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AIOライト  作者: 栗木下
8章:双肺都市-前編

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420/621

420:80-5-S3

【AIOライト 80日目 12:15 (1/6・晴れ) WB3・『???』】


「なるほど、全員が移動し終わったら、こんな感じに消えてなくなるのか」

「不思議ですね」

「だな」

 『還元の白枝-3の塔』第二階層。

 俺とシアが第一階層から移動するのに使った階段は、俺の後ろに居たシアが登り切ると同時に消失、今はもう岩製のごつごつとした床があるだけである。


「で、最初の部屋には第一階層と同じように、次の階層への階段とコンソールが置かれている、と」

「そこが変わらないのは、こういう形式が初めてだから、ですかね?」

「まあ、そう見るのが妥当だろうな」

 部屋の中には階段とコンソール、それに別の部屋か通路に繋がっているであろう木製の見るからにボロそうな扉があるだけである。

 で、次の階層に移動するための条件は……レア度の和が10以上で変わらずか。


「マップは……岩の洞窟、ですよね」

「そうだな。そこまでは確定でいい」

 俺は天井を見る。

 するとそこにはかなり短いが、鍾乳石のような物が見えている。

 これならば岩の洞窟までは確定させていいだろう。


「特性は……まあ、戦ってみて判別するしかなさそうだな」

「そうですね。慎重に行きましょう」

 特性については第一階層と同じで、地形に分かり易い影響を与えてくれるようなものではないらしい。

 少なくとも、俺の目では変化らしい変化は見つけられない。


「じゃ、昼飯を食べてから探索を始めるか」

「はい、マスター」

 とりあえず時間も丁度いいという事で、昼食として俺はシアにバーンクラブパイを作ってもらい、腹いっぱいになるまでそれを食べた。

 うん、分厚い上にぎっしりとしたカニの身の旨味が口の中に広がって実に素晴らしい料理だった。

 これならば、この階層も突破できそうだ。

 なお、まだ掲示板は使えるようなので、これまでの攻略についてはグランギニョルが立ててくれた専用スレに書き込んである。

 スレの内容からすると、グランギニョルとシュヴァリエの二人は1の塔を攻略中であるらしい。

 どちらの攻略も無事に成功したならば、是非とも情報交換はしたいところである。



----------



【AIOライト 80日目 13:02 (1/6・晴れ) WB3・『?岩の洞窟』】


「さて……」

 昼食後。

 俺たちは最初の部屋から外に出る。

 で、様子を窺って見るが……やはり目立った変化と言うか特徴は見られない。

 これはやはり戦闘で判別をするしかなさそうである。


「ブモッ、ブモッ」

 そうして歩いていると、俺たちの前に巨大な斧を両手で持った、身長2メートルちょっとの牛頭の大男が俺たちの前に現れる。


「ブモッ……」

「新顔だな」

「ミノタウロス……と言う奴でしょうか?」

「だろうな」

 俺が知らないだけの可能性が高そうだが、掲示板でも見た事が無いモンスターである。

 だが、牛の頭と人の身体を持つモンスターなどミノタウロス以外には居ないだろうし、現に名前も?ミノタウロスLv.28になっている。


「ブモオオォォ!」

「マスター」

「分かってる」

 ?ミノタウロスが第一階層で出会ったバーンオーガを思わせるような挙動で俺たちに向かって突っ込んでくる。

 なので俺たちも似たような流れで、けれど最初の一撃を弾くのではなく、受け止めるという変化を持たせつつ、第一階層と同じように動く。

 その結果。


「ブモウッ!」

「ぐっ!?」

「マスター!?」

 完全に防いだはずの?ミノタウロスの攻撃が、直撃するよりは少なく、けれど防ぐ事に成功したにしては大き過ぎるダメージを俺に与えて来て、俺のHPを15%ほど持っていく。


「ブモウッ!」

「二度は喰らうか!」

 俺は咄嗟に視線で?ミノタウロスの動きを阻害しつつ、横に跳ぶことで次の攻撃を回避する。

 そして?ミノタウロスの隙を突く形でネクタールと共に攻撃も行う。


「ブモッ……」

「手ごたえは悪くないが……生命力と回復力がかなり高いな」

「ーーー……」

 ?ミノタウロスに与えたダメージは最大HPの10%ほど。

 手応えからして防御力が高くないし、こちらの攻撃を阻害するような特性も持っていない。

 だが、生命力と回復力がかなり高いようで、既に俺のHPと同じように?ミノタウロスのHPも自然回復を始めている。

 しかしこの回復速度は特性ではなく、ミノタウロス種独自の能力と見るべきだろう。

 それよりは、先程の確かな防御をしたのに不完全な防御にさせられた方が特性の感じがする。


「まるでマスターのようですね。『ブート』!」

「ブモッ!?」

「まあ、否定はしない」

「ブモモッ!?」

 いずれにしても今回の特性は攻撃系。

 となれば、特性の正体こそ掴めないが、一気に攻めきってしまうのが正解。

 俺たちはそう考えると、複数方向から一気に攻めかかり、?ミノタウロスのHPを削り取っていく。


「ブモウッ!ブモーウ!」

「……」

 勿論反撃は受ける。

 が、?ミノタウロスの火力からして、完全な直撃さえしなければ俺のHPが危険域に陥る事はない。

 そう判断した俺は時々ワザと防御を緩めて受けてみたりもする。


「防御行動を何割か減算している感じか?ま、とりあえずこれでトドメだな」

「ブモーウ……」

「お疲れ様です。マスター」

 で、そうやって受けてみた結論としては、防御によって減らせるダメージの量を少なくしているのではないか、と言う物だった。

 うーん、効果は分かったが、俺の知識量の問題で名称が分からない特性が来てしまったな。

 こういう時には一体どうやって当てればいいのやらである。

 剥ぎ取りに一縷の望みを託してもみたが、取れたアイテムの名称は?ミノタウロスの皮で、そんな楽は許してくれないようだった。



△△△△△

?ミノタウロスの皮

レア度:3

種別:素材

耐久度:100/100

特性:?(???)


未識別状態のため、詳細は不明。

▽▽▽▽▽



 全くもって厄介な仕様である。

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