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AIOライト  作者: 栗木下
8章:双肺都市-前編

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431:81-7-S13

【AIOライト 81日目 12:45 (2/6・晴れ) WB3・『上位殺しの清流の洞窟』-ヘスペリデス】


「すぅ……はぁ……」

 俺はカプノスで煙を吸って……吐き……一時の間ではあるが、その身を人では無いものへと変じさせる。


「さて、始めるか」

 そして右手と左手、それぞれに今からする錬金に必要なアイテムを持つと、アイテムと神殿内の空気全体へと俺の魔力を浸透させる。


「ふんっ!」

 右手に持った破魔のヘスペリデスの黒枝、ワクチンラミアの鱗、上位殺しの苔を。

 左手に持った秘匿するヘスペリデスの樹脂、ピアースミノタウロスの皮、ワクチンレオパルドの毛皮を。

 同時にミデンに投入する。

 そしてラードーンがミニラドンを生み出すように、グランギニョルがアブサディットたちを操るように、右手の素材を担当する自分と左手の素材を担当する自分、それに二つの自分を統括する俺と言う物を意識。

 両手で均等に魔力を注ぎ込むと同時に、ミデンと言う一つの錬金炉の中で、それぞれの手の内のアイテムは混ざり合うように、違う手のアイテムは混ざらないように注意を払う。


『「我が名は錬金術師ゾッタ」』

 そうして十分に魔力を注ぎ込めたところで俺は言葉を紡ぎ始める。


「魔を破る楽園の黒き枝」

『星を隠す楽園の黒き雫』

 ただし、肉の口と魔力による空気振動を利用した発声を同時に行う。

 そうでなければ、今回の錬金は上手くいかないからだ。


「汝交わるは強き魅了によって抗う者の鱗と驕るものにこそ茂るもの」

『汝交わるは病魔すらしなやかに受け流す獣の皮と決して貫かせぬと言う強き意思持つ半獣の皮』

 だから先述したとおり、自分の意識を二分割して俺は言葉を紡ぐ。


『「そして繋がりもつは同じ時と場に始まりを持つ魂の双子」』

 ミデンを共通の中心とするように二つの光の渦が生じ、互いに干渉し合いつつ、周囲に圧を撒く。


『汝なるは古きを思わせる冠。それは上にて驕る愚者に心を揺るがされず、汝の心魂を保つもの』

「汝なるは新しき地を目指すが為の外套。それは降り注ぐものを防ぎ、汝の身魂を強くするもの」

 だが似ているように見えて、光の渦の性質は左右で大きく異なる。


『力ばかりを誇り、魅力とする愚者など要らぬ。それが導くは卑しき苦痛であって、尊き幸福ではないが故に』

「強きに惹かれるだけで、己亡き愚者など要らぬ。それが誘うはさもしき幻想であって、満たされし現実ではないが故に」

 右手の渦は反時計回りで、粒の一つ一つが大きく、新緑を思わせるような色合いを主体として、常に強い圧力を放っている。

 左手の渦は時計回りで、粒の一つ一つが細かく、鮮血を思わせるような色合いを主体として、強さに波のある圧力を放っている。


「『だからこそ双子は共に歩みて守護する。一にも全にも寄らず、最も辛くとも最もあるべき道を歩み、守り通す』」

 やがて渦は平面的な物から立体的な物に変わり、干渉も絡み合い方も複雑化していく。

 それはつまり、俺が行うべき処理が複雑化していくことも示しているが、問題はない。

 その為に俺は全体を俯瞰する俺と言う物を置いているのだから。

 発声する口を時折入れ替えつつ言葉を紡いでいるのだから。


『「認めよ。改めよ。従えよ。静まれ。鎮まれ。調べ調和させ形を成せ」』

 そうして俺は完成させるための言葉を紡ぎ始める。


「汝こそは尊き者の心を守る冠。如何なる形無き病をも許さぬ不破の守護」

『汝こそは尊き者の身を守る套。如何なる形有る病をも許さぬ不破の守護』

 ミデンの中に入れている両手もそれに触れる。


「『さあ、我が前に姿を顕せ』」

 だから俺は一気に両手を引き抜く。


『ズィズィマ・デクシア』

「ズィズィマ・アリステラ」

 苔むした木製の冠と、豹柄の外套を。

 そして、ズィズィマ・デクシアとズィズィマ・アリステラが確かに二つのアイテムであるのに、その間に明確な繋がりを有している事を見た。


「ふぅ、無事に完成か」

 どうやらこれで無事に完成したらしい。

 と言うわけで、俺は二つのアイテムの詳細を見てみる。



△△△△△

ズィズィマ・デクシア

レア度:PM

種別:防具-頭

防御力:100

耐久度:100/100

特性:ディスペル(魔の力を打ち砕く)

   オトガ(自動的に攻撃を防ぐ)

   ワクチン(状態異常に対する守りを得る)

   キルエルダ(上位者に対して強い力を持つ)


それはCommonではなくSoleである。

所有者の精神と魂を守る力に特化した木製の冠。

この冠を身に着けている限り、気まぐれに行われるような誘惑と悪意が着用者に届く事はない。

ズィズィマ・アリステラと同時に装備することで、その効力は更に高まる。

状態異常耐性:精神系全般

▽▽▽▽▽


△△△△△

ズィズィマ・アリステラ

レア度:PM

種別:装飾品-雨具

耐久度:100/100

特性:ハイド(認識しづらく、人目に付かない)

   アブソーブ(力を奪い己の血肉とする)

   ワクチン(状態異常に対する守りを得る)

   ピアース(守りを貫き、届かせる)


それはCommonではなくSoleである。

所有者の肉体と魂を守る力に特化した毛皮の外套。

この外套を身に付けている限り、自然の理に従った厄災と悪意が着用者に届く事はない。

ズィズィマ・デクシアと同時に装備することで、その効力は更に高まる。

状態異常耐性:肉体系全般

▽▽▽▽▽



「うん、性能面に問題ないな」

 性能面に問題はない。

 思った通りのものが出来たと言っていいだろう。

 後は見た目だが……うん、苔むした木の冠に豹柄の外套と言うのは流石にどうかと言わざるを得ないな。

 と言うわけでだ。


「じゃ、シアから装備を借りて、見た目だけ付与するか」

 十分に休憩を取って姿が変わった後に、消費したヘスペリデスの黒葉を回収。

 それから俺はシアから同じ部位の装備をもらい、ズィズィマ・デクシアとズィズィマ・アリステラの見た目をシアが今身に着けている物と同じものに変更。

 で、シアに渡したのだった。


【ゾッタの錬金レベルが36に上昇した。錬金ステータスの中から上げたい項目を一つ選んでください】

 なお、ステータスについては素材類を上げておく。



△△△△△

ゾッタ レベル31/36


戦闘ステータス

肉体-生命力20・攻撃力10・防御力10+3・持久力9・瞬発力10・体幹力10

精神-魔法力10・撃魔力10・抗魔力7+6・回復力36+12・感知力10・精神力11


錬金ステータス

属性-火属性10・水属性10・風属性10・地属性10・光属性7・闇属性10

分類-武器類20・防具類15・装飾品15・助道具20・撃道具15・素材類16

▽▽▽▽▽

07/07誤字訂正

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