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AIOライト  作者: 栗木下
8章:双肺都市-前編

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428:81-4-S10

【AIOライト 81日目 09:52 (2/6・晴れ) WB3・『?森の洞窟』】


「森の洞窟か。稼ぎどころだな」

 『還元の白枝-3の塔』第六階層。

 そこは凹凸のある木で出来た床と壁に葉の天井からして、森の洞窟で間違いなかった。


「そこは特性次第だと思いますよ。マスター」

「それもそうだな」

 で、俺は早速コンソールにアイテムを捧げて特性の情報を開示する。

 その結果は……特性:プア、アイテムの売却額が下がるマイナス特性であり、下がるに相応しいだけの性能低下も起こす特性である。

 だが今の状況に限って言えば……


「稼ぎどころだな」

「稼ぎどころでしたね」

「ーーーーー」

 敵が弱体化してくれるありがたい特性である。

 と言うわけで、俺たちはWB3・『貧しい森の洞窟』の探索を開始。

 一時間ほどかけてこの階層と次の階層を突破するのに必要な量のアイテムを回収する。

 実に美味しい階層だった。


「敵にも恵まれましたね」

「だな」

 なお、出現したモンスターはプアトード、プアパペット、プアハウンドといった戦闘能力がかなり控えめなモンスターだった。

 これで出現するモンスターにハルキゲニア種やパンプキン種のようなモンスターが含まれていたら苦戦の一つでもしたのだろうが……うん、ここ最近の流れからすると、還元の白枝ではマイナス特性階層で出た本来は強力なモンスターを楽に狩り、別の階層で得た素材の特性を付与することによって有用なアイテムにする、と言う流れを出来ないようにするために、マイナス特性階層では強力なモンスターが出ないか、出辛くなっているのかもな。


「じゃ、次行くか」

「はい、マスター」

 とにもかくにも稼げるだけ稼いだことには変わりないので、第六階層突破である。



----------



【AIOライト 81日目 11:04 (2/6・晴れ) WB3・『?天空の船』】


「スルーしよう」

「ですね」

 『還元の白枝-3の塔』第七階層。

 入っただけでスルーするべきだと理解できる階層だった。

 何故か?

 最初の部屋の時点でそれなりに揺れていて、部屋に付いている窓からは何処までも続く雲海が見えているのだ。

 此処まで来て落下しただけで死に戻りになる天空のに、どう揺れるか分かったものではない船マップの組み合わせなど絶対に探索してはいけない組み合わせである。


「うわっ、要求レア度増えてる」

「大丈夫ですか?」

「予想はしていたから問題ないが……次は出来れば探索しておきたいな」

 第七階層にまで着いたためか、次の階層に移動するために必要なレア度の合計は20になっていた。

 まあ、予想通りではある。

 第六階層で稼いだので、一応、次の階層もスルー可能ではある。

 が、これで第九階層までスルーする事は無理になった。


「とりあえず次に行くか」

「はい」

「ーーー」

 まあ、それでもこの第七階層で稼ぐよりはマシ。

 と言う事で俺たちは次の階層に移動した。



----------



【AIOライト 81日目 11:07 (2/6・晴れ) WB3・『??洞窟』】


「さて次は……」

「洞窟……ではあるみたいですね」

「だな」

 『還元の白枝-3の塔』第八階層。

 そこは床、壁、天井のいずれもが湿り気を帯びた岩で出来ており、苔の類も散見された。

 この条件に見合う物となると湿地のか清流ののどちらかだろう。

 まあ、どちらでも洞窟との組み合わせなら、多少は面倒止まりで済むか。


「特性の方は……っと」

 俺はコンソールを操作して、特性を調べる。

 表示された名称は上位殺しの……特性:キルエルダか。


「特性:キルエルダ?どんな特性なんですか?」

「んー、種族特効系特性の一つで、人より上位とされる存在……天使、悪魔、神の類に対して強い効果を示すようになるみたいだな」

「神……」

 天使、悪魔、神ねぇ……ゲーム内で考えるならエンジェル種やデーモン種が該当する感じだろうな。

 後は……GMにもたぶん有効だろう、邪神だしな。


「どうした?」

「いえ、その……」

 と、そんな事を考えていたら、シアが俺に対して窺うような視線を向けていた。

 なので、どうしたのかと聞いてみたのだが、何故だか顔を逸らし、言いたい事があるけれど言うべきか迷っているようなそぶりを見せる。


「言いたい事があるならはっきり言ってくれて構わないぞ」

「その、それじゃあ言わせてもらいますけど。あの、マスター」

「なんだ?」

「この特性:キルエルダにマスターが引っかかったりなんてことは……」

「あー……」

 特性:キルエルダが俺に引っかかる、か。

 普通に考えれば有り得ない事だが、あのGMだしな。


「リュドミラ関係で神とか呼ばれているし、GMの悪ふざけ次第では対象に入っている可能性は否めないな」

「そう……ですか」

 ああうん、俺がGMの悪ふざけと発言した途端に別次元からGMの呪詛入りの刺すような視線が飛んで来たな。

 となれば特性:キルエルダの対象に俺が入っていると考えて行動した方がいいか。


「マスター?」

「いや、そう言う事なら最悪を想定して、対象に入っていると考えて行動するべきだなと考えていただけだ。だからシアとネクタールもそのつもりで頼む」

「分かりました」

「ーーーーー」

 まあ、幸いにしてリュドミラの発言とGMの悪ふざけと言う誤魔化しが利く案件だからな、俺が特性:キルエルダの対象に入っている点からそちら方面での不信感を持たれる事はないだろう。


「じゃ、探索を始めるぞ」

 そうして俺たちは『上位殺しの?洞窟』の探索を始めた。

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