188:38-5-D4
【AIOライト 38日目 12:27 (5/6・晴れ) 『不死殺しの火山の屋敷』】
『eAtgono renk1ntoha sYokugono undo-Canya/』
「もぎゅもぎゅっと」
『不死殺しの火山の屋敷』の第一階層の探索を終えた俺、シア、ネクタールの三人は第二階層に移動。
安全圏となっている階段を降りた直後の部屋で、シアが作った昼食……キルデッドバードパイを食べていた。
味?勿論いいに決まっている。
おまけにアンデッド特攻と回復力の強化が付くのだから、言う事なしである。
「マスター、食べながら喋るのは流石にどうかと思いますよ。錬金しながら食べるのも正直どうかと思いますけど」
勿論、食事だけをしているのも時間がもったいないと言う事で、俺は携帯錬金炉を使ってインベントリのアイテムを錬金、圧縮している。
具体的に言えば鉱石二つを錬金して鋳塊……インゴットに変えている。
不死殺しの銅鉱石二つは不死殺しの銅の鋳塊、不死殺しの鉄鉱石二つは不死殺しの鉄の鋳塊と言う感じにだ。
勿論、不死殺しの銀鉱石も第一階層探索中に二個目を見つけたので、不死殺しの銀の鋳塊に変えてある。
『AghapoiSon2 hAnnoushuLu dAkarasyokkini usesAleta』
「もぎゅ……すまん、シア」
「もう……」
なお、俺はインベントリ圧縮の為に錬金をしているのだが、鋳塊の売却が鉱石二個の売却額とイコールで結ばれるとは限らなかったりする。
と言うのも、掲示板情報によればギルドショップでの売却は出来、『AIOライト』全体での流通量、目には見えない何かなどの諸々が加味されて額が決定されるらしい。
そのため、錬金がとても上手くいったアイテムであれば鉱石二個よりも高く売れることになるが、逆に錬金が上手くいかないと鉱石二個を売るよりも安くなってしまう事があるそうだ。
それでも鉱石一個の値段を下回る事はまず無いので、このインベントリ圧縮行為にはそれなりの意味はあるのだが……うーん、上手くいっていると良いな。
元の金額が分からないから、上手くいったかの判断は難しいが。
「それでマスター、午後は第二階層の探索をする。で、いいんですよね」
「ああ、それで問題ない。第一階層にはもう採取ポイントは残ってないはずだからな」
さて、インベントリの圧縮が終われば、その後は第二階層の探索である。
今日の目的は金策。
言い換えれば可能な限り多くのアイテムを持ち帰ることが目的なので、採取ポイントを探し尽くした第一階層に留まるメリットはない。
だから、第二階層に向かう事になる……と言うか、第二階層に来たのだ。
「敵はそのままですかね?」
「んー、どうだろうな?そのままだと楽ではあるが……」
ここまでに『不死殺しの火山の屋敷』の中で見かけたモンスターは二種類、キルデッドバードにキルデッドハウンドだけだ。
どちらもあまり戦闘能力は高くないので、採取を中心に活動している今日の俺たちにとっては都合のいい相手である。
『aLchemywo tAkusan surukot0Ha 1lkotOda LevElageBantheI』
「いや、期待はしない方がいいな。ガードデーモンやガードスキュラのような強敵がいきなり出てくる可能性は普通にあるはずだ」
「やっぱりそうですよね」
では他にモンスターが居ないかと聞かれたら、ノーと答えるべきだろう。
一昨日探索した『防御力溢れる清流の船』では、第三階層から突然ガードスキュラが現れていた。
アレを考えたら、第二階層からいきなり何かしらの強敵が追加される可能性は決して低くない。
警戒は十分にするべきだろう。
「よし、これで終わりだな」
「お疲れ様です」
と、ここでインベントリの圧縮が終了。
無事に全ての鉱石を鋳塊に変えることに成功する。
これで容量が十分に空いたので、午後の探索も問題なく行えるだろう。
【ゾッタの錬金レベルが22に上昇した。錬金ステータスの中から上げたい項目を一つ選んでください】
「おっと」
「レベルアップですか」
「みたいだな」
それと同時にレベルアップのインフォが流れたので、俺は助道具を1上昇させる。
錬金ステータスの分類が全部15になったら……次は属性の方を上げ始めてもいいのかもしれないな。
勿論、全部20にする事を目指す可能性もあるが。
△△△△△
ゾッタ レベル16/22
戦闘ステータス
肉体-生命力20・攻撃力10・防御力10+2・持久力9・瞬発力10・体幹力10
精神-魔法力10・撃魔力10・抗魔力7・回復力21+6+2・感知力10・精神力11
錬金ステータス
属性-火属性10・水属性10・風属性10・地属性10+6・光属性7・闇属性10
分類-武器類15・防具類15・装飾品15・助道具14・撃道具13・素材類15
▽▽▽▽▽
「これでよし」
「それではマスター」
「ああ、行くとしよう」
俺は携帯錬金炉をしまうと、ネクタールを身に付け、斧と短剣を何時でも抜けるように位置を調整する。
シアは杖を持って、軽く体のコリをほぐす。
ネクタールは……準備運動なのか、色や形を微妙に変えてるな。
「じゃ、開けるぞ」
そうして準備が整ったところで、俺たちは『不死殺しの火山の屋敷』第二階層の探索を始めた。