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AIOライト  作者: 栗木下
8章:双肺都市-前編

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406/621

406:75-1

本日は二話更新になります。

こちらは一話目です。

【AIOライト 75日目 08:22 (4/6・雨) ドウの地・北西の森】


 遠征三日目。

 俺たちは昨日と変わらず、森の中の探索をする。

 とは言え、流石にこれだけの期間同じメンバーで行動し、更に昨日一日の経験もあってか、今日の探索の比較的スムーズに進んでいる。

 だからと言って何かが発見できるとは限らないのが悩ましいところだが……そこはまあ、何かが見つかることを祈るしかないな。

 ちなみに、色々と策を練ってきたおかげか、現時点で既に前回の探索よりも奥地に進む事は出来ているらしい。


「ん?」

「見られてるな」

「敵です。数は3」

 と、ここでレティクルさん、俺、ミストアイランドさんがモンスターの存在に気付く。

 なので俺は即座に全員を隠すようにネクタールを展開。

 敵の目から逃れようとする。


「キュー」

「コーン」

「ぐまー」

 森の奥から現れたのは?

 プレンバルブが二体に、大型の熊型モンスターが一体。

 掲示板情報と俺の記憶が確かなら、熊型の方はプレンベアだろう。


「さて、誤魔化せるかしらね?」

 プレンバルブたちはゆっくりと、けれど確実にこちらの方に近づいてきている。

 グランギニョルとしては出来れば戦いたくないようだが……これは無理そうだな。


「……」

「ーーー……、……」

「「「……」」」

 と言うわけで、俺はグランギニョルに気付かれているとハンドサインで合図を出し、それを受けたグランギニョルは全員に戦闘態勢に入るように指示を出す。

 そして、指示に従って俺たちはそれぞれに得物を構える。


「ぐ……」

 プレンベアがネクタールの前で二足歩行に切り替え、片腕を振り上げようとした。

 ああ、これはもう完璧にバレているな。

 が、何も問題ない。


「戦闘開始っ!」

「せいやっ!」

「おらぁ!」

「はっ!」

「行きます!」

「……」

「『ブート』」

「「「ーーーーー!」」」

「グマー!?」

 グランギニョルの合図と同時に俺はネクタールを普段のサイズにする。

 それと同時に全員でプレンベアに向かって一斉攻撃。

 シュヴァリエとヴィオの一撃を皮切りとして次々に攻撃が放たれ、プレンベアLv.25のHPはあっという間に削れていき、そのまま底を突く。

 一撃を振るう事すら許さない圧倒的火力による蹂躙である。


「キュコーン!」

「おっと!」

 そこから俺たちは二手に分かれ、俺、シア、ネクタールにロラ助とロラ助のホムンクルスたちでプレンバルブの片方のヘイトを集めて足止めする。


「キュッコーン!」

「『癒しをもたらせ』!」

 バルブ種には攻撃を受けると状態異常:スリープを付与する花粉をバラ撒く性質があるが、シアの『癒しをもたらせ』によって回復力が高まった俺にとっては大して問題が無いどころか、多少の被弾ならば即座に無かった事に出来る状態異常でしかない。


「他のが寄って来る前に遠距離主体でとっとと終わらせるわよ!」

「「「……」」」

「キュイー!」

「キュコーン!?」

 グランギニョルたちが相手にしているプレンバルブはもっと悲惨で、精神系状態異常など無縁でしかない非生物系ホムンクルスであるアブサディットたちに囲まれてマトモに身動きが出来ない中、花粉の範囲外から魔法とレティクルさんの攻撃が次々に飛んで行っている。


「キュコーン……」

「さあ、ゾッタ兄に加勢するわよ」

「そうだな。後はよろしく頼む。ふんっ」

「キュゴ!?」

 で、一体目のプレンバルブは呆気なく終わった。

 そして二体目のプレンバルブも視線に魔力を乗せて叩き込む事で、一瞬だけ動きを止めてやったところにグランギニョルたちの攻撃が殺到。

 呆気なく倒れた。


「よし、手早く剥ぎ取って離脱するわよ」

「「「了解」」」

 その後、俺はプレンベアからプレンベアの毛皮を、プレンバルブたちからはプレンバルブの蔓を回収。

 戦闘の音に惹かれてやってきた他のモンスターたちに見つからないように、俺たちはその場を後にした。



----------



【AIOライト 75日目 14:55 (4/6・雨) ドウの地・北西の森】


「しかし、やっぱりと言うべきか、ワンダリング以外のモンスターはそこまで気にしなくても大丈夫そうだな」

「そうね。よほどの数が来ない限りは今更扱いでいいと思うわ」

 昼食を挟んでもまだまだ探索は続く。

 今は丁度、薄暗い森の中であるお陰で昼間であるにも関わらず出てこれたプレンゾンビたちを一蹴した所である。


「しかしそうなると……グランギニョル、お前たちは前回やられたプレンブロッサムLv.50はやっぱり相当みたいだな」

「そうね。あれだけは明らかに別格だったわ」

 プレンゾンビたちから剥ぎ取りをしつつ発せられた俺の言葉にグランギニョルは若干渋い顔をする。

 どうやら軽いトラウマであるらしい。


【ゾッタの戦闘レベルが30に上昇した。戦闘ステータスの中から上げたい項目を一つ選んでください】

「検証班では前々から話題に上がっている事ではありますが、どうにも『AIOライト』ではレベルによる補正がかなりかかっているようなのです。ワンダリングモンスターが特に強いと感じるのは、主にこの仕様が原因かと」

「強いモンスターはより強く、弱いモンスターはより弱く感じる、か。まあ、言われてみれば思い当たる節は有るか」

 と、此処で遂に俺の戦闘レベルが30に上昇した。

 これで俺もレア度:4の装備を自分で使えるようになるな。

 なお、剥ぎ取りの方はプレンゾンビの骨ばかり、ステータス上昇の方はいつも通りに回復力に振っておく。



△△△△△

ゾッタ レベル30/34


戦闘ステータス

肉体-生命力20・攻撃力10・防御力10+3・持久力9・瞬発力10・体幹力10

精神-魔法力10・撃魔力10・抗魔力7+6・回復力35+15・感知力10・精神力11


錬金ステータス

属性-火属性10・水属性10・風属性10・地属性10・光属性7・闇属性10

分類-武器類20・防具類15・装飾品15・助道具19・撃道具15・素材類15

▽▽▽▽▽



「レベルを上げて物理で殴れ。何と言うか多くのRPGの真理は『AIOライト』でも割と当てはまるのよねぇ」

「ま、まあ、レベル差をひっくり返せるようなレア度:PMは誰でも作れるわけじゃありませんから」

「……」

「でもシンプルで分かり易いです。ね、マスター」

「ん、うん、まあ、そうだな」

 この話題は……今後は避けておいた方がいいか。

 なんか妙な空気になっているし、変な未来に繋がりそうな感じがあるからな。


 で、そんな俺の感覚が単なる勘違いである事を示すかのように、この日の探索も何事もなく終わってしまった。

06/17誤字訂正

06/18誤字訂正

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