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AIOライト  作者: 栗木下
8章:双肺都市-前編

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440:82-2-S22

『ふんっ!ぬんっ!』

「よっ、ほっ」

 光力溢れる還元の魔道士を先んじて倒した影響は大きかった。


『どららららああぁぁ!』

「ーーーーー!」

 何故ならば敵の数が一体減ったおかげで、俺は光力溢れる還元の騎士との戦いに、ネクタールは光力溢れる還元の格闘家の牽制に集中して対応する事が出来るようになっていたからだ。


『小癪なああぁぁ!』

「そりゃあどうも」

『ぶっ潰す!ぶっ潰す!ぶっ潰すううぅぅ!』

「ーーー!!」

 だがそれは簡単に倒せるという意味ではない。

 騎士の光を纏った剣による攻撃は少しずつではあるが、こちらの短剣による防御を上回って俺にダメージを通してきているし、光を纏った盾による防御は俺の斧による攻撃のダメージを大きく減らしている。

 その為、まだHPバーは最大値の80%近く残っている。

 格闘家の光を纏った拳と脚による攻撃も、ネクタールが自らの能力を最大限に生かして適宜槍を突き出し、全力を振るえないようにしているおかげで、被ダメージを抑える事が出来ているだけではなく、少しずつダメージを与える事も出来ている。

 が、それでもまだHPバーは最大値の65%ほど残っている。

 対するこちらのHPは最大値の75%ほど、つまりこのまま行けば俺たちの側が競り負けることになるだろう。

 そう、このまま行けば、だ。


「『癒しをもたらせ』『大地の恩寵をその身に』『力を和らげよ』『カース』」

『ぐっ……』

 実を言えば光力溢れる還元の魔道士が居なくなったことで最も活発に動けるようになったのはシアだった。

 なにせ騎士と格闘家のヘイトは完全に俺に向かっていて、他に警戒するべき対象は居ないのだから。

 その為にシアは手持ちの支援魔法を思う存分使用し、俺の補助をするだけではなく、格闘家と騎士に状態異常:カースを付与することで少しずつではあるがダメージを与えつつ、行動を抑制する事が出来ている。

 現に今も騎士に状態異常:カースを付与することで、騎士が俺に攻撃することを一瞬ではあるが、躊躇わせた。

 そして、この一瞬こそが重要だった。


「ふんっ」

『ぬぐっ!?』

 俺は視線に魔力を乗せて放ち、攻撃を躊躇った騎士の動きをさらに阻害。

 大きな隙を生み出す。


「ネクタール!」

「ーーー!」

『はな……ぬぐおっ!?』

 その隙を使って俺はネクタールと同時に格闘家を攻撃。

 ネクタールが自らの身体の一部を格闘家に絡ませて動きを鈍らせたところに、俺が斧を振り上げる形で当てて打ち上げ、更にそこからネクタールがゼロ距離攻撃を行い、格闘家を回廊の柱に向けて吹き飛ばし、叩きつける。


「おまけだ。っと」

『貴様ああぁぁ!』

 砂の地面に崩れ落ちる格闘家に向けて俺はリジェネミスリルクリスを投擲。

 直後、硬直が終わった騎士の攻撃を短剣で受け、防ぐ。

 格闘家の残りHPは……35%と言う所か。


『許すまじ!許すまじ!許すまじいぃぃ!!』

「……」

 格闘家が大きなダメージを受けたために激昂したのか、騎士の攻撃はかなり激しい。

 この攻撃の激しさと魔道士が倒れた時に格闘家と騎士が強化された事を考えると、どちらかが倒れれば、更に強化が入るのかもしれないな。

 となればだ。


「シア、ネクタール。平均的に削れ。同時に倒す」

「はい、マスター。『ブート』!」

「ーーーーー!」

『ぬぐおっ』

 上手くいくかは分からないが、同時撃破を目指すのが正解だろう。

 そう判断した俺は格闘家が復帰しつつあるのを横目で確認しつつ、騎士のHPを少しずつ削っていく。


『よくも……よくもやってくれたなああぁぁ!』

 と、ここで完全復帰した格闘家が怒りに任せた様子で飛び蹴りを放ってくる。

 だが、それは完全な悪手だ。


「下らないな」

『っつ!?』

『なっ!?』

 俺は騎士の攻撃を弾いて時間を作ると、その場でしゃがんで格闘家の飛び蹴りが俺の頭上を越そうとするのを確認。

 そして格闘家の脚をネクタールと共に掴むと……


「ふんっ!」

『『!?』』

 飛び蹴りの勢いを殺さないように注意しつつ、格闘家の身体をまるで斧のように持つと、騎士に向けて振り下ろす。

 ダメージは……少ない。

 だが、それ以上に騎士と格闘家が一ヶ所に固まってくれたのがありがたかった。


「一気に攻め落とすぞ!」

「ーーーーー!」

「『ブート』『ブート』『カースウッドキング・フォースハウル』!」

『『!?』』

 俺の斧と短剣が、ネクタールの槍が、シアの魔法が騎士と格闘家に同時に襲い掛かり、瞬く間にそのHPを削り取っていく。


『馬鹿な……』

 そうしてまずは軽装だった格闘家のHPが底を突く。


『よくもやって……』

「よっと」

 すると格闘家の死に反応して、攻撃の影響で俺たちから少し離れた場所に移動してしまった騎士が纏っている魔力が強くなり、剣と盾の輝きも強くなる。


『く?』

 だがその姿はあまりにも隙だらけだった。

 なので俺は素早く接近すると、騎士の片足を斧で殴って払う事で、騎士の身体を宙に浮かせる。


「ーーーーーーー!!」

『れぎゃあっ!?』

 そして宙に浮いた騎士に向けてネクタールが三本の槍をゼロ距離で突き出して吹き飛ばし、頭から地面に落下させる。


「『ブート』」

『!?』

 で、シアの『ブート』による追撃が命中することによって光力溢れる還元の騎士のHPバーは底を突いたのだった。

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