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AIOライト  作者: 栗木下
3章:右角山
161/621

161:36-1-D1

【AIOライト 36日目 06:22 (5/6・晴れ) 『防御力溢れる清流の船』】


 人数による出現率の抑制と交代制の寝ずの番によってダンジョン外で危げなく一夜を明かした俺たちは、翌朝、日が昇ると共にパーティを再編して、自動生成ダンジョン『防御力溢れる清流の船』に突入した。


「さて、ここからはまずパーティ単位で行動だな」

 突入したが、アライアンスで固まって行動はしない。

 と言うのも、『防御力溢れる清流の船』は船と言う自動生成ダンジョンの特徴上、そこまで通路と部屋が広いわけではなく、俺たちが今居る最初の部屋でも、広さが足りずに通路に一部プレイヤーとホムンクルスが溢れ出てしまっている状態である。

 こんな状態に普通になってしまう船内で、アライアンスが一塊になって動くのは……戦闘を抜きにしてもなお厳しいだろう。


「連絡は専用掲示板で、だよな」

「ああ、その通りだ。よろしく頼むよゾッタ君」

 そんなわけで、基本的には六人一組のPT単位で行動。

 連絡は各PTに『巌の開拓者(ノーム)』と『紅蓮蜥蜴の徒(サラマンダー)』のプレイヤーを入れ、それぞれの錬金術師ギルドの掲示板に書き込めるプレイヤーを制限した専用掲示板を設置し、そちらに書き込みを行う事で連絡を取り合う事となった。

 これならば一度に両ギルドのプレイヤーが落とされない限りは連絡が取れなくなる事はないだろう。


「では、まずは第二階層に繋がる階段を探す事としよう」

「「「応っ!」」」

 そうして、俺、トロヘル、番茶さん、グランギニョルの四人をリーダーとした四つのPTは『防御力溢れる清流の船』第一階層の探索をそれぞれに始めた。



----------



「さて、それじゃあ、雑魚敵に遭遇する前に、一応の自己紹介をしておこうか」

 探索を始めた俺は、周囲に敵影と危険物が無い事を確認しつつ、自己紹介をする事にする。

 と言うのも、一人だけ全く知らない顔も混じっていて、このままだと連携に不備が生じる可能性があったからだ。


「俺の名前はゾッタで、武器は斧。基本的な役割はタンクになるな。で、こっちが……」

「マスターのホムンクルス、シアです。こんなマスターですが、よろしくお願いします」

 まずは俺とシアが他のメンバーに向けて名乗りつつ、軽く頭を下げる。

 反応は……


「師匠がタンク?」

「キュイ?」

「分類上はそうなるだろう。実際、ヘイトを集める能力は高いはずだ」

「いやでも……何でもないですっ!」

「まあ、実力が確かなのは証明されているから問題ないんじゃないか」

 うん、悪くないな。

 視線を向けたら、何故か一名ほど顔色が悪くなったが。


「じゃあ次」

「はいはーい、僕はシュヴァリエで、こっちはヴィオレエクレールだよ」

「キュイ」

 二人目はシュヴァリエとヴィオレエクレール。

 元気よく挨拶したこの二人の役割は……切り込み役兼遊撃役と言ったところか。

 船の中という狭い場所でも、敏捷特化のシュヴァリエならば何とか細かく動けるだろう。


「次は……」

「ジャックだ。こっちはホムンクルスのスカルペルとフォルセップだ」

 三人目はジャックさんにジャックさんの短剣型ホムンクルス二体……スカルペルとフォルセップだ。

 ジャックさんは礼儀正しく礼をし、宙に浮いたスカルペルとフォルセップもジャックさんの動きに合わせるように刃先を軽く沈める。

 役割はシュヴァリエに近いかな。

 シュヴァリエよりは攻撃に寄っている感じがあるが。


「ほい次」

「じ、自分はロラ助です。よろしくお願いします。それでこっちはヴィエントとブリサです」

 四人目はロラ助。

 『狂戦士の砂漠の塔』を一緒に攻略した縁から、俺とも多少面識があるという事でこのPTに入って貰った。

 緑色の髪に青い目をした男で、武器は刀。

 ステータスは防御と速さに割り振っていて、色々と粘り強い感じだな。

 所属は『自由愛する旅団(シルフ)』。

 それでホムンクルスはヴィエントとブリサ、共にフェアリー型であり、支援を得意とするようである。

 微妙に挙動不審な所もあるが……『狂戦士の砂漠の塔』の時の事を考えれば、腕は間違いないはずであり、今回はタンク寄りに活動してもらう事になるだろう。


「では最後を」

「分かった。私はFC灯叫だ。よろしく頼む」

 今回の件に参加しているプレイヤーの総数の関係で、五人目にしてこのPT最後の一人となったプレイヤーに目を向ける。

 名前はFC灯叫。

 なお、読みはとあるサッカーチームと同じ読み方をするのではなく、ファイヤー(Fire)チェイン(Chain)あかり()さけぶ()と言う事にしておいてほしいとの事だった。

 まあ、一応誤魔化しているが、名前の由来はそこなのだろう。

 所属は『紅蓮蜥蜴の徒(サラマンダー)』。

 武器は杖で、容姿は三つ編みにした赤髪に黒目、ホムンクルスは重武装の騎士が二人。

 武器とホムンクルスの構成から分かる通り、純後衛の魔法使いである。


「さて、五人と他のPTに比べてプレイヤーは一人少ないが、無茶をしない程度に頑張るとしますか」

「はい」

「だね」

「キュイ」

「そうだな」

「は、はい」

「よろしく頼む」

 そうして自己紹介が終わり、多少の打ち合わせをしたところで、俺たちは探索を始めた。

 なお、戦闘中の指揮官についてはジャックさんに務めてもらい、万が一の副指揮官についてはシアにやってもらう事にした。

 シアは渋々と言った顔だったが……まあ、他に適任が居ないから仕方がない。

 シアには頑張ってもらうとしよう。

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