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AIOライト  作者: 栗木下
3章:右角山
174/621

174:37-4-D14

【ゾッタたちは『防御力溢れる蛸狼女の王』を倒した】

「生きてるか、ゾッタ」

「なんとか……」

 ボスを倒した事を示すファンファーレが鳴り響き、他のプレイヤーたちが思い思いに歓喜の叫び声を上げる中、俺とトロヘルの二人は地面にうつぶせになっていた。

 理由は言うまでもない。

 ブルカノさんの起こした爆発で吹き飛ばされたのだ。


「マスター、大丈夫ですか!」

「シアか……」

「すまない、範囲の調整を少しミスしたようだ」

「生きてるから問題はない」

 と、ここでシアが俺の方に駆け寄り、俺とトロヘルに『癒しをもたらせ』をかけてくれる。

 そしてもうじき消えそうではあるが、PKタグが付いてしまったブルカノさんが謝ってくれる。

 まあ、ブルカノさんの攻撃については、きちんとトドメをさせているのだから問題はない。

 と言うわけで、トロヘルの言葉に合わせるように俺も手を挙げて軽く振り、問題ない事を示す。


【素材とホムンクルスの核、どちらを入手するか選択してください】

 と、ボス討伐の報酬について確認するメッセージが出てきたか。

 今回は……ホムンクルスの核を貰っておこう。

 何となくそっちの方がいい気がする。


「あ、今回は核なんですね」

「ああ」

 俺はホムンクルスの核を貰おうと、うつぶせの状態から胡坐をかいた状態へと移行する。

 さて、この後は……


【ゾッタの戦闘レベルが16に上昇した。戦闘ステータスの中から上げたい項目を一つ選んでください】

「まあ上がるよな」

「おめでとうございます」

「おう」

 まずはレベルアップの処理か。

 じゃあ、回復力を上げておこう。



△△△△△

ゾッタ レベル16/19


戦闘ステータス

肉体-生命力20・攻撃力10・防御力10・持久力9・瞬発力10・体幹力10

精神-魔法力10・撃魔力10・抗魔力7・回復力21+4+3・感知力10・精神力11


錬金ステータス

属性-火属性10・水属性10・風属性10+1・地属性10+6・光属性7・闇属性10

分類-武器類15・防具類15・装飾品13・助道具13・撃道具13・素材類15

▽▽▽▽▽



 これでよし。

 で、通常なら何処に転移するかを選択する場面なわけだが、どうなる?


【自動生成ダンジョン『防御力溢れる清流の船』をクリアしました】

【ダンジョンの属性を確認。赤紐の間へ強制転移します。即時の戦闘はありませんので、そのままお待ちください】

「正解だったみたいだな」

「そうみたいですね」

「即時の戦闘も無し……ね。とりあえずありがたいな」

「ピピッ」

「ヒヒン」

「そうだな、流石に此処からの連戦は無理がある」

 どうやら通常とは別の場所に飛ばされるらしい。

 そうして暫く待っていると俺の視界は歪み始め、『防御力溢れる清流の船』から別の場所へと生き残ったアライアンスのメンバー全員は飛ばされた。



----------



【AIOライト 37日目 09:52 (満月・雨) 赤紐の間】


「此処は何処だ?」

「見た事がないな」

「そりゃあそうだろうよ」

 俺たちが転移した先は、巨大な岩をくりぬいて作られたドームの中のような空間だった。

 壁には赤い紐が結ばれた楔が何本も打ちこまれており、照明を吊るす紐も真っ赤な物だ。


「おい、アレってもしかして」

「碧玉の板。だろうな」

「すげぇ、あんなサイズのジャスパー、現実じゃ絶対に見れないぞ」

「ん?ジャスパー?エメラルドじゃないのか?」

 ドームの中で目を惹くものは他にもある。

 まずは高さ3メートル以上は確実にある巨大な碧玉の板。

 間違いなく、件のメッセージに記されていた双角の主が潜む碧玉の板だろう。

 ちなみに碧玉はジャスパーの事であり、エメラルドは漢字なら翠玉あるいは緑玉であるらしい。


「こっちはギルドポータルか」

「でも、普通のとは効果が違うみたいだな」

「あ、本当だ。一度だけって付いてる」

 次に目を惹くのは、普段ならば各錬金術師(アルケミスト)ギルドに設置されている巨大な天秤、ギルドポータルの登録装置だ。

 ただ、錬金術師ギルドに置いてあるものと違って、こちらは天秤の片方に重石が乗せられており、大きく傾いている。

 そして調べたプレイヤーたちからの報告だと、この天秤による登録は、少々特殊な仕様になっているようで、一回この場へと飛ぶか、他の傾いた天秤での登録を行ってしまうと、転移先を選択する画面から消えてしまうようになっているとの事だった。

 つまり、仮に登録が消えた状態で再登録せずにこの場を後にしてしまうと……まあ、もう一度自動生成ダンジョンのボスを倒す事になるんだろうな、うん。


「あ、普通に買える」

「値段はどうなの?」

「変わりないな。普通のギルドショップみたいだ」

 最後は赤いペンで大きな目が描かれた白い仮面を身に付けた女性と、碧玉の板と同じくらいの大きさがある扉。

 こちらはどうやら錬金術師ギルドの出張所のような物で、ギルドショップは勿論の事、自分がレンタルしている部屋にも行けるようだった。


「なるほどな。つまりここは次の戦闘に向けての準備場所って事か」

「まあ、そう言う事なんだろうな」

 俺とトロヘルは休憩して減ったHPを回復させつつ、この場と次に関しての議論を深める。

 そう、次だ。

 件のメッセージには双角の主を下しとあった。

 それはつまり、この後も何かしらの形で戦闘することになるという事でもある。


「うげっ、マジか」

「エゲツねぇ……」

 そして厄介なのは、この後に待ち受けているのが戦闘は戦闘でも、普通の戦闘ではないという事だった。


「侵入制限錬金レベル10って……俺、碌に上げてないんだけど」

「てか、プレイヤー本人に、そのプレイヤーが使役するホムンクルスだけで戦えってマジかよ……」

 そう、求められているのは、アライアンス戦でもPT戦でもなく、個人戦だった。

11/10誤字訂正

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