処でトロヘルとグランギニョルの目がこちらを向く。
そして思い出す。
そう言えば最も重要な情報をまだ交換していなかったと。
「じゃあ、還元の白枝の塔の方をクリアした成果についてだな。よろしく頼む」
「そうね。話させてもらうわ」
「分かった」
そうして俺とグランギニョルは還元の白枝の在り処についての話をすることになった。




