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AIOライト  作者: 栗木下
8章:双肺都市-前編

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435/621

435:81-11-S17

本日は二話更新になります。

こちらは二話目です。

【AIOライト 81日目 16:38 (2/6・晴れ) WB3・『?火山の巣』】


「グルアアアァァァ!」

 ディモスの効果によって俺に対する強い敵意を持ったキメラの咆哮が響き渡る。


「「「ガガガアアァァァ!」」」

「「「……」」」

 それと同時に?オストリッチたちと?エルフたちがそれぞれに戦闘行動を取り始める。


「シアッ!ネクタール!」

「はいっ!」

「ーーーーー!」

 対する俺たちも素早く行動をとり始める。

 つまり、シアを俺の背中に乗せ、ネクタールでそれを補佐、前かがみに近い状態になった俺は、そのままの姿勢で?エルフが三体固まっている場所に向かって突撃する。

 だが、その進路の途上には正式名称も分からないキメラが立ち塞がっており、既に鋭い爪の生えた片足を天高く振り上げている。

 だから……


「『カースウッドキング・フォースハウル』!」

「グギャ!?」

 シアの『カースウッドキング・フォースハウル』を間近で発動。

 俺たちの周囲から発生する大量の木の根によってキメラを無理やり吹き飛ばす。


「ネクタール」

「ーーー……」

 そして、大量の木の根が生えることで、周囲からの視線が切れる瞬間を狙って俺たちはネクタールの能力によってその身を隠蔽。

 さらに生えてくる木の根の一本にネクタールを絡み付かせて、俺たち自身も多少のダメージと引き換えに一気に目標の近くにまで移動をする。


「一気に仕留めるぞ」

「はい」

「ーーー」

「「「ーー……!?」」」

 木の根による攻撃とネクタールの隠蔽が効いている為だろう。

 三体の?エルフたちは、自分たちの集団の中心に俺たちが居るにも関わらず、その存在に気付いていないようだった。


「ふんっ!」

「ーーー!?」

 だからまず俺が手近な場所に居た?エルフの頭部に向けて斧を振り下ろす。


「『ブート』」

「ーーー」

「「!?」」

 続けて他の二体に向けてシアが『ブート』で攻撃を行うと共にネクタールが槍を突き出して手傷を負わせる。

 これで三体の?エルフに与えたダメージはそれぞれ最大HPの20%ほど。


「はっ!」

「『ブート』!」

「ーーーーー!!」

「「「……!?」」」

 だから俺たちは一気に攻め立てることにした。

 手に持っていた弓も杖も使わせずに、木の根が消え去るまでの僅かな時間を使えるだけ使って、?エルフたちに攻撃する。


「ーーー……」

「よし……」

 そうして木の根が消え去る頃、三体の?エルフは全員倒れた。


「マスター。此処からですね」

「ああそうだな」

「グルル……」「シャアアァァ……」「ベエエェェ……」

「「「ガガーグワー」」」

「「「……」」」

 このマップ、『?火山の巣』に存在しているモンスターは現在エルフが3×2グループ、オストリッチが3×4グループ、そしてキメラが1体の計19体。

 当然ながら真正面からやりあって勝てる数ではないし、全員が俺たちに対して強い敵意を向けている。

 そして頼みの綱とも言えそうなコンソールだが……見渡す限りではどこにも見当たらない。

 モンスターの陰に隠れているのか、全滅させるまで出現しない仕様なのかは分からないが、次の階層に逃げる事をそう易々と許してくれる事はないらしい。


「「「ガガグワー!!」」」

「走るぞ!」

「はいっ!」

 ?オストリッチたちが俺たちに向かって駆け出し始める。

 それに対して、俺はシアを背負ったまま特性:バーサークを最大限に発動。

 全速力で駆けだす。

 向かう先は……当然、後衛である?エルフのグループの一つだ。


「『癒しをもたらせ』『大地の恩寵をその身に』」

「「「ーーー!」」」

 シアが支援魔法を使う中、?エルフたちから俺たちに向けて矢と魔法が飛んでくる。

 だが、ただの矢と魔法ではないらしく、通常では存在しない紅い燐光のようなエフェクトを伴うと同時に、?エルフたちのHPがほんの僅かにだが減少する。


「ふんっ!」

 避ける余裕はなく、ただ受ける意味もない。

 だから俺は?エルフの攻撃をネクタールと協力して、速度を緩めることなく武器で弾き飛ばす。

 そうして受けたダメージは最大HPの7~8%程。

 防いだにしては妙に高い数値だった。


「「「ーーー!」」」

「「「ガガガアアアァァァ!」」」

「マスター!オストリッチたちが!」

 俺たちの背後からは?オストリッチたちが迫って来ている。

 彼らも紅い燐光のような物を纏っており、走るのに合わせて僅かではあるがダメージを受け続けているようだった。


「なるほど、HP消費特性か」

「スゥ……グギャ!?」

 遠くではキメラが紅い燐光を放出し、HPバーを減らしつつも大きく息を吸い込み、ブレスのような物を吐こうとしているようだった。

 流石にこれは放置できなかったので、俺は視線に魔力を乗せると、キメラに向けて投射。

 ブレスを吐く直前に動きを止めることで、ブレスを口内で暴発させ、ダメージを与えつつ攻撃を阻止する。


「そんな冷静に……」

 もう既にオストリッチたちは俺たちの真後ろにまで来ている。

 だが?エルフたちの姿も目の前にあった。

 だから俺は無言でネクタールに指示を出し、備える。


「って、待ってください」

 俺たちは?エルフたちに肉薄する。


「まさか……」

 そして、そのまま?エルフたちの横を通り過ぎ、?エルフたちの背後に見えていた溶岩の池の縁に足をかける。


「ぬおらあっ!」

「ーーーーー!」

「マスタアアァァァ!?」

 そうして、脚の裏に回したネクタールに槍を突き出させて加速しつつ、溶岩の池に向かって跳躍した。

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