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【AIOライト 36日目 09:12 (5/6・晴れ) 『防御力溢れる清流の船』】
「悪い、遅くなった」
ガードデーモンを倒した俺たちは、その後も探索を続けていた。
が、途中で掲示板に第二階層に繋がる階段が見つかったという報告が上がったため、そちらへ移動する事になった。
「お、来たか」
「随分とかかったじゃない。ゾッタ兄」
「お疲れ様だ。ゾッタ君」
数度の戦闘を挟んで辿り着いた第二階層に繋がる階段の前には、既に俺のPT以外の面々が勢ぞろいし、情報交換にアイテム交換、それに携帯錬金炉による装備の補修とアイテムの補給をしているようだった。
「まさか、正反対の位置だとは思わなかったよ」
「まあ、その辺りは運だな。ただ、上げられた地図を見て、内心で大丈夫かと思っていた。人数も一人少なかったしな」
「戦闘については特に問題は無かったぞ」
と言うわけで、俺たちもトロヘルたちに合流。
周囲に敵影が無い事を確認してから、掲示板だけでは伝えきれていない詳細な情報を伝え合うなどの、次の階層に挑むための準備をする。
「ガードデーモンを単体で抑えるとか相変わらずだな。ゾッタは……」
「まあ、それが出来るだけの装備は備えているからな」
さて、情報交換の結果として、この自動生成ダンジョン……『防御力溢れる清流の船』に出現するモンスターが何なのか、そしてどんな行動をとってくるのかの詳細が分かった。
「師匠ってば、まるで幽霊みたいに現れたり消えたりするんだよね」
「キュイ」
「気が付いたら目の前って怖いっすよねぇ……」
まずは俺たちも戦ったガードデーモン。
特殊能力については防御力低下の追加効果を持つ魔法だけでなく、防御力低下を付与するブレス攻撃を使ってくる個体も居るようだった。
個体差の原因は……レベルの可能性が高そうだが、確定ではない。
「ガードシェルは接近しなければ無害なようです」
「となると、戦う必要が無い時は無視してしまうのも手か」
「あんな堅いのを全部倒していても保たないし、素材も持てなくなるからな」
次はガードシェル。
俺たちも途中で何匹か見かけたが、手は出していない相手である。
戦い方としては、基本的には特性:ガードによって通常種よりもさらに強固になった貝殻に引き籠り、こちらの隙を見て水鉄砲なり体当たりを仕掛けて来るとの事だった。
そんなわけで、戦うとなるとかなり面倒な相手なので、基本的にはスルー推奨である。
尤も、グランギニョルたち魔法主体のPTにとっては、いい的でしかなかったようだが。
「ガードサーペントは見たか?」
「いや見てないな。確か毒持ちのモンスターだったか?」
「そうだ。水場も関係なしだから、見つけたらすぐに処理しないと拙い」
三種類目はガードサーペント。
スネーク種と違って水中行動も可能なサーペント種にとって、浸水している場所もあるこのダンジョンはホームグラウンドに近い。
そのため、水場を越えて追ってきたり、水場から突然の襲撃を仕掛けてきたりとで、毒付与の牙攻撃も含めて、中々に厄介であるらしい。
「ガードチキン?」
「ああ、一度ここに来てな。数でフルボッコにしたから、詳細は分からないが、群の数がそれなりだったから、道中で出会うと面倒そうだった」
「なるほど」
四種類目はガードチキン。
チキン種なので戦闘能力は他の三種に比べると控えめなようだが、それを補うように集団行動をしているようだった。
特殊な行動を持っているかは不明。
肉をドロップしたトロヘルは昼食にこれを使うらしい。
うん、トロヘルの腕で鶏肉料理とか美味そうな予感しかしないな。
「予想されていた事ではあるが、特性:ガードの影響は大きいな。物理攻撃で与えられるダメージが大きく減ってる」
「やっぱりPTの組み換えが必要?」
「ああ、せめてどの班にも一人は魔法攻撃を使えるのが欲しいね」
「そうだな、その方がいいと思う」
で、モンスターに関する評価をまとめるならば?
物理攻撃組はつらいので、魔法攻撃が出来るプレイヤーが欲しい。
特性:ガードの影響なのかは不明だが、防御力低下付与を持っているモンスターが居るので、要注意。
ぶっちゃけ、PTの組み替えをしないとやってられないよ!
との事だった。
そんなわけで、特に問題なく回せている俺たちのPT以外のPT……つまりはトロヘル、グランギニョル、番茶さんのPTはメンバーを調整。
魔法攻撃を使えるプレイヤーあるいはホムンクルスが必ず一人はPTに入っているように調整する。
「さて、これで大丈夫か?」
「ええ、こっちは打ち合わせも終わったわ」
「こちらも問題なしだね」
「俺のPTも大丈夫だ」
で、調整と休憩が終わったところで、順次PTごとに第二階層に移動。
探索を再開した。
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【AIOライト 36日目 10:00 (5/6・晴れ) 『防御力溢れる清流の船』】
「さて、第二階層だな」
「見た目的には変化なしっぽいね」
「キュイ」
「だからこそ気をつけるべきだと思います。何があるか分かりませんから」
「そ、そうですね」
俺たちのPTは第二階層に降りる。
既に他の3PTは先へと進み、その姿は影も見えない。
「ま、慎重に行けば問題はないさ」
「では、他の3PTとは違うルートで進むとしよう」
「なら、こちらのルートだ」
ただ、どのPTがどの道に行ったかは、掲示板の情報で分かる。
と言うわけで、FC灯叫さんの案内で、俺たちは誰も選んでいないルートを選択。
そして暫く進んだところで……
「うわぁ……」
「綺麗ですねぇ」
「でも、モンスターなんですよね」
「さて、どうするか……」
ガードグローバグLv.15、Lv.16、Lv.18、Lv.20、Lv.21と言う、人の顔程の大きさを持つ五体の蛍に遭遇したのだった。