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AIOライト  作者: 栗木下
8章:双肺都市-前編

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433/621

433:81-9-S15

本日は二話更新です。

こちらは二話目です。

【AIOライト 81日目 14:35 (2/6・晴れ) WB3・『上位殺しの清流の洞窟』】


「さて、採取ポイントも含めて出来れば二階層分は回収しておきたいな」

「つまりレア度の合計が40になるように、と言う事ですね」

「そう言う事だな」

 『上位殺しの清流の洞窟』の様子に変化は見られない。

 相変わらず俺にだけ身を切るほどに冷たく感じられる水はゆっくりと流れているし、岩の凹凸や苔の生え方にもおかしなものは感じられない。

 となれば後気になるのは出現するモンスターだが……。


「ハルウゥゥキイィィ……」

「どうやら早速のようだな」

 キルエルダハルキゲニアLv.31が俺たちの前に現れる。


「ゲニャアァァ!」

「来るぞっ!」

「はいマスター!」

「ーーー!」

 俺たちの姿を目視したキルエルダハルキゲニアが、こちらに向かって駆け出す。

 それと同時に俺たちがキルエルダハルキゲニアの姿を目視し、状態異常:パニックが付与されるかどうかの判定を受けた為だろう、シアとネクタールを包み込むようにオレンジ色の障壁が一瞬だけ現れ、直ぐに粉々に砕け散る。

 そして、俺自身には先程よりも程度こそ軽いが、状態異常:パニックが付与される。


「任せるぞネクタール」

「ーーー!」

 なので先程と同じように俺自身は目を瞑って、ネクタールに身体の操作を任せるようにする。


「ハルキイイィィ!」

「『癒しをもたらせ』『大地の恩寵をその身に』!」

「ーーーーー!」

 そうしてネクタールの求めに応じる形で身体を動かしつつ、空いている頭で考えるのはキルエルダハルキゲニアの姿を見た瞬間に特性:ワクチンによる防御効果が剥されてしまった件だ。

 どうやらと言うべきか、当然というべきなのかは分からないが、特性:ワクチンの仕様として実際に状態異常がかかるかからないの判定が行われる前に、特性:ワクチンによる状態異常防御は行われるらしい。

 そして掲示板からの情報が正しいのであれば、特性:ワクチンによる状態異常防御は一度行われると、暫くの間は行われなくなるそうだ。


「ゲニャア!ゲニャアァァ!!」

「ーーー!ーーーーー!!」

 それを考えると……特性:ワクチンとハルキゲニア種の相性は、そこまで良くないのかもしれない。

 なにせハルキゲニア種はその場に居るだけで状態異常を撒くし、状態異常:パニック以外にも様々な状態異常を放ってくるからだ。


「ハルキゲニャアアァァ!」

「『ブート』!『カース』!」

 むしろ相性がいいのは特定の行動にのみ状態異常が含まれているモンスター……ヒュドラ種とかかもな。

 ヒュドラ種が相手ならば、毒の炎による状態異常:ポイズンを適宜防いでくれるはずだし。


「ゲニャアアァァ……」

「やりました!」

「ーーー!」

 まあ、いずれにしても相手の放つ状態異常を適宜抑えてくれる。

 それだけでも特性:ワクチンの有用性に間違いはないか。

 と、戦闘が終わったみたいだな。


「お疲れ様。シア、ネクタール」

「マスターもお疲れ……無意識で体を動かしていたみたいですね」

「ネクタールに任せると決めたからな」

 俺は目を開け、状況を確認する。

 シアに被害はなし、俺のHPは……最大値の70%程か。

 それなりに削られはしたみたいだな。

 まあ、これくらいなら直ぐに治るから問題なしだな。


「任せると決めたからって、気を抜き過ぎじゃないですか?マスター」

「そうか?何か有ってもその時はネクタールの責任じゃなくてネクタールに任せた俺の責任である事に変わりはないし、必要な気はちゃんと入れたままだったぞ」

 剥ぎ取りの方は……キルエルダハルキゲニアの棘か。

 まあ、何かしらのアイテムに使ってもいいし、次の階層に行くのに使ってもいいな。


「さ、探索を進めるぞ」

「分かりました。マスター」

「ーーーーー」

 剥ぎ取りを終えた俺たちは探索を再開する。

 『上位殺しの清流の洞窟』の採取物は、上位殺しの苔、上位殺しの石ころ、上位殺しの鉄鉱石等々、まあ、そこまで希少な採取品は見られない。

 で、そうして採取をしながら探索すること暫く。


「「「ビビビビビ……」」」

「ホーネット種か」

 俺たちの前に人の顔程の大きさを持つ巨大な蜂……キルエルダホーネットが三体、独特の羽音を鳴らしつつ現れる。

 レベルは……25、29、32か、随分とばらつきがあるな。

 で、ホーネット種の特徴と言えば巨大な針による状態異常:ポイズン付きの攻撃だが……まあ、特性:ワクチンの使用回数は回復しているから大丈夫か。

 俺自身については、上手く避けるしかないが。


「「「ブウウゥゥン!」」」

「来るぞっ」

 キルエルダホーネットたちが編隊を組んで俺たちに向かって突っ込んでくる。

 対する俺たちはいつも通りに戦闘の態勢を整える。


「ブウウン!」

「ブブン!」

「ふんっ!」

「ブギュ!?」

 キルエルダホーネットの一匹がすれ違いざまに俺に噛み付き、もう一匹が尻の針で刺してくる。

 そして最後の一匹の攻撃は俺の斧が直撃して体勢が崩れたために、行われなかった。

 ダメージは二匹合わせて最大HPの5%程、手数と状態異常で押すタイプなら、まあこんな物だろう。

 で、特性:ワクチンの発動は……二匹目、針による攻撃にのみ発生した。

 どうやらキルエルダホーネットの噛み付きに状態異常は含まれていないらしい。


「まずは一体。一気に攻めきるぞ」

「はいマスター!」

「ーーー!」

 ならば針による攻撃にだけ気を付ければいい。

 そう判断した俺たちは一気に攻め立て、一匹ずつキルエルダホーネットたちを片付けていく。

 そうして、途中俺に状態異常:ポイズンと状態異常:パライズが同時に付与されるというトラブルこそあったが、特に問題なく勝利したのだった。

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