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AIOライト  作者: 栗木下
8章:双肺都市-前編

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423:80-8-S5

【AIOライト 80日目 14:12 (1/6・晴れ) WB3・『貫通する岩の洞窟』】


「特性:ピアース。耐性値の減算、ですか」

「ああ、武器として使うならそうなる。防具なら逆に対ピアースとして、その効果を発揮させない方向で働くそうだ」

「アイテムとしては?」

「サンプル数が少ないとかで調査中。ただ、状態異常付与の攻撃系アイテムと組み合わせると、普段より状態異常が通り易くなる、なんて話があるらしい」

「なるほど、普通に優秀な特性なんですね」

「そうだな。ある程度は確保しておきたい程度には優秀だ」

 ヘスペリデスを出た俺たちは還元の白枝-3の塔の第二階層である『貫通する岩の洞窟』の探索を再開。

 岩の足場で転ばないように気を付けつつ、採取ポイントでアイテムを採取したり、モンスターを倒してアイテムを剥ぎ取ったりしている。


「とは言え、マスター。流石に鉱石でもない普通の石ころを回収するのはどうかと」

「ん?こっちは次の階層に進むための物だぞ。なにせ次の階層に進むのに、レア度合計10必要だからな」

 で、今は採取ポイントにて貫通する石ころを回収した所である。

 シアは少々呆れているが、レア度はきちんと3であるし、例えコンソールに捧げなくても特性の付与に使うことだって出来る。

 集めておいて損はないだろう。


「もう、レア度の合計は10を超えていると思いますけど?」

「それと、掲示板で番茶さんに未知の特性を敵の攻撃を受けて判断するのは止めた方がいいと言われてな。追加でアイテム五個は用意しておかないといけないと判断した」

「番茶さんから?」

「ああ」

 俺は番茶さんが掲示板に上げてくれた現在判明している特性一覧をシアに見せる。

 その中には注意するべき特性も、こちらにとって有利に働く特性も見受けられるが、言われてみれば確かに受けて判断するのは止めた方がいいと思わざるを得ない特性もあった。


「具体的には……状態異常:パニックの上位互換と言ってもいい状態異常:チャームを与える特性:チャーム。単純に危険な特性:ハイ、特性:ヘイスト、特性:キルヒュマ、特性:クリティカ。それに知っていても判別が難しそうな特性群だな」

「特性ってこんなに有ったんですね……」

 現在『AIOライト』で確認されている特性は100種類ほど。

 その中でも俺が拙いと感じたのは10種類ほど。

 つまり、単純な計算ではあるが、おおよそ10分の1の確率で漢探知で探るべきでない特性に当たる可能性があるという事であり、未知の特性も含めれば、その確率はもっと上昇するだろう。

 そう考えたら……まあ、次の階層からは事前に知っておこうと判断するのは、至極真っ当な考えだと思う。


「納得してもらえたか?」

「そうですね。これなら、集められる間に突破や情報開示に必要なアイテムは集めておいた方がいいと思います」

 そんなわけで、石ころ一つであっても馬鹿に出来ないというのが、実は俺たちの現状だったりする。


「ペン、ペン」

「クワックワッ」

「と、モンスターか」

「そうみたいですね」

 俺は俺たちに近づいてくるモンスターの鳴き声を足音を聞き取ると武器を構える。


「グワッ!」

 現れたのは三羽のピアースペンギン、レベルは高いものから順に31、29、27。

 身長1メートルちょっとほどのペンギンの姿を持ったモンスターであり、魚のヒレのような黒い翼と嘴は現実に居るそれのものよりも硬く鋭いものとなっている。

 見た目こそ愛らしいものではあるが、当然油断ならない相手である。


「「「グワー!」」」

「来るぞっ!シア!」

 ピアースペンギンたちが岩の足場の上を、まるで氷の上を滑るかのように、腹這いになって突っ込んでくる。

 加えて、両の翼に冷気を纏うと同時に、鋭さをまるで刃物か何かのようなレベルにまで高めてくる。

 普通ならばただ防御して止めればいいが、特性:ピアースの効果を考えたら、出来る限り受け止めるという行為は控えるべきだろう。


「『カースウッドキング・フォースハウル』!」

「「「!?」」」

 だからまずはシアの『カースウッドキング・フォースハウル』によってダメージを与えつつ、突進の勢いを殺す。


「ふんっ!」

「グワッ!?」

 そして『カースウッドキング・フォースハウル』の効果切れで根が消えると共に突っ込んでまずは斧で一撃。


「ーーーーー!」

「ガッ、ガッ!?」

 さらにネクタールが追撃。


「うおらっ!」

「ペギャ!?」

 最後に返しの斧でHPバーを大きく削りつつ、吹き飛ばす。


「ペギャー!」

「グワー!」

「おっと……くっ」

 で、吹き飛ばしたのとは別の二体の攻撃を短剣とネクタールの槍で受ける。

 ピアースペンギンの翼による攻撃は……ただの物理攻撃じゃないな。

 刺すような冷気が伝わってくる所からして、水属性混じりの攻撃のようだ。

 受けたダメージは二体合わせて俺の最大HPの10%以下、これならば問題はないか。


「とっとと片付けるぞ!」

「はい、マスター!」

「「「グワー!」」」

 その後ほどなくして俺たち三人の攻撃によってピアースペンギンたちは倒れ、この戦闘の剥ぎ取りで先の採取と合わせて十分な量のアイテムを回収した俺たちは第二階層から第三階層に移動した。

06/30誤字訂正

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