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AIOライト  作者: 栗木下
8章:双肺都市-前編

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443/621

443:82-5

本日は二話更新です。

こちらは一話目です。

【AIOライト 82日目 09:52 (半月・晴れ) 還元街・サハイ】


「おおっ!帰ってきたな!ゾッタ!」

「トロヘル。そうか、流石に三日もあれば他のPTも着くか」

「ま、そう言う事だな」

 錬金術師(アルケミスト)ギルド・サハイ支部の中は大量のプレイヤーにホムンクルス、それに各個人の携帯工房の入口で非常に混み合っていた。

 それこそ碌に落ち着いて座り、喋れるスペースもない程に。

 どうやら、サハイ支部はケイカ支部と違い、プレイヤーの人数が増えたから支部のサイズも拡張される、などと言う便利機能は搭載されていないらしい。


「で、この人数は何なんだ?今の時間帯、普通ならレベル上げなり攻略なりに出かけている時間帯だろ」

 まあ、機能の話とは別に、何故これだけのプレイヤーが居るのかが謎でもある。

 今は十時ちょっと前、普段なら午前中の活動の山場だろう。


「あー、簡単に言ってしまえば情報収集を望んでいるんだよ。此処に居る全員な」

「情報収集?」

「ああ、還元の白枝に関しての情報だ。今朝早くにお前が還元の白枝-3の塔のボスを攻略した動画が動画館の方にアップされてな。それなら俺たちは挑む前に得られるだけの情報を得るべきだという事になった」

「で、この集まりと」

「そう言う事だな」

 俺は改めてサハイ支部の中に居る面々に視線を向ける。

 例のMPKのような危険な要素を有しているプレイヤーは見当たらない。

 代わりにロラ助が『自分だけでは説明しきれないので助けてください』的なジェスチャーをしているのは見つけたが。


「ちなみにグランギニョルたちは?」

「グランギニョルたちなら一時間くらい前に攻略動画がアップされていたな。だから、早ければそろそろ帰って来るんじゃないか?」

「そうか、なら……」

「ふう、やっと帰って来れた……って、随分と人が多いわね」

 俺はグランギニョルについてトロヘルに尋ねる。

 すると噂をすれば影と言う奴だろうか?

 丁度グランギニョルとシュヴァリエの二人がサハイ支部の中に入ってくる。

 しかもアブサディットたちを出したまま。


「……。とりあえず場所を変えるぞ。流石に狭い」

「ん?となるともしかして……」

「ネクタール」

「ーーー」

 すし詰め状態ではないが、今のサハイ支部は明らかに定員オーバーの状態だった。

 と言うわけで俺はネクタールをサハイ支部全体に広げると、サハイ支部のNPCと設備以外のすべて……つまりはプレイヤー、ホムンクルス、携帯工房の入り口をヘスペリデスに移動させたのだった。



----------



【AIOライト 82日目 10:09 (半月・晴れ) 還元街・サハイ-ヘスペリデス】


「これでよし」

 ヘスペリデスへの移動はあっさり終わった。


「これでよしじゃないわよ!ゾッタ兄!」

「アイタッ」

 俺が満足そうに頷くと同時にハリセンのような物を持ったグランギニョルに後頭部を殴られた。


「何を……」

「何をはこっちの台詞よ。ちゃんと事情説明しないと誘拐容疑でGMコールかますわよ。それとトロヘルにもこの状況の説明を求めるわ」

「あ、はい」

「お、おう……」

 そうして俺とトロヘルはまず自分たちの現在の状況とヘスペリデスを展開した経緯について説明させられたのだった。

 ちなみにグランギニョルの持っていたハリセンだが、還元の白枝-1の塔攻略中に余った素材で作ったハリセンだそうで、特性:シンパシィと特性:スナイプを持った、100%正確なツッコミを入れられるがダメージは入らない完全なツッコミ用かつお遊び用のアイテムとの事で、『まさかいきなり使う事になるとは思わなかったわ』とは作ったグランギニョル本人の弁である。


「きょ、強制移動ってマジか……」

「うわっ、携帯工房まで移動させられてるぞ」

「やっぱヘスペリデスって別世界なんじゃ……」

「流石はゾッタ君と言うべきかなんというべきか……」

「何時かはアタシもこんな工房を持ちたいものだねぇ」

「ご主人様ー、お茶とかお菓子とか持って来ましたよー」

「女中メイドさんキタコレ」

「レベル高けえぇぇ……」

 で、俺とトロヘルの説明が終わる頃。

 携帯工房の中に居たプレイヤーも外に出て来て、ヘスペリデスに対しての一通りの反応はし終った。

 そして、ラードーンの準備した茶と菓子もだいたい行き渡り、本格的な情報交換を行う準備も整ったのだった。


「さてとだ。それじゃあ一応は俺が司会と言うか進行役として話を進ませてもらうぞ」

「ああ、それで構わない」

「よろしくね。トロヘル」

「お願いします」

「よろしく頼む。トロヘル君」

 さて、現在この場に居るプレイヤーだが、おおよそ30人ちょっとのプレイヤーが居る。

 恐らくだがサハイを目指していたプレイヤーのほぼ全員がこの場に居るのだろう。

 俺の知り合いと言えば……グランギニョルとシュヴァリエの二人を筆頭に、トロヘル、ロラ助、ブルカノさん、ジャックさん、FC灯叫さん、それから顔見知り程度ではあるが、ゲールマンさんも居るか。

 逆に居ないのは……レティクルさんとミストアイランドさんの二人に番茶さん、マンダリン、クリームブラン、ローエンと言った辺りだな。


「じゃあまずは還元の白枝についての基本的な情報の確認から始めるとしよう」

 そうしてトロヘルが進行する中で、情報交換会は始まった。

07/16誤字訂正

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