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AIOライト  作者: 栗木下
3章:右角山
142/621

142:31-1-D4

【AIOライト 31日目 08:12 (新月・晴れ) 『誘引する岩の洞窟』】


「ふむふむ、此処は結晶か」

「ちょっと嬉しいですね」

 翌日。

 俺とシアは朝食を済ませると、『誘引する岩の洞窟』の探索を始めていた。


「だな。何に使うか分からないけれど、嬉しいのは確かだ」

 と言うわけで、現在は『誘引する岩の洞窟』第一階層に存在している小部屋の一つで、採取ポイントから採取を行い、誘引する石英と言うアイテムを入手した所である。



△△△△△

誘引する石英

レア度:2

種別:素材

耐久度:100/100

特性:デコイ(人目を惹き、目立ちやすい)


無色透明な物は水晶と呼ばれる鉱石。

不純物によって色が付き、色ごとに様々な名前で呼ばれる事になる。

▽▽▽▽▽



「マスター何を?」

「いや、ちょっと要らないアイテムを処分しておこうと思ってな」

 誘引する石英については、一応回収しておくとしよう。

 見た目やイメージからして、杖や装飾品には使えるだろうし、他にも何か使えるかもしれない。

 で、『誘引する岩の洞窟』では他にも、誘引するという言葉が付いた鉱石類が手に入っている。

 具体的に言えば誘引する石ころ、誘引する銅鉱石、誘引する鉄鉱石と言ったところで、レア度は1か2だ。


「処分……ああ、そう言う事ですか」

「そうそう」

 ただまあ、レア度:1の鉱石については申し訳ないが使い道がない。

 と言う事で、奇箱・普喰(あまねくらい)にレア度:1の誘引する石ころを投入、満ぷ……じゃない、耐久度を回復してやる。


「今はまだインベントリのアイテムに手を出されていないんですよね」

「ああ、問題ない。具体的な数字は分からないが、耐久度50までは大丈夫そうだ」

 これで奇箱・普喰の耐久度は93。

 満腹度が100以下なら消費も収まっているはずだし、これでしばらくは放置しておいても大丈夫だろう。


「さてとだ、シア」

「はい、マスター」

 さて、採取アイテムの回収についてはこれぐらいでいいだろう。

 これから先はレベル上げも兼ねて、モンスターと戦闘をするべきだ。


「一体だけでいる敵を探すぞ」

「分かってます」

 幸いな事に今日は新月。

 全てのモンスターがノンアクティブになり、こちらから手を出さなければ襲い掛かって来ない日である。

 つまり、戦う相手をこちらで自由に選べる日でもある。


「じゃ、行くぞ」

「はい」

 そう言うわけで、俺たちは一体で歩いているモンスターを探す事とした。



----------



「ふうむ……」

「デコイスクイール三体。レベルは15、16、20です」

 俺たちの前では三匹の大型の栗鼠が木の実のような物を齧ったり、小さく鳴いたりしながら、周囲を窺っていた。

 その姿は可愛らしいが……何処か油断ならない気配がする。

 うん、俺の記憶が確かなら、スクイール種は攻撃した相手のアイテムを盗んでくる上にかなりすばしっこいんだったか。


「止めておこう。碌な目に合わない気がする」

「ですね」

 戦えば碌な事にはならない。

 そう判断して、俺たちはその場を去る。


「デコイフェアリー二体。レベルは16と22ですね」

「ふうむ」

 次に遭遇したのはデコイフェアリー。

 手の平サイズの人間の背中に蝶のような翅が生えたモンスターで、空中で踊るように動き回りながら待機している。

 俺の記憶には……情報はないな。

 ただ、フェアリー……妖精となると、イメージ的に搦め手を色々とやってきそうだ。

 レベルが上なのは仕方がないが、小柄ですばしっこい感じも合わせて、ちょっと俺たちでは厳しそうだな。


「デコイテンタクル一体。レベル15ですね。丁度いいんじゃないですか?」

 その次に遭遇したのはデコイテンタクル。

 見た目は触手としか称しようのない物体が集まった球体だ。

 派手な色合いの触手の先は妖しく蠢いており、何かしらの液体によって濡れたその触手によって、獲物を探しているようだった。

 うん、これは駄目だ。


「駄目だ」

「え?マスター?」

「絶対にアレは駄目だ。戦っちゃいけない」

「え?でもレベルも低くて、一体しか居ませんよ?」

「駄目だ。絶対に駄目だ。絶対にシアはアレと戦ったら駄目だ」

「は、はあ……」

 シアは訳が分からないという表情をしているが、絶対にアレは駄目だ。

 アレとシアが戦ったら、色んな意味で拙い事になる。

 具体的に語る事は出来ないが、絶対に駄目な事になる。

 ちょっと見たいけれど、実際にあっちゃいけない事になる。

 俺にそっち方面の趣味は無いのだ!


「次行くぞ!」

「は、はい……」

 と言うわけで、俺はシアを連れて次のモンスターを探しに行く。


「えーと、デコイバタフライにデコイコクーンですね。レベルは共に15」

「ふむ」

 俺とシアが見つけたのはデコイバタフライと言う名前のよく目立つ翅を持った人の上半身と同じくらいの大きさを持った蝶と、デコイコクーンと言う名前の人と同じくらいの大きさを持つ蛹だった。

 えーと、バタフライ種は鱗粉あるいは翅の模様による状態異常を、コクーン種は攻撃はほぼしてこないがとにかくタフで、時間が経つとバタフライ種として羽化するんだったか。

 となると今は実質的に一体の状態なわけか。


「よし、挑もう」

「はい、分かりました」

 今が好機。

 そう判断した俺とシアは、戦闘の準備を整えると、デコイバタフライに襲い掛かった。

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