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AIOライト  作者: 栗木下
8章:双肺都市-前編

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419:80-4-S2

【AIOライト 80日目 10:02 (1/6・晴れ) WB3・『?常闇の?』】


「それでマスター、どうしますか?」

「勿論探索する。次の階層に進んだら、前の階層に戻れないという仕様上、序盤からスキップをするのはちょっと思う所があるしな。事前情報については……まあ、一先ずは情報なしでやってみよう」

「分かりました。マスター」

「ーーーーー」

 俺は暗闇の中から別の場所に繋がる扉を見つけると、その扉をゆっくりと開けて移動する。


「さて……」

 で、扉の外に移動した俺はニフテリザで周囲を照らして、その様子や地形を確認してみる。

 扉の外は……まず足元は石畳で、壁も石製。

 天井は相変わらず見えないが、僅かにだが風のような物を感じる。

 そして、俺たちが出て来た側の壁から向かいの壁までは5メートルほどあり、横方向にはどこまでも続いていると共に、細い路地のような物が微かにだが見えている。

 うん、予想を持って見れば間違い様がないな。

 俺たちが出てきたのは高い石製の壁に囲われただけの場所だった、今居るのは大通り、そして向かいの壁は建物の壁。

 つまり……


「ここが常闇の街である事までは確定でいいみたいだな」

「そうですね。音楽も変わりました」

 このマップの名称は『?常闇の街』である事までは確定である。

 そして、俺の考えが正しい事を示すように、極々小さな音量で流し続けてあるBGMにも、街の明るさと人が居ない寂しさを両立させたようなメロディが追加される。


「後は特性だが……よっ」

 俺は足元の石畳を数か所で軽く叩いてみる。

 が、何処も特に妙な反応は見受けられなかった。


「えーと、マスター何を?」

「いや、地形に影響を及ぼすタイプの特性なら何かしらの影響が出ていると思ってな。まあ、外れだったみたいだが」

 どうやらこのマップの特性はフラジルやアキュートと言ったものではないらしい。

 他にも候補から外せる特性は色々とあるが……まあ、数が多すぎるし、候補から外すのならば挙げる意味はないか。


「それと、こうして音を出す事によってモンスターを呼び寄せようと思った。と言うのもあるな」

「フグルアアァァ……」

「ああ、なるほど。確かに釣られたのが居ますね」

 暗闇の中から石畳の上を歩く音と共に一体のモンスターが現れる。

 2メートルちょっとの身長に、石製のこん棒とそれなりの防具、赤銅色の肌に二本の角。

 名前は??Lv.30になっているが間違いない、オーガ種……あ、名前の表示も?オーガLv.30に変わった。

 細かいなGM。


「やるぞ」

「はい、マスター」

「グルアアァァ!」

 ?オーガが俺たちに向かって武器を振りかぶりながら突っ込んでくる。

 対する俺は数日ぶりに真剣に戦うべき相手だと相手の事を認識しつつ武器を構える。

 それから……


「ははっ」

 己を鼓舞するように笑いつつ、特性:バーサークを発動。

 全身から血のように赤黒いバーサークのオーラを噴き上げると共に眼球に魔力を集める。


「『癒しをもたらせ』『大地の恩寵をその身に』」

「ーーーーー!」

 シアの魔法が俺を強化すると共に、ネクタールのヘイト操作によって?オーガと、もしかしたら周囲に潜んでいるかもしれないモンスターの注意が俺以外に向かないようにする。


「ガアアァァ……ッ!?」

 俺は?オーガが棍棒を振り下ろそうとしたタイミングで視線に魔力を乗せて放ち、?オーガの動きを一瞬ではあるが止める。


「ふんっ!」

「フゴッ!?」

 そして動きが止まった一瞬を狙うように左手の短剣を振るって?オーガの棍棒を弾く。


「せいっ!」

「ガギャ!?」

 そこから弾いた勢いのまま、右手の斧を?オーガの顔面に叩き込んでやる。

 すると、?オーガは紅い光を放ちつつ、たたらを踏んで数歩分後退する。


「グ……グルアアァァ!」

「むっ……」

 逆上した?オーガが棍棒を横に振るってくる。

 なので俺はネクタールの槍と自身の短剣を合わせることで、?オーガの攻撃を真正面から受け止める。

 そこで感じたのはまるで炎のような熱量。

 そして、俺の認識が正しい事を示すように、腕に微かな違和感を覚えると共に、状態異常:バーンの表示が一瞬だけ現れる。


「なるほどな」

 これはオーガ種の能力ではない。

 オーガ種は直接的な殴打が殆どで、魔法を使う個体も極稀に居るが、それならばもっと分かりやすい形で発現する。

 つまりこれは特性によるもの。

 そして火傷と言う事は特性:ファイアあるいは特性:バーンだが、特性:ファイアならば棍棒に直接炎を纏うはずである。

 つまり、このマップ、それから目の前の?オーガの特性は……


「お前はバーンオーガか」

 状態異常:バーンに関する特性、特性:バーンで確定である。


「グガッ!?」

「ははっ」

 BGMが変わると共に、何故かバーンオーガか少しだけ怯んだ様子を見せる。

 だから俺はその隙を逃さずに接近。


「逃げるなよ」

「ーーー!」

「『ブート』!」

「グギガッ……!?」

 シアとネクタールの攻撃に合せるように一気に攻撃を叩き込み、バーンオーガのHPを一気に削り取る。


「トドメだ」

「ガギッ……」

 そうして難なくバーンオーガは倒れ、俺は剥ぎ取りの結果としてバーンオーガの頭骨を得たのだった。



△△△△△

バーンオーガの頭骨

レア度:3

種別:素材

耐久度:100/100

特性:バーン(熱による手傷を与える)


バーンオーガの頭骨。

牙と骨が完全に残った状態のそれは、見る者全てを威圧する。

▽▽▽▽▽



「この分なら……このまま探索で必要なアイテムを回収する方向でいいな」

「そうですね」

 で、その後俺たちはWB3・『火傷招く常闇の街』と確定したマップを探索。

 バーンリザードやバーンクラブと時折戦いつつも、特に問題なく第一階層を突破するために必要な量以上のアイテムを回収して、第二階層に移動したのだった。

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