表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AIOライト  作者: 栗木下
3章:右角山
159/621

159:35-1

作中時間が一日飛んでいますが、仕様ですのでご安心を。

【AIOライト 35日目 15:25 (4/6・雨) 右角山】


「ほー、確かに楔があるな」

「本当だ。こんな所にこんな物があったんだな」

 骸套(がいとう)三手千織(みつてちおり)を錬金し、『豊富な森の農場』での探索を行った二日後。

 俺とシアはゲームを進めるべく、必要なアイテムをもって右角山へとやって来ていた。

 なお、昨日……34日目はただ移動していただけである。


「何と言うか、よくこんなの見つけるわね。ゾッタ兄」

「まあ、俺たちも偶然見つけただけなんだけどな」

 勿論俺とシアだけで来ただけではない。

 と言うか、道中で顔見知りと遭遇している内に、人数がだいぶ増えてしまっていた。


「偶然ねぇ、ゾッタが言うとあんまりそうは聞こえないな」

「まあ、ゾッタ君だからねぇ」

「ははは……」

 まずはトロヘルたちのパーティと、番茶さんたちのパーティ。

 こちらは所謂攻略組であり、トロヘルと番茶さん以外にも『狂戦士の砂漠の塔』攻略時に一緒だった面々や、ジャックさんのようなあの時は居なかった実力者を含んでいる。

 で、そんな彼らの装備だが、当然のようにレア度:2の装備品で固められているだけでなく、よく手入れもされているし、動きやすくなるような細かい工夫も施されている。

 工夫については……きっと服飾向上委員会の仕事だな。

 例の件でだいぶ有名になったし。


「しかしそうなると、まずここから先でないと当たりの可能性も無いわけか。全く厄介な話だ」

「まあ、あのGM(ゲームマスター)だからね。これぐらいは考えるべきだったんだと思うよ」

 なお、当然ながら彼らは全員ホムンクルスを二体以上持っている。

 例を言えば、トロヘルは大盾大槍の重武装で、ヘジャと言う鳥型のホムンクルスを持っていたが、今はそこにナクーと言う完全武装の馬型ホムンクルスが加わっている。

 そのため、今のトロヘルの姿は正に中世ファンタジーの騎士と言う感じだ。

 頭にヘジャが乗っているので、雄々しさや厳つさという物はだいぶ薄れているが。


「それで、自動生成ダンジョンの扉の裏にも楔があるんだったか」

「ええ、恐らくは」

「そうですか。では、探すだけ探してみましょう。当てもなく探すよりはいいでしょうし」

 他にも顔見知りは居る。

 女性オンリーのパーティに入っているグランギニョルとブルカノさんだ。

 そして、当然ながら二人の装備やホムンクルスも更新されている。


「じゃ、まずはパーティごとに分かれて、当たりがあるかどうかの探索だな」

「そうだな。前回のようにクリアしたのに、イベントが進まないのは御免だ」

 まずグランギニョル。

 こちらは装備品についてはそこまで大きく変わっていないが、ホムンクルスがアシスターではなくなっている。

 新しいホムンクルスの名前はアブサディット、リビングメイルと呼ばれる鎧型モンスターのホムンクルスであり、グランギニョルとは言葉のやり取りの必要すらなく、動き回っている。

 尤も、糸の様な繋がりの動きからして、アブサディットが自分で考えて動いているのではなく、グランギニョルが一から十まで指示している感じがあるが。


「では、私たちはこちらを探しましょうか」

「ああそうだな、そうしよう」

 そしてブルカノさん。

 こちらも見た目はあまり変わっていないし、ホムンクルスは相変わらず連れていない。

 が、両手に付けている拳に、水晶のような物が付けられており、何となくだがその拳からは妙な気配がした。

 もしかしたら、何かしらのとっておきは備えているのかもしれない。


「じゃ、師匠とシアは僕とヴィオと一緒だね」

「……」

「キュイ」

「はい、よろしくお願いします」

 最後にシュヴァリエ。

 シュヴァリエの変化は分かり易い。

 服装が童話の王子様あるいは儀礼を優先とした感じのヨーロッパ貴族の剣士と言う感じの服装になっていて、帽子には白い羽まで付いている。

 そして、そんな服装以上に目を惹くのが、ヴィオ……正式名称ヴィオレエクレールと言う名前のリスに似た姿を持つ獣型ホムンクルスの存在であり、今もシュヴァリエの帽子の上で元気よく鳴いたり跳ねたりしている。

 なお、リスに似たと称したのは、その額に紫色の水晶が填め込まれていたり、尻尾が丸まっているというよりは筆先のように流れている感じだからだ。

 まあ、そうでなくとも、時折紫色の放電を行うリスなど居ないだろうが。


「それにしても……」

「どうしました?」

 さて、そうやってみんなの変化を一通り語り、攻略するダンジョンを探して一時的にアライアンスを解散した所で少々突っ込みたい。


「なんでまたこの組み合わせなんだ」

 どうして当たり前のように、俺、シア、シュヴァリエ、ヴィオの四人……三人と一匹だけでパーティを組むことになっているのかと。

 どうして、先程までは半端ものと言う事で、俺と同じパーティに居た面々が居なくなっているのかと。

 その辺りについては突っ込みたくて仕方が無かった。


「さあ?」

「キュイ?」

「その方が都合が良いから。以上の理由はないと思いますよ」

「それなら仕方がないとは思えるが……」

 まあ、気にしていてもしょうがないのだろう。

 と言うわけで、俺たちは先に進めそうな自動生成ダンジョンを探し始める。

 そして候補として見つかったのは、四つのダンジョンだった。

すみません、予約をミスしていたようです……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ