表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AIOライト  作者: 栗木下
8章:双肺都市-前編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

425/621

425:81-1-S7

本日は二話更新になります。

こちらは一話目です。

【AIOライト 81日目 07:12 (2/6・晴れ) WB3・『抗体作る機械の?』】


「さて、探索開始だな」

「ですね」

 『還元の白枝-3の塔』攻略二日目。

 今日はまず、この第五階層の探索からである。


「構造は……屋敷っぽいな」

「調度品や照明からしてそんな感じですよね」

 俺たちは最初の部屋の外に出る。

 通路は人が三人横に並んで歩いても窮屈さを感じない幅で、通路には開く扉と見た目だけのダミー扉が入り混じっているようだが、複数の扉が見えた。

 どうやら今回のマップの正式名称はWB3・『抗体作る機械の屋敷』と言う事になるらしい。


「まずは普通に探索するぞ」

「はい、マスター」

 そうしてマップの正式名称を確かめると、俺たちは探索を始めた。



----------



【AIOライト 81日目 07:25 (2/6・晴れ) WB3・『抗体作る機械の屋敷』】


「グルルル……」

 探索開始から約十分。

 俺たちは最初のモンスター……巨大な豹に遭遇していた。

 名称はワクチンレオパルドLv.30で、俺の知らないモンスターである。


「グルアァ!」

「おっと」

「『癒しをもたらせ』『大地の恩寵をその身に』」

「ー!」

 ワクチンレオパルドが俺に向かって突っ込んできて、噛み付こうとしてくる。

 なので俺はそれを短剣と斧で防御、更に両手の爪による攻撃もネクタールの槍によって防ぐ。


「グルルルル……」

「……」

 ワクチンレオパルドの力はかなり強い。

 強いが……ピアースミノタウロスやバーンオーガと同程度がいいところか。

 そして特性:ワクチンについても、攻撃的な特性ではないため、こちらが相手の攻撃を防御する場合には実質的に気にする必要が無い特性になっている。

 これならば……普通にやり合えば問題はないか。


「グルア」

 ワクチンレオパルドが次の攻撃の為に俺から離れる。


「グ……ルッ!?」

「すぅ……」

 その瞬間を狙って俺はまず視線に魔力を乗せてワクチンレオパルドに叩き込む。

 が、これは俺の視線による攻撃が状態異常を伴う物と判断されたためか、ワクチンレオパルドの周囲に一瞬オレンジ色のバリアのような物が現れ、それが砕け散るだけで終わる。


「はっ!」

「グルッ!」

 続けて俺は斧を叩き込もうとするが、ワクチンレオパルドの動きが止まっていなかったために俺の動きは掠る程度で終わってしまう。

 なるほど、やはりと言うべきか、防御面においては相応に優秀な特性であるらしい。


「グルアアァァ!」

 ワクチンレオパルドが再び突っ込んでくる。


「『カース』」

 そこにだいぶ久しぶりに使われるシアの『カース』が当たって、ワクチンレオパルドに状態異常:カースが付与される。

 事前情報通り、一度状態異常を防いだら、次の状態異常を防ぐのにある程度のインターバルを置く必要があるらしい。


「ギシャ……ニャアッ!?」

「ふんっ!」

 さて、これでだいたいの情報は集められた。

 そう判断した俺はワクチンレオパルドにわざと一度引っ掻かせて、状態異常:カースによる反射ダメージを与えると、その間に斧を振り上げてワクチンレオパルドの腹に叩き込む。


「ーーーーー!」

「ニャガ!?」

 そこへ更にネクタールがワクチンレオパルドを浮かせ続けるように追撃。


「『ブート』」

「ニャガアアァァ!?」

 最後にシアが『ブート』を放って、ワクチンレオパルドのHPを大きく削って、そのままトドメとなった。


「片付いたな」

「大したことはなかったですね」

「まあ、豹にこんな狭くて隠れる場所が無い場所で戦えって言う方が酷だと思うけどな」

 俺はワクチンレオパルドの身体を剥ぎ取り用ナイフで突く。

 するとワクチンレオパルドの爪と言うアイテムが手に入った。



△△△△△

ワクチンレオパルドの爪

レア度:3

種別:素材

耐久度:100/100

特性:ワクチン(状態異常に対する守りを得る)


ワクチンレオパルドの前足の爪。

とても鋭いと共に丈夫でもあり、木登りなどの際に身体を簡単に支える事が出来る。

▽▽▽▽▽



「酷……何ですか?」

「酷だな。たぶん森とか草原とか、そうでなくとも高所が存在する場所で本領を発揮するタイプのモンスターだと思う」

 俺はワクチンレオパルドの毛皮の模様……黄色地に黒のブチと言うのを思い出しながら、豹と言う生物が現実ではどんな生物だったかを思い出す。

 そして現実での豹を考えるならば……まあ、少なくとも屋敷の狭い通路で本領を発揮できる事はないだろう。


「ま、今回は運が良かったと……」

 いずれにしても狩る側のこちらにとっては好都合。

 そう俺が考え、探索を再開しようとした時だった。


「ウフフフフ……」

「グルルルル……」

 通路の向こう側から二体のモンスターが現れる。

 片方は今倒したのと同じワクチンレオパルドLv.30。

 もう片方は長髪の女性の上半身に蛇の下半身を持ち、最低限の布によって胸を隠したモンスター。

 今はワクチン?Lv.27となっているが……。


「マスター、アレは……」

「ラミアだな。間違いなく」

 うん、此処まで特徴的なモンスターを見誤る事は流石に無い。

 直ぐに名前がワクチンラミアに変わった。

 俺の知る限りでは掲示板でも見掛けた覚えのない敵だ。


「グルアァ!」

「アハハハハッ!」

「来るぞ!」

「はい!」

「ーーー!」

 そうして、ワクチンレオパルドがその身を宙に躍らせ、ワクチンラミアが蛇身をくねらせながら突っ込んでくる事によって、戦闘が始まった。

07/02誤字訂正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ラミア種がソフィアを見たらどんな反応するんだろう?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ