表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AIOライト  作者: 栗木下
8章:双肺都市-前編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

416/621

416:80-1

本日は二話更新になります。

こちらは二話目です。

【AIOライト 80日目 07:22 (1/6・晴れ) 還元街・サハイ】


「さて、それじゃあ今日からはどうしましょうか?」

「どうするもこうするもPTは解散。今日からは各自で行動だろう」

「まあ、それはそうなんだけど、行く方向が一緒なら、行動を共にするのも手でしょう」

 翌朝。

 ヘスペリデスを出て、錬金術師(アルケミスト)ギルド・サハイ支部のメインの部屋とでも言うべき場所に戻ってきた俺たちは一応集まると、今日の方針についてそれぞれ話す事になった。


「とりあえず私とシュヴァリエは一緒に街中の探索をする予定よ。塔の方も、幾つか見てみるつもり」

「よろしくね。ギニョール」

 まずグランギニョルとシュヴァリエの二人はサハイの中の探索。

 塔は……周囲より危険な気配がするというのは昨日の内に伝えてあるし、まあ、行く行かないは二人が決めることだな。


「自分とミストアイランドさんも組んで行動する予定です。まずは……地下通路と外周部、それにサハイ周辺の地形の探索でいいのかな?」

「はい、そう言う事でお願いしますね。ロラ助さん」

 ロラ助とミストアイランドさんも組んで行動。

 まあ、二人とも実力は相応にあるし、ワンダリングモンスターに出会いさえしなければ、特に問題はないだろう。


「レティクルさんは……」

「……」

 レティクルさんは単独行動をするつもりであるらしく、右手を軽く上げて俺たちに挨拶のような物をすると、そのままサハイ支部の外に出ていく。

 うーん、相変わらずの仕事人っぷり。

 まあ、彼については一切の心配はいらないだろう。

 恐らくだが、逃げるだけならばワンダリングモンスター相手でも逃げ切って見せるはずだ。


「で、ゾッタ兄は?」

「んー、シアとネクタールと一緒に、適当にサハイの中を調べてみる。何処に還元の白枝の手がかりがあるかも分からないしな」

「分かりました。マスター」

「ーーーーー」

 俺については……正直な話、出た所勝負だ。

 何処に還元の白枝の手掛かりがあるか分からないというのもあるが、この目の事だしな、それこそ街から遠く離れた場所にあるはずの、還元の白枝そのものを見つけかねない。

 尤も、あのGMならば還元の白枝自体を見つけた所で、使い方が分からなければ利用は出来ないような仕掛けぐらいは組んでいるだろうが。

 いずれにしても、単独行動の方が何かと都合はいいだろう。


「分かったわ。それじゃあ改めて解散。各自健闘する事にしましょう」

 そうしてこのグランギニョルの言葉を最後に、俺たちはサハイ支部を準備が整った順に後にしたのだった。



----------



【AIOライト 80日目 08:01 (1/6・晴れ) 還元街・サハイ】


「さて……」

 解散後。

 俺たちはサハイ支部に最も近い階段から地上に上がると、適当な建物の屋上に上った。

 そして、プレンクロウのような鳥型のモンスターに気付かれないように注意を払いつつ、周囲の様子を観察し始める。


「カーカー」

 久しぶりに差した日の光が雪で反射して、サハイの街並みはまるで全体が自ら光を発し、輝いているかのようだった。

 そんな街の中をだいたい昨日と同じ面子のモンスターたちが歩き回り、プレイヤーである俺たちを探している。


「何か見えましたか?マスター」

「そうだな……」

 サハイの街中で特に注目するに値するランドマークは、やはり危険な雰囲気を漂わせている塔か。

 その数は全部で10、雪国らしく先端は尖っており、石造りなのもあってかなり物々しい雰囲気を醸し出している。

 それ以外で注目するべき点と言えば……街の所々に刻まれた、地下通路がある場所よりも更に深くにまで到達するクレバス。

 後、注目するべき物はサハイの街の南側にある見るからに険しそうな白い山脈もか。

 この場から見る限りではあるが、ケイカと違って山脈と街を分ける壁の類は見えない。

 アレならば絶対に対策が必要であろう雪の山々を抜ける方法さえあるならば、ドウの地の中心部に行けそうな気がしなくともない。

 他は……特に引っかかるものはないな。


「なるほど。塔、クレバス、それに雪山ですか」

「まあ、雪山については今の装備で挑むのは明らかに自殺行為だけどな」

 で、その事をシアに話したところ、シアは真剣な表情で頷き、何かを考えているようだった。

 なお、雪山については現状の装備で挑むのは本当に自殺行為である。

 以前に凍土系の自動生成ダンジョンに挑んだこともあったが、どうやら寒さと暑さには一定のライン以上になると相応の対策を施さなければペナルティを受けるという仕様があるらしい。

 そしてサハイについてはそのペナルティの対象外のレベルだが……まあ、ほぼ間違いなくサハイ南の山脈、それにドウの地・北の雪原はある程度進んだら、そのペナルティがかかるレベルで寒さが厳しくなるだろう。

 つまり、この先に進むためには寒さ対策がどうあっても必要になるという事である。


「とりあえず塔を調べてみるか」

「危険だと言っていたのはマスターでは?」

「まあな。だが他に調べる価値がありそうな物が見当たらない」

「分かりました。マスター」

 俺はシアを連れて建物の屋上から降りると、ネクタールで身を隠しながら一番手近な場所に見えた塔に向かって雪の街並みを歩きはじめた。

 それにしても此処まで繋がりの類が見えないとなると……これは還元の白枝がレア度:PMに関わらないか、イベントに関係するアイテムについてはGMがロックをかけてきたのかもしれないな。

 まあ、あのGMの性格からして前者の方が可能性は高そうだが。

06/25誤字訂正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ