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AIOライト  作者: 栗木下
4章:左角山
194/621

194:39-4

【AIOライト 39日目 13:22 (4/6・晴れ) 始まりの街・ヒタイ】


「さて、これで準備も整ったな」

 今回使う素材は四つ。

 シアの付けていたプレンウッドリング、先程入手した不死殺しのエメラルド、『防御力溢れる清流の船』で入手していたガードスキュラの髪、以前入手した砂金二つを今携帯錬金炉で一つにして作った回復力溢れる金の鋳塊である。


「マスターお気をつけて」

「ばっちり撮るでー」

 準備については、俺自身に関してはいつものようにシアの作った料理を食べ、魔法を掛けて、回復力を可能な限り強化してある。

 シアとボンピュクスさんの二人については、部屋の端の方に移動させた上で、出来る限り頑丈な大盾を二人の前に置いてもらっている。

 これで後は俺とネクタールでしっかりと引き付けておけば、二人の安全は確保されるだろう。


「……。じゃ、始めるぞ」

 俺は一度瞑目し、呼吸を整え、気合を入れてから、四つの素材を携帯錬金炉の中に入れる。


「ふんっ!」

 そして、携帯錬金炉の中に左腕を突き入れ、魔力を注ぎ込み始める。

 当然、魔力の注ぎ込みに比例して携帯錬金炉の中身は高熱を帯び、沸騰し、蒸気を上げ始めるが……いつもの事だ。

 今更気にする事ではない。


「錬金術師ゾッタの名において告げる」

 やがて十分な量の魔力を注ぎ込めたところで俺は言葉を紡ぎ始める。


「平凡なる樹の指輪、迷い子の導となりし翠玉、死してなお守護の力を秘める蛸狼女の髪、生命の輝き示す黄金。四つの異なる流れをその身に宿す者たちよ」

 ネクタールが何が起きてもいいように身構え始める。

 シアも真剣な表情で、何時でも俺の援護に入れるように構えている。

 ボンピュクスさんは……俺の位置からでは見えないな。


「翠玉点となり、樹の指輪円となり、紡がれるは万人が望めど成れぬ在るべき道、万人が拒絶せども不意に愛さずにはいられぬ道」

 携帯錬金炉の中で変化が生じる。

 液が渦を正円を描くように巻き始め、金と黒の光の粒子が少しずつ溢れ出し始める。


「守護の黒が招くは不幸。されどそれは伝承の根源が負いし悲劇ではなく、生を謳歌するが為の不幸。真なる不幸は黒の持ち主が連鎖を断つ事を望んだために至らぬ」

 渦に黒い光が混じり、円を乱すように波を起こし、複雑な流れを生み始める。


「生命の金が招くは幸運。されどそれは凋落待つ栄華にあらず、真に生命が尊ぶべき細やかなれど得がたき幸福。在り続ける真なる幸せに至るもの」

 渦に金色の光が混じり、円を乱すように起きていた波が少しだけ収まる。


「黒と金、禍福、二重の線と点は螺旋描き、重なり、交わり、共に行きては離れ、在るべき道に波起こし、乱し、されど壊しはせず、失いもせず、導へ至る道は在り続ける」

 やがて携帯錬金炉から金色の光と黒の光が何本も渦を巻くように発せられる。

 黒の光に触れる度に俺のHPは減り、金色の光に触れる度に俺のHPは増える。

 だから俺はネクタールに命じて、線状になった黒い光を受け止めさせ、シアたちの下に到達しないようにする。


「それは命の在るべき姿。禍福の二重螺旋。連綿と紡がれる生命の歌。輪の中で波打てど、輪の終わりに必ず行き着く事が出来るという祝福にして呪い。運命に轡填める叡智と傲慢の玉石にして屑石。求む者には求められず、求めぬ者に与えられるべきもの」

 俺のHPが激しく乱高下する。

 それに合わせるように俺の中に在る何かが激しく波打ち、泡立ち、震え、不快感を与える。

 これ以上先に進んでははならぬと言うように。

 だからこそ俺はその不快感を無視して言葉を紡ぎ続ける。


「認めよ。改めよ。従えよ。静まれ。鎮まれ。調べ調和させ形を成せ。二重螺旋紡ぎ作られし環を内に秘め、付けし者に変化と平穏を与えし翠玉の指輪として再び生まれいづれ」

 携帯錬金炉の中で生み出されつつあるそれに形と名前を与える為に。

 最も愛おしき者に、それを望めども得られぬ者に別の道がある事を示す為に。


「汝が名は……」

 俺は携帯錬金炉の中から黒い光と金色の光を帯びたそれを取りだすと、握りしめた状態で顔の前にまで持ってくる。


「ミアゾーイ」

 そして手を開きながら名を授ける。


「誠に尊ぶべきものを秘めしものである」

 光が収まった時。

 俺の手の中に在ったのは、大きめのエメラルドが填まっている以外に取り立ててみるところのなさそうな金色の指輪。

 だが一度でも手に取れば分かるだろう。

 この指輪には人によっては万金どころか世界ですらも天秤の対としては軽すぎるほどのものが秘められていると。


「シア」

「あ、はい」

「これはお前のだ。まあ、好きにしてくれ」

「あ、ありがとうございます」

 そして俺はミアゾーイをシアに渡した。

 これはシアが持つべき物なのだから。



△△△△△

ミアゾーイ

レア度:PM

種別:装飾品-指輪

耐久度:100/100

特性:リジェネ(回復力を強化する)

   ガード(防御力を強化する)

   キルデッド(不死者に対して強い力を持つ)


それはCommonではなくSoleである。

エメラルドの填められた金色の指輪。

その価値は所有者によって大きく変わるだろう。

回復力+1

撃魔力+2

状態異常耐性:戦闘不能・イモータル・ハイド・デコイ

▽▽▽▽▽


【ゾッタの錬金レベルが23に上昇した。錬金ステータスの中から上げたい項目を一つ選んでください】


△△△△△

ゾッタ レベル17/23


戦闘ステータス

肉体-生命力20・攻撃力10・防御力10+2・持久力9・瞬発力10・体幹力10

精神-魔法力10・撃魔力10・抗魔力7・回復力22+6+2・感知力10・精神力11


錬金ステータス

属性-火属性10・水属性10・風属性10・地属性10+6・光属性7・闇属性10

分類-武器類15・防具類15・装飾品15・助道具15・撃道具13・素材類15

▽▽▽▽▽

少し深く考えると恐ろしいものが出来ました


11/30誤字訂正

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