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AIOライト  作者: 栗木下
8章:双肺都市-前編

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424:80-9-S6

【AIOライト 80日目 15:03 (1/6・晴れ) WB3・『?凍土の?』】


「さて、第三階層は……凍土のまでは確定だな」

「明らかに寒いですもんね……」

「ーーー……」

 『還元の白枝-3の塔』第三階層。

 そこは石製の部屋内である事だけでは説明が付かない程に寒かった。

 と言うわけで、凍土の、が付くダンジョンである事は考えるまでもなく確定である。


「まあ、これぐらいの寒さなら行動に支障をきたす事はないだろう」

 他の要素としては……祭壇のような物が見えることからして、神殿あるいは墓場である事までは確定でいいか。

 どちらなのかは部屋の外に出れば、直ぐに分かる事だろう。


「さて、特性は……」

 俺はコンソールを調べると、第二階層で手に入れたアイテムから五つ、適当に捧げることで特性部分の?を解除する。

 そうして表示されたのは……


「愚かな……特性:フールか」

 特性:フール、俺の知る限りでは最大級のマイナス補正がかかるハズレ中のハズレ特性である。

 だが、この状況では非常にありがたいと言えるだろう。


「それってつまり……」

「この階は稼ぎどころと言う事だな。丁度いいから、この階層と次の階層、その両方を突破できるだけのアイテムを集めておこう」

「分かりました。マスター」

 なにせ要求されるのはアイテムの数とレア度であって、アイテムの質や特性ではないのだから。

 簡単にアイテムを集められるのならば、それに越したことはないのである。

 と言うわけで、俺とシアは必要のないアイテムをヘスペリデスに置いてきて、可能な限りインベントリの容量を空けてから探索開始。

 『愚かな凍土の神殿』だと判明したダンジョンで稼げるだけ稼ぐと、第四階層に移動した。

 なお、出現した敵はフールチキン、フールキャタピラ、フールウッドだったが……まあ、戦闘能力についてはお察しである。



----------



【AIOライト 80日目 17:05 (1/6・晴れ) WB3・『?湿地の農場』】


「さて、第四階層だが……」

「スルーでいい気がします」

「シアもそう思うか?」

「そりゃあ思いますって」

 『還元の白枝-3の塔』第四階層。

 ぶっちゃけこの階層については入った直後にスキップでいいかなと感じた。

 と言うのもだ。


「まあ、湿地の農場とか明らかに探索には向かないよな」

 最初の部屋が、一部沼地に沈んでいる農機具小屋だったからである。

 この時点でダンジョンの構造が湿地の農場で確定した。

 で、この湿地の農場をマトモに探索しようと思ったら……ぬかるみに足を取られつつ、何処がスタート地点か分からなくなりそうな広大な土地を探索することになる。

 うん、よほどこちらにとって有用な特性でなければ、探索はしない方が妥当だな。


「あ、そう言えば、マスター。第四階層ですけど掲示板は使えますか?」

「んー、通信関係の機能は使えるみたいだな。一応塔を登っているって言うシチュエーションだからか?」

「そうですか。ならよかったです」

 なお、掲示板やメッセージ機能は使える。

 『防御する天空の農場』との差は……ダンジョンを登っているか、潜っているかの差だろう。

 ケイカの鉱山で使えなくなっていた理由もそんな感じだったしな。


「ま、なんにしてもこの階層はスルーしてしまおう。特性のオープンも無しだ」

「分かりました」

「ーーー」

 俺はコンソールに近づくと、レア度の合計が15になるようにアイテムを捧げる。

 どうやら第四階層からは、次の階層に行くのに必要なレア度の値が少し増すらしい。

 この分だと、第七階層ではレア度の和が20以上とか言われるかもな。


「じゃ、移動するぞ」

「はい、マスター」

 まあ、その事はその時に考えればいい。

 と言うわけで、俺たちは第五階層に移動した。



----------



【AIOライト 80日目 17:07 (1/6・晴れ) WB3・『?機械の?』】


「第五階層は……機械のは確定だな」

「分かり易くていいですね」

 『還元の白枝-3の塔』第五階層。

 その最初の部屋は金属製で近未来風な部屋になっていた。

 この時点で、機械の、と付くダンジョンなのは確定である。


「後は……部屋の内装からじゃ分からないな」

「そうですね。極々普通の部屋と言う感じです」

 部屋の中に特徴的な物品はない。

 あるのはコンソールと階段、それに部屋の外に繋がる扉だけである。


「じゃ、特性を見てみるか」

 俺はコンソールを操作して、特性部分の情報を開示する。


「名称は……抗体作る?えーと、あった。これだな。特性:ワクチンだ」

「特性:ワクチン?」

 抗体作ると言う文章に心当たりが無かった俺は、番茶さんがまとめてくれた情報から該当する特性を探す。

 そして、その効果についても読むと、シアに教えるべく口を開く。


「特性:ワクチン。所謂状態支援と呼ばれる補助系の特性みたいだな。効果としては状態異常を無効化出来るそうで、相手の使う状態異常のレア度と特性:ワクチンのレア度が同じ程度ならまず確実に無効化できるそうだ」

「それってすごく強いんじゃ……」

「ああ、かなり強い。ただ、一度発動するとかなりのインターバルが必要になるとかで、特性:ワクチン一つだけで完璧に状態異常を防げるわけではないらしいな」

「それでも十分ですって」

 シアの思っている通り、特性:ワクチンはかなり強力な特性だ。

 対状態異常に効果は限定され、装備品に付けた場合は一度発動してから再発動するようになるまで相応の時間がかかるという穴はあるが、それを差し引いてもなお強力な特性と言い切れるだろう。


「んー、時間は17:00過ぎ……これはいっそのこと明日一日かけてこの階層を探索。次の階層に移るためのアイテムに加えて、今後使う分まで回収出来るように粘るのがいいかもな」

「そうですね。私もそれでいいと思います」

 持ち帰れるかは分からない。

 が、間違っても回収の機会を見逃していい特性ではないだろう。

 俺はそう判断すると、明日の探索に備えて、今日はもうヘスペリデスで休むことにしたのだった。

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