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AIOライト  作者: 栗木下
3章:右角山
145/621

145:31-4-D7

【AIOライト 31日目 15:34 (新月・晴れ) 『誘引する岩の洞窟』】


「撃破っと」

「どうにか倒す事が出来ましたね」

「だな」

 デコイテンタクルを倒した後も、俺とシアは休憩を挟みつつ、倒せそうな敵を狙って倒し続けていた。

 うん、敵が基本的にノンアクティブで、かならず不意討ちに出来るというのは本当に大きい。

 新月様々である。


「さて、剥ぎ取りはっと」

 と言うわけで、殆ど難なく倒せたデコイキャタピラとデコイコクーンからアイテムを剥ぎ取る。

 剥ぎ取れたアイテムは……デコイキャタピラの皮とデコイコクーンの糸か。

 どちらも使い道はありそうだな。


【ゾッタの戦闘レベルが13に上昇した。戦闘ステータスの中から上げたい項目を一つ選んでください】

「と、レベルアップか」

「おめでとうございます。マスター」

 と、ここで二人きりで半日近く戦闘してきた成果だろう。

 俺の戦闘レベルが上昇する。



△△△△△

ゾッタ レベル13/17


戦闘ステータス

肉体-生命力18・攻撃力10・防御力10・持久力9・瞬発力10・体幹力10

精神-魔法力10・撃魔力10・抗魔力7・回復力20+4+3・感知力10・精神力11


錬金ステータス

属性-火属性10・水属性10・風属性10+1・地属性10+6・光属性7・闇属性10

分類-武器類15・防具類13・装飾品13・助道具13・撃道具13・素材類15

▽▽▽▽▽



「ふうむ……」

 さて、今回のレベルアップで生命力18、回復力27と合わせて考えれば、敵の攻撃を耐える事については問題ないだろう。

 そして数字は見れないが、シアも何かしらの形で成長はしているはずである。

 が、ボスを二人で相手に出来るかと考えると……厳しい気がする。


「そろそろ撤退するか」

「消費も進んできてますもんね」

「それもあるが、二人でボスと戦うのはちょっと厳しいしな。誰かと合流したい」

「ああなるほど」

 うん、ここは撤退するべきだな。

 アイテムも経験値も十分に稼げているし、外に出て適当なパーティに加えてもらうか、そうでなければ一度街に帰ってもいいかもしれない。

 と言うわけで、俺とシアは出口に向かって移動を始める。


「それにしてもあのデコイテンタクルはどうして赤マーカーになっていたんでしょうね?」

「うーん、それなぁ……」

 さて、帰り道の話題として出てくるのは、今日の戦闘で唯一モンスター側から襲ってきたデコイテンタクルについてだ。


「考えられるパターンは……まあ、普通に行けば二つだな」

「二つ……ですか」

 俺は指を二本立て、シアに見せる。

 まあ、普通でなければ三つに増えるが、とりあえずは二つだ。


「一つはデコイテンタクルの感知範囲が異様に広かった場合」

「ああ、他のモンスターが戦っているのに気づいて乱入してきた感じですね」

「そう言う事だな」

 『AIOライト』の仕様上、プレイヤーとモンスターが戦闘をしていると、種類によっては戦闘に乱入してくることがある。

 デコイテンタクルと言うか、テンタクル種の情報が少ないので、テンタクル種がそう言うモンスターなのかは分からないが。

 で、本音を言えば、これが一番あって欲しいパターンではある。


「もう一つは他のパーティが手を出してアクティブ化した後、全滅するか、逃げ出すかして、フリーになったデコイテンタクルが徘徊していたパターン」

「それって……」

「無いとは言えないだろう」

 俺の言葉にシアは少し悲しそうな顔をする。

 まあ、基本的にアレから逃げられるとは思えないしな。

 このパターンならまず手を出したプレイヤーのパーティは壊滅しているだろう。

 だが、壊滅しているならまだいい。

 壊滅しているなら、そのパーティのメンバーは街に死に戻っていて、これ以上俺たちに対して何かがある可能性はないのだから。


「でも、それだとちょっと悲しいですね」

「ま、こればかりは仕方がないさ」

 問題は壊滅していなかった場合。

 その場合はこれから脱出するまでの間に、またアクティブ化したモンスターが襲ってくる可能性がある。

 そして、それが何度も続くのであるならば……。


「ボソッ(最悪MPKまで有り得るのが厄介な所だな)」

「マスター?」

「いや、何でもない」

 MPK……わざとモンスターを怒らせて、それを他のプレイヤーに擦り付けることによるPKを画策しているプレイヤーがいる可能性まで考慮するべきだろう。

 PKにメリットが無いように、MPKにもメリットが無いから、やる奴なんてまず居ないはずだが。

 が、やる奴はやるのだ。

 周囲の状況も、情勢も、デメリットすらも気にせずに、己の技術と情熱の全てをかけて。

 そしてそんな奴に限って、その為だけに腕を磨いているから、GMも手を出さない可能性が高いという……うん、面倒くさいな。


「と、出口だな」

「あ、本当ですね」

 そうこうしている間に俺たちは出口に辿り着く。

 どうやら俺の心配は杞憂に終わったらしい。


「周囲に人は……居ませんね」

「だな」

 俺たちは出口から一度外に出ると、周囲に他のプレイヤーが居ない事を確認。

 その後は軽く近くの探索もしてみたが、どうにも時間が時間なので、他のプレイヤーたちもダンジョンに潜っていて、フィールドには居ないようだった。


「どうしましょうか?」

「んー」

 今から街に帰ろうとしても、寝床すら探せない内に日が暮れてしまうだろう。

 姿が見えない以上、パーティに加えてもらうのも不可能。


「今日は適当なダンジョンで寝て、明日になったら街に帰る。で、いいかもな」

「分かりました」

 今日はもう寝床探しに専念するべき。

 俺はそう判断すると、適当な自動生成ダンジョンを探す事にしたのだった。



----------



【AIOライト 31日目 23:57 (新月・晴れ) 『草殺しの岩の船』】


「……」

 夜。

 俺は何故だか日付が変わる直前に目を覚ましていた。


「ムニャムニャ……」

 隣ではシアが健やかな寝息を立てている。


「明日は街に帰らないとな」

 周囲に変化はない。

 なので俺は再び眠ろうとした。

 だが俺が眠ろうとするよりも早く。


「は?」

 視界が歪みだした。

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