170:36-10-D10
「いやー、何とかなるものだな」
「若干一名ほどが、恐ろしい働きをしてくれたおかげだがな」
戦いが終わると、俺たちは剥ぎ取りを済ませてガードスキュラの髪やガードチキンの肉と言ったアイテムや、投擲したアイテムで回収出来る物は回収する。
そして、それが終わると、とりあえずの安全地帯であろう第二階層に繋がる階段の前にまで戻って来ていた。
後はここでロラ助が目覚めるのと、消耗したHPとMPが回復するのを待つだけである。
待つだけであるが……色々と話し合いをする必要がありそうだ。
【ゾッタの戦闘レベルが15に上昇した。戦闘ステータスの中から上げたい項目を一つ選んでください】
「あはははは、ちょっと待ってくださいねー。ずっと出っ放しになっているんで」
まあ、その前にステータス操作を済ませてしまおう。
と言うわけで、俺は生命力を上昇させる。
△△△△△
ゾッタ レベル15/19
戦闘ステータス
肉体-生命力20・攻撃力10・防御力10・持久力9・瞬発力10・体幹力10
精神-魔法力10・撃魔力10・抗魔力7・回復力20+4+3・感知力10・精神力11
錬金ステータス
属性-火属性10・水属性10・風属性10+1・地属性10+6・光属性7・闇属性10
分類-武器類15・防具類15・装飾品13・助道具13・撃道具13・素材類15
▽▽▽▽▽
「まあ、あれだけの働きを見せたら、レベルアップするのは妥当と言えば妥当か」
ジャックさんが何処か呆れているのはさて置いてだ。
これで俺の生命力は20、一区切りを着けるにはちょうどいい数字である。
となれば次は……まあ、また回復力でいいか。
「で、ゾッタ君。どうして一人でガードデーモンとガードスキュラの注目を集め続けるという危険な真似をしたんだ?」
「どうしてって、そう言う指示だったんじゃないですか?」
「そんな指示をするわけがないだろう……片方は確かに任せるつもりだったが、両方の動きを止めるなど……」
ジャックさんはとても頭が痛そうにしている。
そして、ジャックさんの後ろを見れば、シアたちがジャックさんに同意を示すように頷いている。
うーん、そんなに無茶な事だったのだろうか?
俺としては、割とどうにかなると思っての行動だったのだが。
「一体何をどうすればそれだけの働きを出来るのか、色々と検証したくはなるが……とにかくだ。今後は格上相手に盾を務める場合は、一対一を心掛けてくれ。一対二以上はやっていいものではない」
「はあ……」
「盾役だって君以外にも居ないわけではない。私、ロラ助、それにFC灯叫君のホムンクルスと、君ほどの実力はないが、務められる者は居る」
「そう……ですか」
うーん、まあ、シアも心配そうにしているし、今後は控えた方がいいか。
微妙に納得がいかないけれど。
「……。FC灯叫君、先程の罠とガードスキュラについては?」
「もう、掲示板に上げてあります。と言っても、他のPTも既に遭遇しているようですけどね」
FC灯叫さんはそう言うと肩をすくめる。
どうやら既にグランギニョルたちも罠と新モンスターであるガードスキュラに遭遇しているらしい。
死に戻りが出ていなければと思うが……まあ、そこら辺はそれぞれのPTに任せるしかないな。
罠によってはPTの人数が多い方が被害が大きくなるものもあるだろうしな。
「そうか。では後はロラ助くんだが……」
「うっ……ここは……」
「目覚めたか」
と、ここでロラ助が目を覚まし、頭を軽く振りながら起き上がる。
やれやれようやく目を覚ましたか。
随分と時間がかかったな。
いや、もしかしたらここまで運ぶのに引きずったのが悪かったのかもしれないが……まあ、黙っていればばれないか。
シュヴァリエたちも言うつもりはないし、黙っておくとしよう。
「状況は把握しているかね?」
「えーと、何かを踏んでそれから……」
その後、俺たちはロラ助に自身が気絶してからどうなったのかを説明した。
その結果としてロラ助が俺に向ける目に込められる慄きの感情が強まった件はさておくとしてだ。
俺たちは探索を再開した。
方針は罠に注意しながら進み、ガードグローバグは発見次第潰す、他のモンスターは状況に応じて、採取ポイントは基本的に無視する、と言ったところか。
そしてこの方針が功を奏したのだろう。
「あ、階段ですよ」
「やったね」
「今回は一番乗りですね」
「ようやくか」
「ふぅ、無事に着けたか」
「やれやれだ」
俺たちは二時間ほどの探索の結果、第四階層に繋がる扉を発見した。
----------
【AIOライト 36日目 17:32 (5/6・晴れ) 『防御力溢れる清流の船』】
「私たちが最後か」
「お疲れ様です、番茶さん」
ダンジョンの外では直に陽も暮れるという頃。
第四階層に繋がる階段の前には22人のプレイヤーと、そのホムンクルスたち、合わせて50近い存在が集まっていた。
HPと装備、その両方にダメージを受けているプレイヤーが少なからず居るが、どうやらここ第三階層で死に戻りする事になったプレイヤーは居ないようだ。
「お疲れ様です、今は全員で休息中ですよ」
「そうか、では私たちも休ませてもらうとしよう」
「ああ、そうするといい」
さて、この自動生成ダンジョン『防御力溢れる清流の船』は全部で四階層の自動生成ダンジョンだ。
つまり、次の階層にはダンジョンのボスが居ることになる。
問題はそれが特別なボスになるのか、それを倒した後に何かがあるのかだが……そこはやってみなければ分からない。
「さて、話し合うべきは今日これから挑むか、それとも明日挑むかだな」
「今日は無理でしょう。数字上は問題なくても、皆疲れが溜まっていますから」
「そうだな、俺もグランギニョルの意見に賛成。明日挑んだ方がいい」
「私もそう思うよ。こう言っては何だが、私自身も疲れている。これでは足を引っ張るしかできないだろう」
「ま、そうだよな。じゃ、ボス攻略は明日にするとしよう」
いずれにしてもボスに挑むのは明日。
俺たちはそう決めると、アイテムの整理を含めた翌日の準備を済ませ、その後は交代で寝ずの番をしつつ眠る事にした。




