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AIOライト  作者: 栗木下
8章:双肺都市-前編

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444/621

444:82-6

本日は二話更新です。

こちらは二話目です。

【AIOライト 82日目 10:25 (半月・晴れ) 還元街・サハイ-ヘスペリデス】


「とまあ、基本的な情報はこんな所か」

「そうだな。これでいいと思う」

 まず還元の白枝についての基本的な情報についての説明は終わった。

 内容については……まあ、ダンジョン攻略で手に入るのが情報である事や、先に進むのにアイテムが必要な事、特性や構造が初期状態では未識別である事など、掲示板でも既に語られている内容なので割愛する。


「さて本題はここからだな。ロラ助、だいたいの察しはつくが、お前たちの方では何があった?」

「あー、自分とミストアイランドさんは第七階層で巣マップに遭遇したんです。敵はデーモン種、ライオン種、ドラフライ種で、特性は推測ですが攻撃上昇系の特性でした。それと砂漠マップでもありましたね。なのでまあ……袋叩きにされて死に戻りです」

 まず還元の白枝-2の塔の攻略に挑むも、途中で死に戻りする事になったロラ助が何があったのかを語る。


「特性不明の状態で巣マップ……」

「そりゃあ無理だわな……」

「てーか、1パーティ揃っていても死に戻りしかねないだろ。それ」

 なるほど、ロラ助とミストアイランドさんは巣マップに遭遇して死に戻り、か。

 まあ、他の攻略組がロラ助に対して同情的な視線を向けているか、自分たちならどうするかを真剣に考えている事からも分かるように、これは仕方がない死に戻りだな。

 と言うか、俺たちが抜けられたのも火山マップである事や特性がHPを消費するものだった事が大きいしな。

 誰かが言っているが、1PTプレイヤー6人ホムンクルス12人が集まっていてもなおきつい戦いになるだろう。


「そう言うわけでミストアイランドさんはトウの地の方で今回の情報を広めるために向こうに留まり、自分一人だけがサハイに戻ってきた感じですね。他は……特に目立つ事はないですね」

「なるほど。分かった」

 そうしてロラ助の報告は終わり、ロラ助は茶を啜る。

 ちなみに現在ヘスペリデスに居るプレイヤーには緑茶あるいは紅茶とクッキーまたは煎餅が配られているが、これらは全て自家製、ラードーンが暇を見て作っていたものである。

 いずれもほのかな甘みや塩味しか感じないので、流石に砂糖の類はないようだが……この分だとその内何処かからか入手しているかもしれないな。


「じゃあ次は私たちね」

「そうだね」

 で、次はシュヴァリエたちの番である。

 が、特に目立つような報告は無かった。

 強いて言うならばボスが『回復力溢れる野牛』Lv.30一体で、恐らくはレア度:3の自動生成ダンジョンのボス相当の強さを持っていた事。

 それに特性:イモータルと言う厄介な特性と遭遇した事ぐらいか。

 ちなみに特性:イモータルだが、どうやら一度発動状態に入ってしまうと、HP回復を受け付けなくなるらしい。

 なので、プレイヤーが使う分には少々どころでなく使い勝手が悪いのではないかとの事だった。

 なお、グランギニョルとシュヴァリエは幸運な事に巣マップには遭遇しなかったらしい。

 それと、ボス戦後の諸々については、話し合いの最後に回す事になった。


「じゃあ次はゾッタだな」

「そうだな……」

 続けて俺たちの番である。

 番であるが……さて、何を話した物か。


「えーと、ちょっと待ってくれ」

 俺はとりあえずインベントリを開き、ヘスペリデスの中に在るアイテムも確認する。

 すると見慣れない名前のアイテムを二つ確認したので、それらの詳細を全員に見える形で表示する。


「まず、これがそうだな」

「これは?」

 取り出したのはワクチンスィンクの欠片とブラッドキメラの尾。

 どちらもダンジョン内では未識別で、詳細が分からなかったアイテムである。



△△△△△

ワクチンスィンクの欠片

レア度:3

種別:素材

耐久度:100/100

特性:ワクチン(状態異常に対する守りを得る)


ワクチンスィンクと呼ばれる思念が結晶化した後に魔物化した存在の一部。

物理的な実体を有するのに重量を持たず、外部からの干渉の大半がすり抜けるという非常にエキゾチックな性質を有している。

▽▽▽▽▽


△△△△△

ブラッドキメラの尾

レア度:3

種別:素材

耐久度:100/100

特性:ブラッド(流血を対価に力を得る)


ブラッドキメラの蛇部分を丸ごと採取したもの。

牙には毒腺が存在しているほか、強靭でしなやかな肉体を有している。

▽▽▽▽▽



「どうやらダンジョン内で未識別だったアイテムでも、ダンジョンの外に出れば識別が自動的に行われるらしい」

「なるほど。どういう理屈かは分からないが、ありがたい仕様だな」

 何故アイテムの名前が分かるようになったのか。

 理屈はともかく理由についてはダンジョンの外に出たから、これ以外には存在しないだろう。

 なお、この二つのアイテムこそが、『非存在性・』狂戦士のヘスペリデスの朝露、バーサークオーヴリングとの間に繋がりを有しているアイテムである。

 なので、この情報交換会が終わり次第錬金するつもりである。


「で、このスィンクと言うのはどういうモンスターなんだ?掲示板にもゾッタの書き込みは有ったが」

「それを言われると俺としても困る事なんだが……」

 俺はワクチンスィンクについて分かっている事を話す。

 話すが……


「思念体……」

「仲間は呼び寄せているっぽいのか……」

「大量の魔力を浴びせることが倒す条件か?」

「いや、それだとなんか違う感じがしないか?」

 まあ、直接対峙した俺たちにも分からない事が多い以上、この場に居るプレイヤーが分かる事も殆ど無かった。

 とりあえず要注意モンスターである事だけが共通認識として上がったくらいである。

 と言うわけで、この件についてはここまでである。


「後は……ああ、そうだ。どうしてかは知らないが、特性:キルエルダが俺に反応するようになっていたな」

「「「……」」」

 で、続けて特性:キルエルダの件について話したところ。


「「「は?」」」

「ですよねー」

「ーーー……」

「そーなんですかー」

「ん?」

 見事にシア、ネクタール、ラードーン、俺以外の全員の声がだぶった。

07/17誤字訂正

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